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「##name_1##じゃん」
「…………」
「で?なんで五条が##name_1##抱えてんの?」
「あれと一緒に居たから連れてきた」

ふーん。とサングラスと煙草が似合っている家入硝子は軽く笑う。
少しボロボロになった服装の五条に綺麗な着物を着ている##name_1##がわきに抱えられているのだ。
いったい何があったよ。と面白く思っているのだろう。

「まあ加茂から生きてるって報告来てからな。裏切っている可能性があるって」
「えーなに?##name_1##裏切ってんの?だから抵抗したの?」
「とりあえず降ろせば?」
「駄目!羂索様にいじられてる可能性あるから隔離して」
「けんじゃくさま〜??ちょっとちょっと##name_1##ちゃん、どういうことか僕に説明してくれる?」
「っと、その前に。こっちも色々あるんだよ五条。##name_1##の件もあるがまずはこっち。で、##name_1##は隔離して欲しいんだな?」
「うん。ついでに私の監視も。私をためらわず殺せる人が良い」
「まあその人選は楽巌寺学長に任せるよ」
「夜蛾学長は?」
「………まあ、それは後で」

できれば敷地外が良いという##name_1##の希望はあっさりと却下された。
この惨状を顧みれば当たり前ではあるが、危険性を説いても駄目だと言われた。
五条悟の復活を考えれば危険性も低いと踏んだのかもしれない。確かに特級対特級であれば勝負はわからないが、特級対1級となれば勝負せずともわかる。

「でもさ、この部屋は酷くないか…?」

普段であれば呪霊の実験などで使われる、言えば近寄りたくない部屋。
今はその呪霊が脱走なのか意図的に外に放たれて空っぽになっているそこを宛がわれたのだ。確かに、そういうのにはちょうどいいのかもしれないが##name_1##は文句を言いたい。
「私は人間だぞー!……たぶん」という尻すぼみな主張ではあるが、するくらいは良いだろう。裏切者ではあるが、が付くが。

「失礼します」
「…あ、加茂くん。無事に合流できたんだ、良かった」
「おかげさまで。その恰好では窮屈でしょう、歌姫先生と家入さんから服を預かってきました」
「ありがとう、助かる。窮屈だったの。加茂くん髪切ったんだね」
「はい」
「それで加茂くんが私の監視役?ちゃんと私殺せる?」
「………恐らく。張相が手をあげたのですが、私が代わってもらいました。本家で世話をしていただいたので、と」
「世話なんてしてないでしょう?」
「……あとで、先生方が話を聞きに来るそうです。それまで私が監視役として部屋の外に待機していますので、何かあれば声をかけてください」

着替えを受け取って加茂が出て行ったのを確認して着物から洋服に着替える。
高い着物、というより着物が疲れるのだ。
今まで来ていたのは羂索の趣味。いえば着せ替え人形としての部分もあった。まず##name_1##からしたら見る分にはいいが自分が身に着けるには動きづらい。もしかしたら動きづらさを狙っての和装だったのかもしれないが、まあ羂索から離れてしまえば問題はない。
脱いだ着物を簡単に畳み、汚れない様に気を使いながら加茂に声をかけると彼がそれを保管してくれるというので手渡した。元は彼の家の着物である、返した、と言えばそうだが勝手に着ていた部分があるので少々申し訳ない。
それから数時間後、##name_1##がうつらうつらしていると静寂は一気に消されてしまった。

「やっほー!」
「寝てたか?すまんな」
「いや…だいじょぶ…」
「眠そうじゃん」
「まあ、…うん……やっと取り調べ?遅いよ、もう少ししたらガッツリ寝るところだった」
「この部屋で?マジ?」
「数時間ここにいたら慣れるって。嫌だけど」

家入、五条。同級生の、言えばエリート2人が##name_1##の取り調べなのだろう。
軽く伸びて立ち上がれば、久しぶりにしっかりと2人の顔をみたと思った##name_1##と同じく、2人とも同じことを思ったらしい。
長期の出張もあるが、ここまで長く顔を合せなかったことはなかった。

