お部屋会議
「君島さん、これからの資金集めについてですが」
「は、はいぃっ!?」

ビクゥ、と肩を揺らしてしまったのは仕方ないんだ。だって風呂を出た瞬間に言われるなんてタイミングが良すぎる

「…大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫です。で、資金がどうかしましたか?」

なんとかバスローブの上からドキドキ煩い心臓を押さえつつ、三人の近くに歩み寄る
怪訝な表情の潮江さんをはじめ、小さな二人からも不思議そうに見つめられつつ彼等に話を促した。

「芸をして稼ごうかと話してまして」
「…芸?」

ポカンと聞き返す。

「俺達見た目はポケモンですけど中身は人間ですから!」
「道端で芸をすれば利口なポケモンとして稼げると思うんです」

少年達は流石忍たま。先を考えているし、暗くならずキラキラと未来を見ている。だけど…

「反対です。」

ダンッとローテーブルに手を付き告げる
三人の双眸が見開かれた

「なっ、何でですか!?」

珍しく黒門くんの方が声を荒げ詰め寄ってきた。それだけ私の反対に驚いたんだろう

でも、私はどうしてもそれだけは許す事はできないのだ。
偉そうな事を言ってるかもしれないが、彼等が一生懸命考えた案だとしてもこのラインだけは守らないと不味い

「そんな見世物みたいに…絶対反対です。それに君達は人の目を集めると危険が増える可能性があります」
「君島さんしかし…」
「しかしもお菓子もありません。兎に角、保護者として許可できません」

ピシャリと言えば、部屋の中がシンと静まる。

もし、芸をすれば行く端々で話題になる。聞き付けた悪い組織に目を付けられるとどうなるか…
ポケモンの世界といってもどの舞台か分からない。ロケット団が壊滅してるか分からない。ロケット団がいないとしても、ポケモンを違法に研究している組織がないとも限らない。
それらに狙われた時、私に彼等を守ることは不可能だ。太刀打ちできない
だから、私は彼等が危ない目に合わないように知識を駆使して未然に防ぐ
それしか出来ない。

大芸道をする事に比べたら、仕方ないのかもしれない
私が先程まで考えていた案。正直気は進まないが、彼等が切羽詰まって私の反対を押しきるよりは…

「トレーナー同士がポケモンバトルで勝てば、負けた方から報奨金が貰えます」
「…は?それは…」

俯いていた三人は私の台詞に顔を上げた。
今度は私が頭を下げる番だ

「バトルの事やポケモンの事、私が知ってる事は教えます。レベルも考慮して相手に挑みます。なので、私の手持ちとして戦ってくれませんか?」
「な…!?頭を上げてください!」

潮江さんの焦った声を初めて聞いたかもしれない

「君島さんじゃなく、我々が頼むべき事でしょう。」
「そうですよ!バトルって…君島さんは危なくないんですか?」
「一般人を巻き込むのは忍者の世界じゃ、ご法度なんですから!」

顔を上げれば次々言われる言葉に、彼等の真摯さが表れている
でも、巻き込んでるのは私の方だろうに。というか、もう忍者の世界の域を飛び出してるんだから気にする必要ないのに

「大丈夫ですよ。私が一番詳しいでしょう?それで…戦ってくれますか?」
「勿論です。ご指導お願いします」
「僕たちも出来るだけ力になります」
「任せてください!」

頼もしい彼等がいれば、この世界でも暫くは生きていけそうだ。


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