ついつい | ナノ
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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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2014/01/30 23:21

「背中がぞくぞくしませんか?」
「っ!?せ、背中というより…し、心臓が、ドックドク、いってます…」
「恩返しに来ましたよ。夜の見張り番らしいですね、お付き合いします」
「…あ、あの、それは?」
「酒ですが?」
「法正殿がお飲みに?」
「貴女と一緒に。ああ、見張り番でしたね」
「……あの、恩返し、とは?」
「先日の戦の折りに助けていただいたでしょう?奇襲を奇襲されて、その時に」
「(ああ、たまたま近くにいたから救援に行ったアレか)いえ、仕事ですのでお気になさらないでください」
「それでは俺の気が収まらない。悪い人ですね、貴女」
「収まらないと言われても…仕事ですから……」
「恩返しさせてくれないとは。そんなに俺に恩を売り付けて、どうするつもりで?」
「恩だなんて…そんな」
「命を救っていただいたんだ、それなりにさせてくださいよ」
(それ酒が飲みたいだけじゃ…)
「別に酒が飲みたい訳じゃありませんよ?ちょっと冷えますから、温めるのに」
「……あの、恩を私に返したいとおっしゃりましたよね?では、私からの頼み事でもよろしいでしょうか」
「ええ、もちろん」
「では私の背後から気配を消して話しかけないでください。声をかけていただける場合は普通にしていただけると助かります」
「………それ、どこが恩返しになるんです?」
「なりますとも。私の心臓が驚いて急停止しません。先程のは心臓が止まってしまうかと思いました」
「…………」
「それだけで私の心臓は少しの間守られますから、十分な恩返しになると思います」
「わかりました、わかりましたよ。それで恩返しにいたしましょう」
「(あー、よかったー。変な人から解放されるー)」
「でも今日の見張り番にはお付き合いさせていただきますよ」
「えっ」