「どうした少年」 「あ…いや」 レオにはその人が見ない。 こうして上司が紹介している「人」が見えないのだ。 レオには今まで、神々の義眼を移植されてから見えないものなどなかった。それなのに今、その人が見えない。 クラウスは二人を紹介したが、レオには一人にしか見えないのだ。 そしてもう一人のスティーブンはその一人ではない方に話しかけ、会話が成立しているにも関わらすレオにはその一人が見えない。 「ザップさん、今スティーブンさんと話している人って…」 「小汚ねぇガキがどうした?」 「ガキ?」 「だぼだぼの服を着て性別も年齢もわからない相手を小汚いというには失礼だと思いますけど?」 「あ?んだと魚野郎」 レオを挟んで口論というには程度の低いケンカを始める二人にスティーブンがひとつ咳払いをすれば案の定二人は黙る。 そうか、もう一人は性別もわからない様な恰好をしているのかと一応の情報を得た。 しかしどうして自分にはその姿が見えないのだろうか、今までそんな事はなかったはずなのに。 「お兄さん、お兄さん」 「え、あ、オレ?」 「お兄さん面白い物を持っていますね」 「…え?」 「その目、どうしたんです?身の丈に合っていませんよ」 その言葉が終わるかどうかの時、同じくして血法の剣と槍がその一人の少年に向かい、威嚇の様に向けられる。しかしそれを害するように鎖が何もない空間から、黄金の水文を打つように現れている。 「いやだな、そんな怖い顔しないで痛!…だって、えええ…そんな、あ、いや、はい。ごめんなさい…」 どうやらもう一人に叱られているらしい。ちらりと周りを見ればその少年を中心に何とも言えない顔でそこを見ている。 「すみません、驚かせるつもりはなかったんです…」 「てめえ何モンだよ」 「何者でもありません、僕はただ##name_2##の護衛みたいなものですよ」 「##name_1##?」 「何て顔をしているんです、今自己紹介があったでしょう?僕の主の………あ、もしかして見えていませんね、お兄さん」 「!、な」 「仕方ありませんよ、神々の義眼なんて持っている弊害です。じゃあ##name_2##の姿も下手したら声だって聞こえていませんね」 「…どうして、わかったんだよ」 「レオお前…」 「レオくん…?」 「それ、僕が言うんですか?えー…わかりましたよ、メガネか何かありませんか?」 えーっと、とあたりを見回した少年はクラウスの前に行き「そのメガネ貸してあげてください」と言っているではないか。 恐れ多いが親切にもクラウスがメガネを差し出してくれ、恐る恐るメガネをかける。 するとそのレンズの向こう側には一人。そのレンズと肉眼の境ではいないはずのその存在はレンズを通すといるのだ。 「…いる」 「見えたみたいだな」 「聞こえる」 「神々の義眼だなんて身の丈に合わないものを持っているんです、仕方ありませんよ」 「別に彼に見えなくても仕事に関係ないけど。存在を無視されて気分の良いものじゃないんでね」 「どうしてレオナルドくんには見ないのかね?##name_2##くん」 「アーチャー説明」 「え、僕ですか?」 「神々の義眼とか知らないんで」 「仕方ありませんね…神々の義眼は何でも見えます、なにせ神の義眼ですからね。でもそこにない存在は見ることができません、まだあったという事実があるなら話は別ですが」 「まどろっこしいぞガキ!」 「前置きですよ、そこのおサルさん。##name_2##が見えないのは##name_2##がそこにいないからです。僕も正確にはいませんが、一応は神の系列ですから除外と言うところかと」 「いない」とはどういう意味なのか。それよりもどうしてその子供は神々の義眼を知り、そしてどうして持っていることを知っているのか。だからと言って奪う様な態度ではない。 聞きたいことはたくさんあるが、その二人はいったい何者なのか。 確か最初に聞いていたがレオにとって見えない存在の方に意識を持って行かれていたので正直聞いていなかったのだが。 あーまとまらない。 |