3 雨、逃げ出した後


______



それから一週間だけカヲルと一緒に過ごした。



一週間だったのでさすがに学校に行くわけにもいかず、本部で”研究材料”として使われていた。




というか、今日がその最終日だ。



『カヲル』

「何だい?」

『また会えるかな…』

「また会えるよ。曖昧じゃなくて…絶対」

『待ってるよ、ずっと』

「ありがとう、#ユイ#。それじゃ、また何処かで」

『うん、じゃあね』



少し手を振ったら



___抱きしめられた


『わっ、どしたの?』

「僕、ちゃんと帰ってこれるかなって。だから先にユイの体温だけでも絶対覚えてようと思って」

『カヲル君なら、また逢いに来てくれるでしょ?だから、今は信じて待ってるよ』

「うん、ありがとう。じゃあ」

『じゃあね。ありがとう。楽しかったよ』

「ユイ…また今度」


また少し小さく手を振った。カヲルが見えなくなるまで。





多分、カヲル君は帰ってくる。



いいや、絶対。






____



第四使徒が出現した。





シャムシエルというらしい。






名前は可愛いな、と思ったのは場違いだったのかな。






___NERV本部





「発進準備完了!オールグリーン!全て正常です!」

「発進!」





シンジ君が今日も頑張ってるんだ……というか僕あんまり出てないけど大丈夫なのかな。




「目標をセンターに入れてスイッチよ」





随分押されてるけど……





山の方に飛んでいくと




人影が。




「シンジ君のクラスメイト?」


そう、トウジとケンスケだったのだ。



「何故こんな所にいるの?避難は完了していたはずでしょう?!」

「乗せるしかないわね」

「ダメです!葛城一尉、許可のないものにエントリープラグを乗らせては」

「人の命の方が大切でしょう!目の前で死ぬのを見ろって言うの?!」


____


「そこの二人!乗って!」


トウジとケンスケがエントリープラグに乗った。なんだか異例だと思うな……


「シンジ君は一時撤退して!」



……指示を聞かないつもりなのかな……


「シンジ君?!聞いてるの?!」



突っ込んで行ってますけど……

「あの馬鹿」



とミサトさんが言ったのは僕だけに聞こえたのであろうか。




「初号機活動限界まであと10秒!9、8、7、6、5、4、3、2、1…活動限界です!」

「使徒の反応ありません!」





倒したんだね。一応。





______



そっか……今日からカヲル君がいないんだ……


落ち込むなあ……




1週間でも色んなことがあった。




ベッドが一つしかなかったからとりあえず一緒に寝たり。



カヲル君はいろんな喜怒哀楽を取ることもわかったし。







あと……いろんな面で不器用だ。






なんだか、大人びてるみたいな感じだったけど。




中身はやっぱり中学生だなぁ、って思ったんだ。







早く会いたいな、こうやって思うだけで




少し胸が苦しくなる……







恋愛なんてしたことないから分からない。








でも、なんでこんなに苦しいんだろうな。









(逢 い た く て も 逢 え な い の は 辛 い か ら)

(早 く 帰 っ て き て と 願 う だ け)

(そ し て 君 の そ ば で 眠 ら せ て)


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