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「#幼馴染」のBL小説を読む
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「##name_1##さんのお知り合い、ですか?」
「…うーん」
「俺だ、福富寿一だ!」

ツェッドと買い出しの途中、男性の大きな声、それは誰かを必死で呼び止める声だった。
それは恐らくHLでなくともあり得る光景であり、また日常的にある光景だろう。
しかしそれがまさか、ある時点以降しか記憶がない##name_1##に向かって発せられているとは誰が思おうか。

「…あの、私の事、知ってるんですか?」
「………」
「##name_1##さん、事務所の方に連絡をしてみてはどうでしょう」
「あ!それがいいかも。クラウスさん…の、前にスティーブンさんがいいのかな?」
「すみません、もし##name_1##さんの事をご存じなら少しお時間よろしいですか?彼女、少しワケありなんです」



「と言う事は、君の言うスドウカナデという人物に##name_1##が瓜二つだと言う事でいいのかね」
「その友人が行方不明になったのが3年前、崩落の時期」

ツェッドからの報告でスティーブンとクラウスは彼を事務所の応接室に招いた。
一般人であろう彼が再びここに来ることはないだろうし、そしてまた来ようと思っても彼ではそれも出来ないという理由で招かれた。

##name_1##が二人に##name_1##という名を貰ったのはレオが来る数か月前の話。勿論3年という時間を共有はしていない。
ではそれまでの時間は何があったのか、そして崩落と同じくしてどうしてそのスドウカナデは行方不明になったのか。もし##name_1##=スドウカナデであるならば日本に居た彼女がHLに居るのか。謎は解ける要素がまるでない。それをHLだから、の一言で終わらせるには難しいだろう。HLですべてが起こったのであるならば一言で終わるのかもしれないが、日本はHLと距離がありすぎるし、何より日本はHLに比べたら天国かと思うほど平和だろう。

「…朱堂は」
「申し訳ない、今君に合わせるわけにはいかないんだ。まだ彼女が君の言うスドウカナデだとは確定していないし、万が一という事もある」
「##name_1##、というのは」
「彼女はここで保護され、記憶がなくてね。私たちが勝手につけされてもらった名前だよ。本当の名前があるにもかかわらず勝手な事をしたとは思っているが、名前がない事には不便なのでね」

##name_1##をスドウカナデと呼んだ福富寿一。日本人のプロロードレーサー。そのスドウカナデとは高校からの友人で大学も一緒。その大学生時代にスドウカナデは行方不明。行方不明の理由は不明、普段悩んでいた様子もない平凡な女学生だったらしい。

「…勝手に、見せたら朱堂に怒られるかもしれないが、大学時代の朱堂の写真です」
「……!」

成人式の写真です。と出された彼のスマートフォン。画面には着物に身を包んだ男性に混じり##name_1##とそっくりな女性が笑って写っている。化粧で顔は変わるが、それにしてもその画面の彼女と##name_1##は良く似ている、いや本人そのものと言ってもいいだろう。

「…他に、あるのかね?彼女の写真は」
「あります」
「それにしても…##name_1##と似てる、というより本人みたいだ」
「だから、俺も…朱堂かと思ったんです。行方不明になってから3年で、もう会えないと思っていて」

出された画面には同じ年頃の男子や女子とじゃれ合っていたり、よく茶髪の男子と笑っているのが出てくる。

「君と彼女の関係は聞いても?」
「友人です」
「恋人関係では」
「ないです」
「スドウカナデはそういう関係の人は」
「俺の知る限りいません」
「彼女の家族構成は」
「両親と朱堂だったと思います」
「現在ご両親は」
「日本に」


「んで、##name_1##の知り合いかもしんねー男がいんのか?」
「うん」
「よかったですね##name_1##さん、思い出す一歩かもしれませんよ」
「んー」
「それが本物かわかんねーのにか?お気楽だな陰毛頭」
「可能性のひとつをレオくんは言ったんですよ。##name_1##さんもそんなに悩まなくていいんですよ」
「悩む、というよりも…あれかな、もし本当に知り合いだったとしてガッカリされたんじゃないかなって思って。私、あの人の事全然知らないって顔して、でもあの人、私の事知ってて、必死で呼んでくれてて」

事務所のソファの真ん中に陣取り、##name_1##は頭にソニックがいるにもかかわらず頭をぐいんぐいん揺らしながら唸っている。
##name_1##が変な行動をするのは今に始まった事ではない。なので例外もなくそれにかんして突っ込むような人間はおらず、ソニックもソニックでその揺れをアスレチックで遊んでいるかのように楽しんでいる。

「んま、##name_1##が何処の誰かもし仮に万が一わかったら奇跡だわな」
「ザップさん奇跡なんて言葉知ってたんだ」
「##name_1##さん、突っ込むところそこでいいんすか?馬鹿にされてるんですよ」
「でも、本当にあの人類が##name_1##さんの知り合いだったら運命ですね」
「ツェッドさん最近恋愛モノの本でも読んだ?」
「え」
「##name_1##さん、そこは突っ込まない」
「レオ、難しい」