「七海くんは?」
「七海、夜蛾学長は死んだよ」
「……あ……そう、なんだ…そっか、うん………」
「アレは教えてくれなかったわけ?」
「教える必要がなかったんだと思う。そっか………会えないのか…」
「で?これから##name_1##には色々聞かないといけないんだけどいい?」
「いいよ。まだ生きてるってことは、私が生きてて困ることがないってことだし」
「卑屈じゃん」
「卑屈にもなるでしょ」
「でも、その前にさ」
「?」
「高専に結界張ってくんない?」
「えっ」
「天元様いなくて結界がな。今居る人間で一番##name_1##が適任だろ?」
「えー?硝子まで?嘘でしょ?私羂索様側だったんですけど?」
「言い訳なんて考える必要ないでしょ。僕勝つし」
「ええええ……この場合私どうしたらいいわけ?羂索様が勝つしとでも?でもなー」
「いいから結界張りなって。呪霊の対処と防衛の点で楽になるんだよ」
「ま、禁止されてたら死ぬくらいだし、いいか。了解」

いいんだ。という突っ込みは起きず、結界を張る算段に入る3人。
地図を出され「現在地がここ、範囲はこの程度欲しい。さっき言った通りに呪霊と呪詛師の防衛がしたんだ」と言われて##name_1##は頷いてから楽々結界を張る。

「こんな?」
「後で確認しておく。まあ##name_1##の結界なら大丈夫でしょ」
「加茂くんに確認してもらえば?そこに居るんでしょ?」
「彼はもう帰したよ。補助監督に代わってる」
「ちょっと、私を殺せないじゃん何かあった時に」
「殺させないから安心な」
「えー困る。羂索様にいじられてるかもしれないのに?私の見聞きした情報が流れてるかもしれないのに?いざという時に私が自爆するようになってるかもなのに?」
「##name_1##、それ詳しく教えてくれる?」

にこー。と笑顔だが威圧感がある。
怒っている。のを隠しているつもりなのか威嚇のつもりなのか。
ちらりと家入の方を見ればシラーとして「ま、説明よろ」と言いうようにしている。
対して##name_1##は今までの羂索との関係を見れば、自分をそのように扱う可能性の話をしただけだ。
ただ羂索にとって五条の復活がこれほどまで早いものになるとは思っていなかっただろう。##name_1##も知らなかったが解放に関して裏技のようなものがあったのだ。
恐れて海底に沈めたは良いが、それでも復活してしまった男が目の前にいる。
抵抗したところで無意味な証拠だ。

「どこから聞く?私が転生体から?」
「転生体?」
「最初?始まりは結構昔でもうあんまり覚えてないんだけどね。最初は羂索様の弟子?だったかな…そんな感じで私実験的に魂の縛りを結んだわけよ。羂索様の事尊敬していたし、羂索様のお力になれるならって」
「##name_1##の心情はいいから、客観的にしてくれる?僕ブチ切れちゃう」
「……うっす」

では。と##name_1##はひとつ咳ばらいをしてから羂索との関係を簡潔に話始める。
師弟であり主と従者。
転生を繰り返し羂索に出会う事で過去を思い出している事。
最初こそ結界術が得意だったものがここまでの完成度を高めるには転生を繰り返したおかげ、らしいという事。

「で、そんな長ーい関係なのにその、ケンジャクってのは##name_1##を簡単に捨てるのか?」
「私なんて所詮従者だからね。トカゲの尻尾切りみたいなもんよ、どうせまた何十年かしたら成長して欲しければ迎えに行けば戻ってくるんだし」
「うわクズじゃん」
「夏油くんの中に入るくらいだしね!」
「あ?」
「あーこわ。ついでに、私もしかしたら羂索様に脳いじられるかもしれないし、体内に仕込まれてるかもしれないし?というので私に情報は漏らさないでほしいしい隔離してほしかったんだよね」
「それで自分を殺せるやつってか?どうするよ五条」
「駄目だねー本当駄目。##name_1##ってば超ダメ」

演技がかった仕草で2人が大げさにダメ出しを始める。
この2人が組むなんて珍しいな。というより、五条に付き合う家入が珍しいというのだろうか。
学生時代であれば特級コンビがふざけ合っていたが、それももうかなり昔の事。片割れはもう死んでしまったのでそれを見ることはない。

「##name_1##、お前の目の前にいる五条の目はなんだ?」
「え、ふたつ?」
「そういうボケは求めてない」
「ちぇ。六眼ってこと?」
「それが異変を訴えていないってことは?」
「羂索様のすることを知らないんじゃない?」
「……そのケンジャクは五条の六眼以上の事が出来るって言うわけ?」
「実際五条くんは違和感だけで羂索様を見破ったわけでしょ?羂索様はそういうお方なんですよ」
「随分##name_1##はアレを信頼してるんだね」
「ながーいお付き合いですので。魂だけの話をしたら誰よりも長いお付き合いです」
「硝子、##name_1##の頭いじられた形跡は」
「##name_1##、診るから動くなよ」
「うい」

