眠りかけた夜に…
いつになく、こいつの寝顔に興奮しちょる俺は、欲求不満なんかのう…。
さっき、したばっかりじゃっちゅうのに。
「………――ん…―――」
「…気持ち良さそうな顔、してから…」
腕の中の女の前髪を梳く俺に、自分自身で笑えてくる。
こんな気持ちになれる相手なんて、そうそう居らんし。
「………んぅ…――ぅ…」
ぽつり。
つぶやく寝言が多いお前の、その吐息でさえ愛しい。
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『雅治、いーっつも先に、すぐ寝ちゃうよね』
『…それがなんじゃ?』
『別に』
『……なんか問題かの?』
『別に……っ…今日さ、友達と話してたらノロけられたんだよね』
『ほぅ…?お前さんもノロけたらええじゃろう』
『わたしの彼は一緒に寝る時、絶対にわたしが寝るのを見守ってから寝るみたいなんだ♪
…なんていわれたら、こっちにノロけるネタなんかないもん!』
『…………くだらん自慢じゃのう』
『…っ…雅治って、女心が全ッ然わかってない』
『そんなくだらん自慢のためにわかってやろうっちゅう気にはなれんもんでな』
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実はいつも先に寝たフリをしては、お前が寝るのを待っちょる俺の秘密。
種明しなんか、してやらんよ俺は…。
「――――…んん…―――」
「それがバレたら、お前さん、俺が気になって一向に寝ようとせんじゃろうからな」
優しいお前のことじゃから、俺はわかる。
なんだかんだ言いながら、お前は俺が寝んと寝ようとせんことも…全部、知っちょるよ。
お前の友達の彼氏も、お前の友達のことがよっぽど好きなんだろ。
同じことをしよる俺には、その男の気持ちがようわかるぜよ。
「…んぅ…」
俺の方に寝返りを打ったことで肌蹴た肩を抱きしめる。
そんな俺の胸に、無意識に抱きついてくるお前は、たった一人の、俺の女。
「…愛し――――」
額にキスしてつぶやいた俺の声は、お前の寝言で消された。
「―――雅…大好き……」
「!……………俺も…」
fin.
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