ついつい | ナノ
×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -







2013/03/20 21:45

通常主


「失礼します」

「どうした、何か父に用事か?」


その問いかけに##name_1##は笑顔で「いいえ」と答える。今その部屋にはシンドバッドが執務を行っているが、そこに##name_1##が用事があるようには思えない。なので##name_1##の答えは予想はできていた。


「ここにアラジンとアリババ来ましたよね」

「アラジンとアリババ…いや、来ていないが?」

「嘘です」

「何故、嘘だと?」

「その前に、何故私が二人を探しているかをお聞きにならないのですか?」


カツンと##name_1##の靴が鳴る。その音に反応するように震える気配がする。
確かに##name_1##の言うとおりシンドバッドは嘘を付いた。それは二人に言わないでくれと頼まれたからだ。それはアラジンが提案した「かくれんぼ」だ。その遊び中だから言わないでくれと。二人で同じ所にくるのは戦術としてどうなのだろうかとは思ったが、遊びなのだからそこまでシビアにすることもない。


「…##name_1##殿、お二人は」

「この部屋にいるのは解っています。大人しく出てくれば良し、そうでないならジャーファルに王の仕事を妨げたと告げ口をします」

「……マスター、確信持ってますから黙っていた方が良さそうですよ白龍のお兄さん」

「そのようですね…」

「…あの、この国のかくれんぼはこの様な遊び方なのですか?」

「違うぞ、白龍。この遊びは##name_1##が何かしら誤解して」


こんな怖い遊びじゃないぞ!と叫ぶシンドバッド。
かくれんぼといえば幼子の可愛らしい遊びのひとつ。こんな脅しをかけるような遊びではない。絶対に。
その証拠に##name_1##の使い魔の少年は苦笑いをしている。


「マスター?かくれんぼはもっと優しい遊びですよ」

「え?」

「あの、多分そんな軍みたいにしませんよ##name_1##殿…」

「逃げた人をとことん追いつめて捕まえるのじゃないの?」

「誰の入れ知恵だ##name_1##。父に教えなさい」

「アリババです。簡単に言うとそんな感じだって。捕まえるのには正義も悪もないから、鬼はとことん追い詰める遊びだって…違うの、ですか?」


だから精神的にも追い詰めるべきかと思いました。と恐ろしいことを言う##name_1##。その後ろでは白龍の顔は青ざめ、少年も若干引いている。


「だから…あんなに高圧的に…」

「白龍は##name_1##に何を…言われたんだ?」

「いえ、普通に見つかりました」

「ここに居るのは解っています、大人しく出てくるなら良し。そうでないなら…わかりますね。そういって彼は出てきました。ちなみに僕はそんな事言われる間もなく首根っこをガシッと」

「サーヴァントと人を一緒の扱いできないでしょう?」


##name_1##はその少年には厳しい。厳しいというより、扱いが少々雑だ。でも青年の彼よりも扱いはずっといい。
いつの日だったか、その少年が青年へと姿を変えてシンドバッドの前に現れたときだった。それで戸惑ったシンドバッドをみて##name_1##は何時になく冷たい声で接していた。その理由を何気なく尋ねたら「失礼な事をしたので絞めただけです」とそれは恐ろしいことを口にしたのだ。


「まあいいわ。これが最終警告よ、二人とも」

「だから##name_1##、かくれんぼは…」

「二人に言われて嘘を付いたシンドバッド王も同罪としてジャーファルに告げ口します」

「いる!こことそこだ!」


二本の腕を使って二人の居場所を指すシンドバッドにアリババとアラジンは驚嘆の声を上げて頭を出した。
その光景に白龍は口をあんぐりとあけ、少年は遠い目、##name_1##にいたっては特に気にした様子もなく普通にしている。


「酷いやおじさん…秘密にしてくれるって言ったのに…」

「##name_1##にあっちゃあ…無理なのかもだぜ?」

「ジャーファルの存在よ、二人とも。ジャーファル怒ると怖いもの」


それに##name_1##は自分で言いながら頷き、それに同じ頷くシンドバッド。
シンドリアという国の滞在は##name_1##が遊びをしている中で少しだけ長く、その僅かな差ではあるが、その差の中でジャーファルの存在は大きい。


「それにしても##name_1##さん見つけるの早すぎだよ。それにおじさんの部屋に僕らが居るのどうして確信をもっていたの?」

「だって、そんな遊びだと思わなかったから追跡魔術使ったの」


##name_1##が指をパチンと鳴らせばふわりと光が浮かび、遊びに加わってた三人の周りをクルクルと周回している。


「それならそうと教えてくれたら良かったのに。私何かの訓練の一環だと思って本気で挑んじゃった」

「………。」

「おかしいなとも思ったのよ。誰一人として私の魔術を解除しないんだもの。ううん、むしろ気付いてないかもって…」

「マスター、かくれんぼ知らないって冗談じゃなかったんですね」


遊びを訓練だと勘違いした##name_1##も##name_1##だが、アリババの説明もどうなのだろうかとシンドバッドは思う。もっと優しい感じに伝えれば##name_1##も勘違いしないのではなかろうか。
むしろそんな訓練じみたことによく付き合う気になったものだ。シャルルカンの剣技なんて見ているだけで十分だと逃げていたくらいなのに。


「…##name_1##、チートすぎる」

「だってそういうルールだと思ったんだもの。よかった、精神的に追いつめなくて」

「!」

「私こういう遊び合わないみたいね、残念だけど私これで抜けるわ…」


ああ、アーチャーは加わっていていいから。と##name_1##は言い残し、シンドバッドに頭を下げて部屋を後にした。


「な、なあアーチャー…##name_1##って……」

「いや、あれは戦術の一種ですよ多分。マスターはそこまで話術がうまい訳じゃありません……多分」

「…でも、##name_1##殿なら、いや、今の言い方だと……はい」

「あの追跡魔術どうやったのかな…僕、##name_1##さんに聞いて教えて貰ってくる!」


##name_1##さーん!とキラキラとしたアラジンは##name_1##の後を追いかけ、シンドバッドの部屋には男が4人。
なんとも言えない空気の沈黙が部屋を満たし、誰もが目を泳がせながら何かのきっかけをまっている。


「僕、マスターの所に行きますね。アラジンがマスターにセクハラしたら困るので」

「そ、そうだな…一応##name_1##は姫だもんな…」

「アリババ殿、一応だなんて失礼ですよ」

「そうだぞ!##name_1##はオレのかわいい娘だ」


うわあ。といった顔で見られたシンドバッドはなんだかやるせない気持ちになった。