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「痛…っ」
「どうした」
「なんか急に手の甲が痛くて」

どこにぶつけたわけでも、まして怪我をしたわけでもない。簡易な籠手が##name_1##の手の甲を覆い守っている。
何かと##name_1##は頭を傾げては唸っているが、出血もないし動かないわけでもないらしい。数回握っては開きを繰り返し、動く事を確認すると##name_1##はそれを気にする事を止めたのか、銃の手入れをするからと自分の銃を持つ。
そういえば今日の午後からまた小遣い稼ぎをすると言っていたのを思い出した孫市は「小遣い稼ぎも程々にしておけよ、どっちが本職かわかりゃしねえ」と小さく愚痴をこぼした。


そして今に至る。
##name_1##の目の前には金髪の小柄な女性。青いドレスを着て銀色の防具、頭にはドレスと同じ色のリボンでお団子を纏めている。きりりとした眉と目は真っ直ぐに##name_1##を射抜き、##name_1##は手の銃を強く握ることしかできない。

「貴女が私のマスターか」
「…は?」

そんなやり取りを何度か繰り返していると、##name_1##は今の自分の置かれた状況を思い出した。
そうだ、今は妖魔に囲まれて逃げていて、必死に隠れていたのだ。息をひそめ、ただただ必死に気配を殺して。何がどうしてこうなったかは##name_1##の推測…というより、見るに明らかだ。##name_1##の小遣い稼ぎを利用した清盛の嫌がらせに他ない。##name_1##に依頼を持ってきた人物が清盛に操られていたのだ。まさか妖魔の巣窟にポイと投げられるとは思いもしなかった。

「そうだ、静かにして」
「敵ですか」
「そう。罠に嵌められて…」
「人数は」
「そこまでわからない…けど、貴女、どうしてここに?」
「マスターの召喚に応じました」

##name_1##の言うとおりに声をひそめ、身を低くして##name_1##と同じく周りを警戒している様子の女性。
物陰から辺りを見回して妖魔の動きを観察する。恐らくは##name_1##にとって今傍に居る彼女が敵かどうかを判断すべきなのだろうが、今のところは襲われる気配はない。それにマスターとう呼び方をしているあたり、恐らくではあるが敵意はないと判断した。マスターといえば##name_1##以外には通じないかもれないが確か「主人」とか「主」と言った意味合いが生じたはずだ。

「マスター、ここは私が」
「…は?」
「切り込みますのでマスターは援護をお願いします。見たところそれは銃です、私の事は御気になさらずに撃ってください」
「切り込むって、空手で?」
「言ったはずです。御気にならさず、と。」

それから彼女の手には何かを握っているかのような形状で妖魔の中に飛び込み、妖魔は何かで切られて倒れていく。その姿に呆気にとられている##name_1##に彼女は「マスター!」と低い声で怒鳴られ、##name_1##は慌てて銃を構えて援護にまわる。
彼女が見えない何かで切り込めば妖魔は叫びを上げて地を這い、武器を持って襲えば金属音を立てて火花が散る。彼女に複数の妖魔が囲む前に##name_1##が手当たり次第に撃ち込む。##name_1##に危険が迫れば「マスター!」と叫んで##name_1##の頭の上を見えない何かが掠める。


「と言うことがありまして」
「はあ?全く意味がわかんねえよ」

泥だらけで帰ってきた##name_1##に見ず知らずの少女。##name_1##に一体何があったのかを問い詰めると、##name_1##にもよくわからないのか意味不明の事ばかり言う始末。孫市は##name_1##の頭を軽く叩くと少女が「私のマスターに何をする」とよくわからない単語で非難してきた。

「女性に手を上げるなど言語道断、人としてあるまじき行為」
「セイバー、落ち着いて。悪い人じゃないから…」
「で、お嬢さんはどちらさんだ」
「ですが!マスターを侮辱されたのです、サーヴァントたる私が守らずして何が騎士王か」
「意味がよくわからないけど落ち着こう。セイバー、孫市は私の…師匠?みたいな人で、私が所属している雑賀の頭領。孫市、助けてもらったセイバー。詳しい事は私にもよくわからない…」
「敵ではない、とおっしゃりたいのですか」
「はい、全く持ってその通りです…」

むしろ敵だったらこんな風に会話していないだろうという突っ込みは止めておいた。



収集つかないのでおしまい。