小説 | ナノ

誰だ。戦が終わる頃には弁慶も私を忘れて、望美ちゃんを好きになってるだろ〜 とか安易に考えて、平和になったら受け入れる…って馬鹿なこと約束したの。

……私だよ。

空に流れる雲を見つめ現実逃避していたら、一段と穏やかな声で名前を呼ばれた。

「どうしました?具合でも悪いんですか…?」
「いや、至って健康体です」
「そうですか?」

不思議そうに口元に手を当て、首を傾げる弁慶。
何でそんな美人なの。

「ちょっとさ、これで本当に良かったのかな…って自問自答してただけ。」
「…嫌なんですか?受け入れるって言ってくれたのに…僕は君が居ないと…」
「あーあー、分かった分かったから!それ止めてよね!」

ぐるぐると暗い空気を纏って私の手を握る(相変わらず痛い)弁慶を慌てて宥め、怖いオーラを仕舞ってもらう。

「でも…後悔しない?」
「それは僕側の台詞ですよ。僕は言いませんけどね。ここに来て断られたくありませんから」

少し不機嫌に、唇を尖らせるもんだから笑ってしまう。

「今更それは無いよ。私だって一応、貰った時間で考えたんだから」
「でも、だって、最初から受け入れるつもりは無かったんでしょう?」

ポツリと零れた彼の言葉に、今度は苦笑が浮かぶ。分かってて黙ってた癖に、今になって…子供っぽい態度取るんだからなぁ

「うん。だから、負けたよ。」

目の前に咲き広がる花々が風で揺れる。

「好き、です。僕は君を…」

同じ台詞を何度だって、 戦が終わって平和になった時も、花畑に2人で来た今も、

未だに何で、弁慶が私を想ってくれてるのか納得できないけど 結局約束を守った私は、少しは分かったからなのだろうか。

私と彼は釣り合わないし、烏滸がましいとさえ思うけど、 絆されたのは私。

白く清廉に咲き誇る花をいくつか摘んで、小さな花束を作った。 それを返事の代わりに弁慶の耳上に飾ってやる。

「改めて、弁慶…結婚しよう」
「はい。いつまでも、傍に居てくださいね」

和平を結び、平和を手に入れて数ヶ月経った今日。 私と彼は正式に結婚することになりました。

これ以上、絆されるのは勘弁したいんだけど… 弁慶の綺麗な微笑みを見てたら、無理そうだと悟った。


fin.


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