「福富くん?」 「…##name_2##か。どうした」 「どうしたはこっちの台詞だよ。ここスイパラだよ」 私が笑って言えば、福富くんは「変か?」と真面目に聞いてくる。スイパラ、正式名称スイーツパラダイス。そんな甘いもので溢れるここは女性をターゲットとしたところ。そこに男子高校生がいるのは周りからしてみるとかなり浮いている。 「一人…じゃ、ないよね」 「ああ、いつもの奴らと一緒だ。##name_2##は一人なのか」 「ううん、一人じゃないよ」 誰と来たかはあえて言わずにちょっと曖昧にして濁しておいた。私は学校の友達ではない人と一緒だし、なによりここは学校でも部活でもない。プライベートな時間なので、まあいいことにしようと思う。 どうせ席は違うだろうし、ちょっと一緒にケーキ見ようか。と誘えば福富くんは何時もと同じ調子で頷いた。 一緒に見て回って、私は一緒に来た相手のケーキと自分のを選び、福富くんは自分の好きなリンゴ系のケーキを選んでいる。 「それでいいのか?」 「うん。とりあえずね」 「一人分、か?」 「二人分だよ。また後でくるから」 「そうか、なら戻るか」 「そうだね。席どこ?私あっち」 「オレ達もあっちだ」 なんという偶然だろう。方向が一緒だからと言って、席まで近いわけがないと思ってみたものの、一緒に歩いていると見覚えのある顔が。 「あれぇ?##name_2##ちゃんじゃん」 「荒北くん…偶然にも程がある…」 「##name_2##ちゃんも来てたんだね」 「うん、というか隣の席だよ…」 へえ。とその荒北くんが隣の席を見ると一人の男の子。彼は私の従兄弟なのだが、まあそんな事情を知らない二人からみたらもしかしたら。 「…##name_2##ちゃん、彼氏いたんだ」 「違うよ、従兄弟」 「##name_1##、誰その人たち」 「高校の友達だよ」 「ふーん。##name_1##、彼氏いないんだ」 ニヤリと笑う従兄弟。 それと反対に名前で呼んだ、名前で呼んだ。と荒北くんと福富くんが話している。 「従兄弟の月島蛍。蛍、友達の…黒い頭の人が荒北靖友くんに、金髪が福富寿一くん」 「…どーも、##name_1##の従兄弟の月島蛍です」 「荒北、です…」 「…福富です」 「蛍、これでいい?好きなショートケーキ持ってきたけど」 「いいよとりあえず。後で行くし」 「一人で行けるの?」 「当たり前でしょ。小学生じゃないんだから」 そんな風に話していると福富くんは不思議そうに私達を見ているし、荒北くんは私達を気にしつつケーキの所に行く。 「##name_2##、おめさん、彼氏…」 「なに!?##name_2##に彼氏だと!?」 「従兄弟の月島蛍。茶髪の人が新開隼人くん、カチューシャが東堂尽八くん」 「…##name_1##、彼氏作りなよ。彼氏に間違われ過ぎ」 「蛍、もう付き合わないよ。そんなこと言うと」 新開くんのプレートを見ると所狭しとぎゅうぎゅうに押し詰められたスイーツたち。ガチャンと音を立ててテーブルに置いてから驚いている辺り計算高い。東堂はまあそれなりで、でもやっぱりテーブルに置いてからだから同じだと思う。 「そ、そういうのが好み、なのか…」 「いや、だから彼氏じゃないってば。従兄弟の蛍」 「##name_1##の従兄弟の蛍です、どーも」 蛍ももう面倒だと思ったらしく、適当に挨拶をして私が持ってきたショートケーキを食べ始める。面倒な気持ちもわかるけど、ここは私の為にもうちょっと彼らの相手をしてもらいたかった。どう考えても面倒なのは私もわかっているから。 「ケ、ケイくんは…甘いものが好きなのかね?」 東堂くんが蛍とコミュニケーションをとろうと試みている。どうして君が動揺しているんだ、いつもの東堂くんはどうした。 「え…まあ、はい」 そして蛍の面倒そうな返事。 ちらっと私を見て「ナニあいつ」という目をしないで。 「東堂くん、蛍人見知りだから許して」 「誰が人見知りなのさ」 「蛍」 「##name_1##に言われたくない」 「なら今度から一人で来たら?」 「な…」 「廻り女の子ばっかでケーキ食べれば?」 「なんだ、##name_2##が好きできんだじねえの?」 「蛍が行きたいっていうから連れてきたの」 「意外と可愛いな蛍くんとやら!」 というお話をしたかった気分 |