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「お母さん、大丈夫?」
「…………そのお母さんはやめて」
「?」

どこの誰だか知らないが、この露出の激しい恐らく幼女の分類される少女に懐かれ、何故か「お母さん」と呼ばれている。
ただの迷子であれば仕事上知っている警部だかなんだかに引き渡せばいいのだが、無駄に強いし気が付けば消え、気が付けば近くにいる。まるで幽霊の様な少女。

「あれ、解体していい?」
「解体…?」
「うん。お母さんをいじめた悪いヤツ、解体するね」

その言葉から行動で悟った。
これは生きている存在ではなく、また幽霊の様なおぼろげなものでもない。
実体がなくて、しかしある。悪意はないが殺意はある。不安定であって確固たる何かを持ちあわせている。
ほんの一瞬、瞬きをする時間も必要ない。それが少女の、彼女の強さだった。




「お母さん」
「「「「お母さん!!??」」」
「……もしかして最近女の子がって言ったの、その子?##name_1##っち疲れていたわけじゃなかったのね」
「お母さん疲れてるの?」
「………」

大きな戦闘があり、生存確認兼怪我の有無についての報告の為に一人一人とリーダーであるクラウスの元にあつまるメンバー。
それはバイト扱いではあるが該当するので鬱々しながら行き、報告をしているとその少女が後ろから姿を現し、このタイミングで「お母さん」と呼んだのだ。
疲れていることもあり、それに付いての訂正をする気にもならない。

「…幻覚を見ているのかと思って医者を進めていたが幻覚じゃなかったか………」
「レオっち、##name_1##っちの幻覚についてはどう思ていたわけ?」
「俺の目でも見えなかったので、本当に幻覚だと思ってました…」
「……あの、それで##name_1##さん。お母さんとは…?迷子、ですか?」
「お母さんはお母さんだよ」
「……それで、君のお名前は?」
「ジャック。ジャック・ザ・リッパー。クラスはアサシンで、マスターはお母さん。お母さんはマスターなの」
「暗殺者とはまたけったいなもん持ってんなガキ。で、マスターってなんだよ」
「お母さん」
「……##name_1##」
「申し訳ありません、皆さん同様にわかりません」

ただ言えるのは担当していたターゲットにトドメを刺したのは彼女です。と言えばその警戒を最上限まで上げた。
あのターゲットはボス程強くはなかったがそれなりに強く、足止めだけでもできればいいと言われて担当した相手だった。油断はしていなかったが、想定外に強く彼女がいなければ命を落としていただろうという自覚は恐ろしい程にある。

「ジャック君、どうして##name_1##君をお母さんと呼ぶのだね」
「お母さんはお母さんだから」
「本当のお母さんは?」
「お母さん!」
「ではマスターとは?お母さんではなく、どのような人を指すのかを教えてくれないか」
「マスターはサーヴァントと契約した人。令呪をもっているの、お母さんもあって、お母さんがマスター」
「レイジュ?」
「マスターがサーヴァントに出来る絶対命令権だよ。3つあって、全部使い切ると裏切ったり殺されたりするんだって。私はそんなことしないよ、だってお母さん大好きだもん」


「##name_1##っち、この子どうしたの?」
「…前の仕事でしくじった時に彼女が出てきて、お母さん。と」
「てっきり俺##name_1##さんがその仕事で頭打ったのかと思いました」
「レオ君の目でも見えなかったんですもんね…僕もそう思っていました、疲れているんだとばかり」
「シングルマザーかよ」
「違います」

そうか、彼女の名前はジャックと言うのか。と会話をしたり聞いたりしてぼんやりと思う。
そもそもレイジュとはなんなのだろう、サーヴァント、マスター。知らない言葉ばかりだ。

「##name_1##いつの間にママになったのよ」
「なっていません」
「チェインさんお疲れっす」
「私一度その子にあってるわ」
「え」
「うん。##name_1##の幻覚が気になってオフの時##name_1##の様子見に行ったらその子が『お母さんに悪いことするなら殺すよ』って、声だけ。同じ人狼かと思ったけどそれ以上に姿が探れないから、会ったというより声だけ聞いたって言うのが正確なところかな」
「その人すぐ消えたから何もしなかった」
「…いたら?」
「殺したよ。だってお母さんに秘密で監視するの、駄目だから」
「人狼って知ってる?」
「知らない」
「私を殺すってかなり難しいよ?煽るわけじゃなくて、それが私達の仕事というか特徴というか…」
「やってみてもいい?」
「やめなさい」
「はーい」

案外素直で驚いたのは自分だけではなかったらしい。
物騒な事を言ったり行動をしたりと読めないが、命令というのか自分の指示には従うのだろう。確定したわけではないが、恐らくそうなのだろうという予測は出来る。
マスターとやらを害するものは排除し、マスターとやらの意見を尊重する。それが基本的なジャックの行動なのだろう。

「それで、君はどうして##name_1##君をマスターに?」
「違うよ。お母さんが私を呼んだの」
「呼んだ?##name_1##君が?」
「うん」
「##name_1##?」
「記憶にありません」
「お母さんはわからないよ」
「どういう事?」
「私もちゃんと見てたわけじゃないけど、召喚の儀式をしていた最中にお母さんが来て、お母さんがマスターになったんだと思う」
「じゃあなんだ、お前幼女横取りか」
「儀式ってなんです?」
「サーヴァントを呼ぶ儀式」
「サーヴァントは何のためにあるんだね」
「聖杯戦争だけど、今回は違うみたい」
「セイハイ戦争?」
「今回はただの、うん。たぶん、ただの悪戯というか、気の迷い。そんな感じの、それかサーヴァントを使って何かしようとしたんだと思う。本当なら呼ばれないもん」
「##name_1##、通訳」
「わかりません」