小説 | ナノ



「僕は、諦めませんから」

身動きが取れない。
後ろは壁、左右に彼の腕、正面には月を背に微笑む弁慶。
八方塞がりとはこの事かもしれない

「な、にを…」
「君が受け入れてくれるまで、何度だって…」

続きの言葉は告げず、顔を近付けてくる。
固まる私を良い事に、耳元に唇を寄せ囁く彼。
耳を掠めた吐息に首筋が粟立った。

そのままゆっくりと離れた彼の、口元は悠然と微笑んでいた。

「覚悟して下さい?」

してたまるか。



第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -