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 少女漫画的思考回路

「トキメキが足りない」

そう思ったのはずーっと前からで。
もう4年程の付き合いだ、要はマンネリってやつ。
でも好きだし、ずっとこのままでいたい。
けどさ、やっぱ私も女の子だしいつまでも好きな相手にドキドキしたい!

「いきなり何言ってんだよい」

この男、マルコは怪奇なものを見る目付きで私の事を見る。
付き合った当初は見つめられただけでもドキドキきゅんきゅんしてたのに。
慣れって怖い。

「だーかーら!トキメキが欲しいの!ドキドキしたいの!」
「それを俺に言ってどうするんだよい」
「だってマルコに言うしかないでしょ」

他の人でトキメこうなんて思わない。
私はマルコでトキメキたいのに。
付き合った当初はこの素っ気なさにもトキメいたっけ。
昔の事を思い出すだけで今がどれほど刺激が足りないのか実感する。

「私はマルコでトキメキたいのー!だからちょっとなんかやってよ」
「いや、唐突すぎるだろい。アバウト過ぎてどうしていいかわかんねェよい」

呆れたように言うマルコだけど、ちゃんと私の話に耳を傾けてくれてるあたりやっぱ好きなんだよね。
こんなくだらない悩みについて真剣に考えてくれてるし。
こういうとこ可愛い。

「お前はどうしてほしいんだよい」
「言ったらおもしろくないじゃん」
「参考程度にだよい」

そうだなー。マルコにしてもらうのは…例えば頭撫でてもらったり?
あ、でもおデコにちゅってしてもらうのもいいよね。
それよりやっぱあれかな。

「壁ドン」
「は?」
「だから、壁ドンだよ!」

わけがわからない と言いたそうな顔をしているマルコを壁に追いやり再現する。

「これ!」
「あぁ、これか」

そう言った瞬間、体がふわり。
マルコの顔が目の前にあるのは変わりないんだけどなんか違う。
え、なにこれ。

「こういうことだろい?」
「え、あ、まぁ…」

まさに今されてるのが私が望んでいた壁ドンだ。
けどなんでかトキメかない。
どうした私の心臓。

「ワンアクションプリーズ」
「我が儘」
「うるさい」

軽く溜息をついたマルコが不意に私の名前を呼ぶ。
パチリ 目が合うといつもと違うような雰囲気。
あれ、なんか、胸の奥がきゅうってなった。

「マル、コ?」
「ちょっと、黙ってろい」

吃驚する間も無く唇に柔らかい感触。
なんか、すっごいドキドキする。

「ん、マルコ…」

名残惜しそうに離れてはひとつ、またひとつとキスの雨が降ってくる。
あ、やばい。ドキドキして苦しくなってきた。
自分が求めていた事とはいえこれ程までの破壊力があるなんて思っても見なかった。

「ふっ、顔が林檎みてェに真っ赤だよい」
「そ、それはマルコがっ!」
「俺が、なんだよい」

ニヤニヤと笑うマルコが不覚にもカッコ良く見えた。
分かっててやったのか、面白がってやったのかはしらないけど私の心は十分に満たされた。


少女漫画的思考回路
「トキメいたじゃんか。ちくしょう」
「願ったり叶ったりだろい?」





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