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※スピネル

「ご、ごじょう…くん?」
「いえーす!グットルッキングガイことGLG、サトル・ゴジョーだよ!!」

任務には黒が適している。なぜなら汚れが目立たないから。というのが##name_1##の通常運転。
確かに呪術師という職種は黒がいい。汚れ仕事もあるし、足場が悪くて転ぶこともある。ついでにこの服装は支給品なので申請すれば自分の懐は痛まないと来た。
実際呪術師は高給取りなのでいちいちそんなことで悩むことはないが、切替の一種として好むものは少なくない。わざわざ汚れるのを承知で綺麗な服を着用しない、という事だ。

「七海庇ったの?」
「ええ…はい」
「………?」
「硝子の見解は」
「数日は、という事です」
「ふーん?」
「?」
「これだと精神も体に引っ張られてる感じか」

高専の一室。
五条が珍しく七海に呼び出された。
五条が七海を呼び出すのは珍しい事ではないが、その反対となると珍しい。なんだなんだとワクワクして行けば、ちんまくなった##name_1##といつもの七海が居たわけだ。

「##name_1##」
「は、はい…」
「今何年生?」
「高専の、1年、生?」
「疑問形かよ」
「ご、ごめん?」
「ま、いいや。で、僕を呼び出した理由は?」
「こういうごまかしはお得意でしょう?##name_2##さんと私を長期出張で飛ばしてください。勿論私一人で出ますので私一人の分量で」
「そういう、ね…で、##name_1##はどうするの」
「それは五条さんにお任せします。私たちの上司でしょう貴方」

びくびくしながら2人を交互に見る##name_1##。
1人は同級生、らしい。
もう1人はわからないけど、呪術師というのだけ。という状況。
そしてこの2人が相談しているのが自分の事、というはわかるのだろう。
高専1年であれば後輩はいないので七海の存在も知らない。ゆえに知らない人間と、多分知っている人間という感覚でおっかなびっくりしている。

「##name_2##さん」
「はい!」
「私はこれで失礼しますが、まあ五条さんに頼っておけば大抵の事は解決できますので」
「おい七海」
「はい?」
「もっとさー、こうさー、言い方ってあるじゃん?」
「あと五条さんに何かされた、例えば嫌な事、不快な事、信用が出来ない事をされたら周りに人に相談してください。それが学生でも十分です、連絡網がありますので」
「は、はあ…」
「##name_1##も##name_1##で返事しないの!もう!」
「…私はこれから出張となりますが、困ったことがあれば連絡をください。私の方から出来る限り可能なことは尽力します」
「は、はい…」
「こら!七海から連絡先受け取らない!」

神経質そうな字で数字が書いている紙を取り上げる五条。
七海はこうなってしまった責任を感じているのだろうが五条からすれば信頼が全くない状態。そして##name_1##は言われるままにその紙を受け取ろうとするから面白くない。
高専の1年であれば七海は知らない人間なのに不用心だ。実際七海は多くの人間から信頼を得る人間ではあるが、##name_1##の不用心さには「オマエ親に何も教わらなかったの!?」というレベルだ。まあそれなら知らない人間について行くなというのが正解だろう。
田舎であっても幼いころから「知らない人にはついて行かない」という事は嫌というほど聞かされているはずだ。

「では私はこれで」
「おう。伊地知に言っておくから準備だけしておいて」
「お、お疲れ様でした…?」
「ええ、お疲れ様でした」
「で、##name_1##」
「は、はい…五条く…五条さん?」
「五条くんで…あ、やっぱ五条“先生”で」
「先生?」
「そ。僕今先生なの」
「…先生?嘘だあ」
「あ?」
「ご、ごめん…だって」
「らしくない?」
「ん、…うん」

身体をすくめるように目に見えて小さくなる##name_1##。
高専の時から高身長の五条は、言えば普通の##name_1##からすれば大きくて怖い部類。夏油の様に物腰が柔らかければマシだが、五条の学生の時の性格を考えれば##name_1##はびくびくしてしまう。

「着替える?」
「え?」
「それ、ちょっと大きいでしょ」
「え…でも、そんなじゃ、ない、です?」
「なんで疑問形なの」
「敬語?使ったほうが、いいのかなって、思って?です」
「好きにしたら?っていうと、##name_1##が困るんだよね。タメ口でいいよ」
「う、うん…」
「で、着替える?##name_1##が着てたタイプの制服はカスタムしてない奴だからあると思うんだよな予備」
「これじゃ、ダメ?なのかな」
「いいけど、その恰好で授業受けるの?」
「授業…?」

え?と言わんばかりにキョトンとして、頭を傾げる。

「今##name_1##は東京都立呪術高専1年生!」
「う、ん」
「じゃあするでしょ、学校生活」

##name_1##の腕をがっしりと掴み、補助監督がいる部屋に堂々と入る。
近くにいた新田に「##name_1##の制服が欲しいんだけど、スタンダードな奴。予備でない?」と聞いて新田が急いで予備としてある制服を持ってきた。
##name_1##の状況は伊地知が同行していたのである程度補助監督内での共有はできていたが、こうなるとはだれも予想していなかっただろう。ついでにそれを上層部にあげるかはまだ検討中なので学長までで止まっている。

「いーじゃん。じゃあこれ着替えたら1年の教室ね、午後のあと1時間座学あるから」
「どこで着替えるの?トイレ?」
「あー、そこらへんの空き教室でいいんじゃない?そういやお前どこで寝泊まりするの」
「硝子の部屋に、おいでって」
「そ。ならいいか」
「それとも、寮のがいいのかな…五条、先生?曰く、私今高専生だし」
「それは気にしなくていいよ。数日だし。##name_1##が学生と仲良くなって泊まりたいっていうならいいけど、##name_1##の性格からしてそれはないでしょ。それとも僕の部屋泊まる?」

勢いよく頭を左右に振る##name_1##。元気の良い拒否だ。
そのあたりの危機管理はできている、という事だろう。大人の##name_1##であれば鼻で笑って終わりだろうが。
制服を持たせ、そこの空き部屋でいいから着替えておいで。と背中を押す。
##name_1##は困ったように制服と五条を見て、気が乗らなそうに部屋に入っていく。待つこと数分、懐かしい恰好で##name_1##が戻る。

「いいじゃんいいじゃん」
「う、うん…?いいの、かな…」
「じゃ、教室行こうか。僕1年生の担任してんの」
「…」
「ま、もう授業始まってんだけどさ」
「え」

それは…良くないと思うよ…?という##name_1##の正論に五条は「そうだよねえ!」とあはははと笑いはじめた。