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「##name_2##1級呪術師、よろしいでしょうか」

羂索の息のかかった上層部の部下の1人が##name_1##に向かって言う。
12月24日を超え、夏油傑特級呪術師が起こしたテロからの傷跡はまだ根深い。
1級のみならず学生までも忙しく動いている最中の事だった。

「なに?##name_1##まで上から目付けられてんの?」
「いえ、結界に関しての事です。ご案内いたしますので今からお願いいたします」
「やっとの休憩なのに……」
「残りのココア僕が飲んであげるから行きな」
「うおおおん…」
「後で五条がアイス奢ってくれるってさ」
「期間限定のがいい!あれ、あの高いの!」
「はいはい、わかったから準備しとくよ。結構色々破壊されてるから##name_1##の結界が必要なんでしょ、僕も休憩終わったらすぐ出なきゃだし」
「私も患者がいるしな。ボーナスいくらだろうな、使う時間ないけど」
「「「あははははははは!」」」
「………」

じゃ、先出るね。と休憩室で同期3人が死んだ目をしながら休憩していた場所から##name_1##が一番に立ち上がる。
ついでに言えば、死んだ目をしているのは呪術師だけではない。その作業を補助する補助監督たちも呪術師に負けず劣らず、下手をすればそれ以上に目が死んでいる。
有能な伊地知のデスクには栄養ドリンク、目薬、カフェイン入りドリンクの缶、冷えピタその他諸々が置いてある。

「ご友人たちとのお時間に邪魔をしてしまい申し訳ありません」
「あなたが来たという事はあのお方がお呼びなんでしょう?忙しい年末に夏油くんが起こしたテロで大変なんだから気を使ってほしい」
「………」

あーあ。と文句を言いたげにしている##name_1##。いや、文句は垂れているが、可愛い物だろう。
羂索。それは##name_1##が大昔、それこそ1000年近くも前の話。##name_1##が##name_1##になる、ずっと、ずーっと前、昔の話になる。
当時何もできない子供だったソレと羂索は実験的に魂で縛りを結んだ。
死んで転生しても戻っておいで。と。それが##name_1##である。もう何度転生したかは##name_1##自身覚えていない。羂索は覚えているかもしれないが、あれは食えない人間なので正確かどうかも怪しい。しかしそれでも羂索は##name_1##の主である。
呼ばれれば行かねばならないし、死ねと言われれば死なねばならない。
案内されるまま歩く##name_1##。
いつもであれば車で移動して会う事が多く、その場のスイーツを食べるのが##name_1##の密かな楽しみになっていた。
車に乗ったは良いが、行きついた先は火葬場。
##name_1##が眉をひそめているのを無視したその人は車のドアを開けて降りるように促す。
中に入り、部屋の前にその人が立つと「どうぞ」と指示をされる。この部屋に待っているらしい。
今まで変人であるとは思っていたが、こんな場所に呼び出すなんて悪趣味も良いと所だ。変人ここに極まれり、か?と内心で笑いながらドアを開ける。

「やあ##name_1##」
「!!……げ、と……どうし、五条く、が………」
「ふふふふ」
「っ!!け、んじゃく、さま…?」
「そう、正解、大当たり。今ほど乗り換えたところでね、驚いた?」
「悪趣味が、過ぎます……」
「あれ?言ってなかった?私夏油傑の呪霊操術欲しかったんだよ。それに、夏油傑自身も。あの五条悟の唯一の弱点だし。はい、腕の再生終わり。この肉体も完成されていていいね、術式も肉体も非常に良い」
「なんで…五条くん、処理したって…」
「今更人間味を出して家入硝子に配慮したつもりなんだろ。馬鹿だよね」

用意された蒸しタオルで軽く身体を拭き始める。
死体になった時点で清められてはいるが、肉体自体は冷えているのだろう。
部屋の外に待つ人間に「風呂の用意を」と声をかけている。

「死後硬直がきついな、早く入れたらいいけど。あいたたた」
「……ご用は、何でしょうか」
「新しい肉体のお披露目さ。本当なら##name_1##にも立ち会ってもらおうと思ったんだんよ、でもほら、夏油傑のテロのおかげで呪術師はてんてこ舞いだったし。これでも私は気を使ったんだよ?いつもお前が居ない時に入れ替えていたからね、経験としてはさせてあげたかったんだよ。親心というものさ」
「…………」
「ついでに背中でも流してもらおうかな。御覧の通り死後硬直でなかなかいう事を聞かない」
「ご冗談を。反転術式で全快なさっているではありませんか。湯あみの相手ならば他を。私は事後処理が残っていますので」
「つれないね。その混乱した頭と顔では五条悟に怪しまれるよ、時間を与えるのだから整理をしてから戻りなさい」
「それは羂索様が!………夏油くんの、身体をお使いになるから……」
「私が悪いの?」
「………っ」
「夏油傑の作戦負けだよ」

冷淡で、事実しかない言葉だった。
それに関して##name_1##は何も言えない。
そもそも、夏油が離反した時だってそうだった。

「おや、そんな顔をさせたいわけじゃないんだけど」
「…………、結界の要件で呼び出されました」
「相談、いや会議か。それをしたとでも言っておけばいい」
「今の時代、セクハラです」
「ああ、確かに?男と女か……今までお前は男だったけど今度は女だしね……私は気にしないよ」
「気にしてください」
「夏油傑の身体だから?学生時代親しかったみたいだね、身体の記憶から##name_1##をよく気にしていたみたいだよ」
「馬鹿にしてた、の間違いではありませんか」
「あっははは。夏油傑も可哀想に、純粋にお前を心配していたのが本人には伝わっていなかったようだ。##name_1##を弱者として気にかけていたようだよ?まったく笑えるねえ」
「学生の、まだ、夏油くんが居た時は……羂索様に見つけていただいていませんでしたので。その認識は正しいと思います」

実際羂索と接触があるまで##name_1##は普通の呪術高専生だった。
何をもって普通かといえば、一般家庭から出た子であり、素養はそれなり。目立った術式もなければ後ろ盾もない子。
それが夏油傑が離反した後に羂索が接触し、過去の記録を引きずり出して今に至る。
結界術の巧みさは生まれ変わることに精密さをあげていき、学生の頃から呪術としての技量はいまいちであっても結界術に関しては他の追随を許さない程度には抜きんでていた。
補助監督よりもいい帳を落とすと評判だった。それゆえ何も知らない補助監督に「呪術師じゃなくて補助監督という道もあるよ」と勧誘されたこともある。
##name_1##が少し黙っていると、ノック音が響き、外の関係者から「湯の準備が整いました」と声がする。

「##name_1##、背中を流しなさい」
「羂索様!」
「命令だよ。なに、何もしないさ。実際まだ馴染んていないから動きが悪い、反転術式を使ったとて最初はそうなんだよ」
「……では、私もお願いよろしいでしょうか」
「ああ、私のできる範囲でなら」
「東京から離れたいです」
「五条悟?」
「はい。きっと五条くんは私の変化に気づくと思います。羂索様が夏油くんの身体を使っているという、私の戸惑いに」
「わかった、早急に手配しよう。そうだな、京都がいいかな。##name_1##の仲良しの子が確か京都で教師をしている。あちらには他人に反転術式が使える呪術師がいないから気を付けなさい。伝令役に誰か一緒に行かせようかな……まあ、それは追々。風呂で温まろうか」

一般にも使われているこの施設、羂索が付けるように言ったのか、一般的に備わっているのかは##name_1##走らないが立派な浴室が付いている。
##name_1##は見たくもない、かつての同期の裸を見る羽目になって大きな溜息をついた。