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「…つう」
「##name_1##、無事ですか」
「ガウェイン…」

その瞬間咽てしまい会話が続かないが、ガウェインはただ黙って##name_1##が落ち着くのを待っている。
普段でもそうやって待っているのだろうが、今回は状況が違う。
確か、そうだ。カルデアの本来の目的のプロジェクトが開始されようとしていた時、テストマスターでありスタッフである##name_1##もサーヴァントであるガウェインを連れてそれに参加していた。マスターとなるべく集められた人々を見送るが為に。

「なにが、」
「爆発があったようです。生存者は##name_1##以外不明、というより##name_1##を助けるだけで精一杯でした」

ガウェインの背後には瓦礫の山、そして生々しく四肢が飛び散り焼けた匂いと血の匂いが充満している。その中で怪我を負っているものの四肢があるだけでもありがたい事なのだろう。なによりこうして生きているのは##name_1##がテストマスターだったという事以外ありえない。
サーヴァントという守りがなければ確実にこの爆発に巻き込まれていた。

「…オルガ、マリーは」
「不明です。マスター傷の手当を」
「でも」
「ここで貴女が死んでは爆発で生き残った意味がなくなってしまいます、お気持ちはわかりますがここはまず身の安全を確保してください」
「………うん、わかった。立てる自信がないからガウェイン、救護室まで運んで。その道すがら生存者がいたら確保します」
「承知いたしました」

泥と灰にまみれた白衣を引っ張って煙を最小限吸わないようにしてからガウェインに体を預ける。
##name_1##とガウェインの出会い、というより召喚はテストという形だった。
元と辿れば魔術師の家系の出身であり、スタッフの##name_1##はちょうどいいテストマスターだったと言える。その話がくるのは当たり前のように思っていたし、それ御承諾するのも当たり前だった。
そしてテスト召喚をしてその召喚に応じたのが彼、ガウェインだったのだ。そのテストではあったが英霊を召喚する事に成功したという事実は大きく、また##name_1##の功績の一つになった。そして問題は召喚されたサーヴァントのガウェインである。
ダ・ヴィンチのように研究者でもない彼はここに残る意味はなく、また##name_1##がマスターへと転向するという事も考えることが出来なかった。
##name_1##はそのこと、また彼を呼び出したのはテストでしかないのだと正直に話せばたいそう驚かれたが、それでも怒って##name_1##を切り殺したりはしなかった。
取引ではないがここでしばらく世界を見ていかないか。という##name_1##の誘いにも乗ってくれ、基本的には##name_1##の傍で護衛らしい事をしつつ##name_1##からパソコンやら何やらの使い方を教わりながら時代を見ていた。

「##name_1##!!」
「…ロマニ、」
「酷い怪我じゃないか、一体何があったんだ!?爆発があったことくらいしか…」
「ドクター、その前にマスターの手当を頼めないでしょうか。先ほどから##name_1##の反応が悪くなっています。その時間他に生存者がいないか再度戻りたいと」
「あ、ああ…そうだね、じゃあそこの救護室に」

「ロマニ、オルガ…」
「大丈夫、きっと見つかるよ。彼女こんな事でどうにかなるような人じゃないだろう?」
「マリー、うん」
「だから##name_1##も意識を強く持って!ガウェインが見つけてくれるから、きっと他に生存者がいるはずだから!##name_1##!君が死んでしまったら生存者を探しているガウェインも消えてしまうんだぞ!」





「………、」
「気が付きましたか」
「………」
「無理に動こうとしないでください、まだ加減がよくないのです。今ドクターを呼びますから。大丈夫です、貴女は生きています」

焦点が合わない視線をゆっくり動かし、ガウェインがただそのままでいるようにと言う。
ゆっくりと思い出すが、爆発があってガウェインと少しばかり会話をしたことしか記憶にない。
爆発があった事だけは確かであり、こうしてベッドの上にいるのがその結果だろう。体が酷く痛むが、動けないほど痛いわけではない。

「駄目だよ##name_1##、横になってなきゃ」
「…ダ」
「そうダ・ヴィンチちゃんだよ。君はあの時一番近くにいたスタッフで唯一の生存者だ。生きているのが不思議だよ、まあガウェインがいたんだから納得と言えば納得だ」
「…オル、ガ」
「うーん、声が弱弱しいね。仕方がない、君はずっと眠っていたんだからね。気にしているであろうオルガマリー・アニムスフィアは残念な結果だよ」
「………」
「その顔は予想していたって顔だね。君もあの惨状を見たなら予想していたとしても納得だよ」

一人で饒舌に喋るダ・ヴィンチだが、それでも##name_1##が聞きたかったことをしっかりと話してくれているあたりわかってくれているらしい。
そして今のカルデアの状況、マシュがデミ・サーヴァントとして覚醒した事、最後のマスターとなってしまった人間が一人いると言う事、そしてその人間を最後のマスターにするかどうかは##name_1##の判断にもかかっていると言う事を。

「本当ならゆっくり時間をかけた判断と治療を受けてもらいたいんだけど状況が許さなくてね」
「女史、その辺りでどうか。マスターはまだ」
「そうだよダ・ヴィンチちゃん。まずは検査をしてから体の状態を見てから判断しないと」
「私は##name_1##が聞きたいであろう事を教えていただけさ。私だって##name_1##の様態は気になる所であり心配なんだから。ガウェイン卿、##name_1##を頼むよ」
「ええ」
「ほらロマニは早く##name_1##を診る。これからは激務なんだから」
「##name_1##、寝ないでください。せっかく目が覚めたのですから」
「…寝ちゃった。でも意識の回復はあったから一安心か」
「何よりガウェイン卿がこうしているんだから大丈夫だよ」
「風前の灯火ではありますが」

でも最悪の状況ではないだろうね。とダ・ヴィンチは笑った。