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「ぶぇっし!」



窓際の一番後ろの席。

制服のシャツの上にだぼだぼのセーターを着た少女の名前は御子柴ミコト。


そして今の時刻、午後4時44分。



「あーあ、最低……っ」



ミコトは教室に備え付けられた時計と自身の携帯を見てさらに悪態をついた。



「タイミング悪すぎ。なんなのよもう」



そう言うとミコトは外を見た。

季節は夏だと言うのに、外は真っ暗。

現実世界とは真逆の裏の世界に、ミコトは今いた。



ガタガタガタッッ


「「「うわぁああーーーっ!!!!!」」」

「!!?」



教室の扉が勢いよく開くと、カラフルな頭の集団が教室の中に飛び込んできた。



「な、なに…?」



突然な出来事ばかりで驚いてしまう。

良く見ればカラフルな頭の正体は見知った顔、バスケ部の面々だった。

と言っても校内で有名なだけで、ミコトは顔くらい知らず、もっも細かく言えば髪の色でしか判断出来ていない。



「だ、だれっスかあんた!!もしかしてあんたもオバケ!!?」

「失礼な!あたしは列記とした人間よ!!」



コメディの様な展開。

しかしハッキリ言っておこう。

これはホラー小説である。



「御子柴さん?どうしてここに…」

「え?……ああーー!黒子!?」



ビシィィィッ!


ミコトは黒子を見るなり彼を指差し「なんでここにいるの」と首をかしげた。



「黒子、知り合いかい?」

「同じクラスの御子柴さんです」

「どうもー」



赤い髪の毛の持ち主である彼の名前は赤司征十郎。

男子バスケ部の主将だ。

もちろんミコトはそんな事は知らないので、赤司のことは「赤い人」としか認識していない。

黒子だけは顔と名前が一致している。

ただ影が薄いのでよく見失う。



「でさ黒子、なんであんた此処にいるの?」

「されが僕たちも詳しいことはわからないんです…。気づいたら全員ここにいて」

「御子柴、君はここが何処だか知っているのか」

「知ってるも何も…ここはあたし達が元いた世界とは別の世界。裏世界だよ」

「裏…?」



ミコトは赤司の声に「そう」と頷きながら再び席についた。

そして辺りを見渡す。

この教室にいるのはミコトも含めて7人。

カラフルな頭を眺めつつ、ミコトは少しづつ説明しはじめた。




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