07
ハンジとミケに連れられ、地下牢から出たエレンが連れてこられた場所は、審議所だった。
そこではエレンをどちらの兵団が引き取るかと言う兵法会議が行われ、憲兵団はエレンを生体解剖し、巨人に関する情報をできる限り取り出し、最後には死んでもらうというもの。
一方調査兵団はエレンを正式な団員として迎え入れ、彼の巨人の力でウォール・マリアを奪還するというものだった。
「だいたいあなた方は、巨人を見た事もないくせに何がそんなに怖いんですか?力を持っている人が戦わなくてどうすんですか!生きる為に戦うのが怖いって言うなら、力を貸してくださいよ!!この……腰抜けどもめ!!」
「なにっ!?」
「いいから黙って……俺に投資しろぉおおおおおおッ!!」
「ッ、構えろ!」
「は、はいッ!!」
ナイルの命令を受けた兵士が、持っていた銃の銃口をエレンに向ける。
そしてその瞬間、エルヴィンとレイラに挟まれる形で立っていたリヴァイが柵を乗り越え一人飛び出した。
「がはっ…!!」
鋭く強烈な蹴りがエレンを襲う。
その衝撃でエレンの歯が抜けるのも構わず、リヴァイは鳩尾や顔面に蹴りを入れ続ける。
「これは持論だが、躾に効くのは痛みだと思う。今お前に必要なのは、言葉による教育ではなく教訓だ。しゃがんでるから丁度蹴りやすいしな」
その後も容赦無く暴行を続けるリヴァイ。
レイラも柵を乗り越え、エレンの元まで赴くと彼の髪をつかみ、持ち上げ耳元でこう呟く。
「悪いけがこのまま、もう少しリヴァイにやられておけよ。これはお前を調査兵団が引き取る為の一つの演出だ。いいな」
低く、とても威圧のある声で。
「待て…リヴァイ、レイラ」
「何だ」
「…危険だ。恨みを買ってもしそいつが巨人化したらどうする」
「何言ってる。お前ら、こいつを解剖するんだろ?こいつは巨人化した時、力尽きるまでに20体の巨人を殺したらしい。敵だとすれば、知恵がある分厄介かもしれん。だとしても俺の敵じゃないがな。だがお前らはどうする?こいつをいじめた奴らもよく考えてみるといい。本当に、こいつを殺せるのかどうか…」
「総統、ご提案があります」
「なんだ」
「エレンの巨人の力は不確定な要素を多分に含んでおり、危険は常に潜んでおります。そこで、エレンの管理をリヴァイ兵士長とレイラ副兵士長に任せ、その上で壁外調査に出ます」
「エレンを伴ってか?」
「はい。エレンが巨人の力を制御できるか、人類にとって理がある存在かどうか。その調査の結果で判断していただきたい」
「エレン・イェーガーの管理か……。できるのか?リヴァイ、レイラ」
「殺すことに関しては間違いなく。問題はむしろ、その中間が無い事にある」
「たかが巨人に私達がやられるとでも?こんなガキ、私達なら瞬殺だな」
「そうか…。なら結論は出たな」
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