大人しく##name_1##は家入にされるがまま。
むしろなにもされていないという可能性の方が低いと##name_1##は判断している。
何度産まれても、結局は羂索のために生きて死んでいる。
別にそれに関しては何の感情もわかないのも事実だ。そういう縛りをするのを受け入れた自分がいる。

「手術痕はないな」
「蟲の呪力も感じない。##name_1##、オマエ何もされてないんじゃない?」
「そうかな…私絶対何かされてると思うんだよね…前もこんな感じになって爆弾代わりにされたんだよ」
「そんな相手手切れよ…」
「魂での縛りなもので。あ、関係ないけど私死んで死体があれば宿儺様が食べてるって言ってたな」
「あ?」
「羂索様が『あげるよ〜』って感じに。羂索様もどうせまた戻ってくるしって感覚なんだろうね。死ぬのは私だっての」

もう何度か死んでるからどうというわけでもないけどさ。とあっけらかんという##name_1##に家入と五条の顔がゆがむ。
夏油の死体を使われている上に、今度は##name_1##までその手のうちにあるのだ。
しかしその2人の心情など知らない##name_1##は「いっそこのまま自殺した方がいいのかもね。あ、でもそうするとここの結界どうしようね」と笑っている。

「で、裏切るつもりはないけど羂索様の事を考えると」
「様つけんなボケ」
「えええ…だって、羂索様私の主だし…無理な話では?」
「爆弾扱い、盾扱いでもか?」
「私にとってはそれが普通だし?私は羂索様の道具だからなあ」
「##name_1##は道具じゃない」
「へへへへ」
「呆れたおバカだねえ…僕らがこんなに言ってるのに」
「私はね、今、つい最近目覚めたから、どちらかと言えば高専の方に重きを置いてるの。それは羂索様もご存じだし、仕方ないって言われてる。だって起こすの遅いんだよね。 それでも羂索様が私を自由にさせてるのは、私が裏切ったとしてもあんまり影響がないんだよ、私自身羂索様の本心を知らないし。本当に邪魔なら夏油くんの術式使って早々に殺しているだろうしね。それか私を通して高専の内部探ってるか。上層部殺して自分の良いようにしてるから、ちょっとその可能性は低いけど」
「それでもケンジャクに忠誠誓う##name_1##はなんなんだよ」
「言ったでしょう?縛りなの。私は羂索様が使うのに呼ばれたら目覚める転生体。必ず結界術が得意なんだ、今回は最高にいいらしいよ?羂索様喜んでいらしたし、宿儺様にも裏梅様にも褒められちった」

境界が曖昧。
五条でさえも転生体というものに当たったことはない。
##name_1##がそういうなら「そう」なのだろう、としか。しかし答えはでない。
転生を否定するわけではない。魂、霊魂というものがあるから人から呪霊、呪いに転化するものがあるわけだ。
実験的なもの、といえどそこまで強い縛りをするには相当な何かがありそうだが。と通常運転の##name_1##を見て五条は唸る。
家入も##name_1##に物理的に手を加えられたと思われる点がないのでお手上げなのだろう。
しかし##name_1##は##name_1##で以前羂索によってされたことを考えれば警戒する方がいいだろう、というだけ。

「あーもう本当嫌になるね」
「殺す?」
「殺さねーよ」
「気持ちはわかるが、まあ一旦死ぬことから離れな。今##name_1##がここにいる理由はここに結界を張る、それだけ」
「単純明快でわかりやすい。でも私も保険が欲しい。私は私が信用ならない、それは今まので経験があるから。だから私を殺せる何かが欲しい」
「死のうとしないの。すぐ死のうとするのはおバカのすることだよ##name_1##」
「死になれてるんだよね。死んだら次がるしなーて感覚でさ、まあ羂索様が死んだらどうなるか分からないけどね。また転生してくるのかこないのか。色々あって、2人が生きているうちに転生してきたらヨロシクー」
「おい##name_1##、オマエ話きいてんの?」

うっわ怖。と##name_1##はケラケラ笑いだした。