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2016/10/20 11:27

「何しているの、ランサー」
「………」
「ランサー?」

庭に知っている男、それもここに下宿しているサーヴァントの一人。
彼は庭にでる事はあまりない。まったくではないが用事がない限りそこに出てぶらぶらすることもなければ、自発的に庭に来ることはない。
それにその姿は見慣れない姿をしている。どちらかと言えば体にフィットした物を好んでいたはずだが、今はふわっとしたシルエットの服装だ。

「##name_1##、」
「なに?どうしたの…」
「無事、なんだな」

なんの話だろうかと##name_1##が頭を傾げる。
無事も何も危険な事はなにもない、今朝だって具合が悪いわけではなかったしテレビの占いだって良くもないが悪くもない真ん中あたりの運勢だった。
料理中に怪我だってしていないし、誰かとケンカをしたと言う事もない。
何が無事なのだろうか。

「庭に猫でもいるのか?」
「…え?、」
「?」
「え、だ…え、?庭に、ランサーいるのに、え、な…なん、で?」

釣りにでも行っていたのだろう、その手にはバケツがぶら下がっている。
キョトンとして、そしてからそのバケツを##name_1##に投げるように押し付けて庭に飛び出して恐ろしい赤い槍を出して姿勢を低くする。

「ナニモンだ、手前」
「お前と同じクーフーリンだ」
「あ?」
「ただランサーじゃねえ、キャスターっていうだけの同じクーフーリンだよ。おっとここで戦おうなんて思うなよ?##name_1##が耐えられんだろ」
「……##name_1##を知っているのか」
「ああ、ここじゃない時間軸でのマスターなんでな。時間軸違いだとはいえマスター弱らせるつもりはねえよ」
「ラ、ランサー…話がわからないんだけど…」

弱弱しい声で##name_1##が助けを求めるように声を上げる。
バケツを抱えながら意味がわからないといった困惑した顔をして、それでもその場を動く事も出来ずに。
そのある意味間抜けな姿を見てランサーは毒気が抜けたのか槍を仕舞い、とりあえず上がれよ。と##name_1##の意思を無視して突如現れたサーヴァントに声をかける。

「ランサー…」
「俺だっていうんだ、悪いようにしまいよ。##name_1##、茶飲もうぜ」
「え……でも、」
「魚は後でいい。おい俺、アーチャーが来る前に話を付けるぞ」
「ああ」
「………私だけ置いてけぼりじゃない」
「俺もわからん。が、そのままというわけにもいかんだろ。聞きたいこともあるしな」

勝手知ったる家というのだろうか、ランサーもランサーだがあのサーヴァントも遠慮なしに家に上がる。
##name_1##の顔を見るなり「無事でよかったな」とまた言われるが、##name_1##に心当たりはない。とりあえず反射的に頷いて見せると心底安心したような顔をして居間に行ってしまった。
残された##name_1##は取りあえず魚をどうにかしなければと台所に急ぎ、手早くかつ簡単な処理だけをしているとランサーに「そんなの後にして早く来い」とせっつかれた。

「えっと…ランサーのキャスター」
「クーフーリンのキャスターだ。なんだよランサーのキャスターって」
「##name_1##は知らんかもしれんが俺それこそほぼ全クラス適正持ってるからな。一番有名どころってことでランサーで今回参加しているがキャスター適正あるぜ、俺」
「…ランサーがキャスターみたいに、魔術、使うの?」
「面倒だから使ってないがランサークラスでも使えんことはないぞ」
「…う、ん……?」

意味がわからない。それが##name_1##の今の心境でありおそらくこのままその状態は続く予感はしている。
そもそもランサーに下宿として部屋を貸しているがどのような英雄かは正直よく理解していない。普段は気の良いお兄さんであり、アーチャーのケンカ仲間というのが今の##name_1##にとってのランサーである。

「で、だ。ここには何しに来た、さっきのやり取りで大体の事情は掴んだが理由がわからん」
「簡単な話だ。俺のマスターが##name_1##なんだよ」
「あー」
「あーって…私、誰とも契約してないわ。それこそ契約なんて10年前の」
「そうだな、ここじゃそうなんだ。ただ時間軸の違う##name_1##は違った、言峰に良い様に言い包められて俺を召喚したんだよ。ランサーじゃなくキャスターでな」
「……?」
「まあんなこと今のお前さんに言ったところでわけわからんだろうな。お前に文句言うつもりはねえよ」

やはり話が理解できない。とりあえずはそのキャスターは時間軸の違う##name_1##と契約をしてマスターとサーヴァントとしての関係になっているというのはなんとなく理解した。
するとランサーはランサーで「いいよな、##name_1##と契約しててよ」と愚痴る様に文句を言っている。その件に関しては##name_1##は何度も断っているしランサーも諦めていたはずだが、どうやらそうでもなかったらしい。

「ま、俺が契約している##name_1##はカルデアってところに居る。なんかの拍子に俺だけここに飛ばされたんだろうな」