▼ 私はいわゆる、ストーカー
○月×日晴れ、お昼を食べ終わりいつものように銃の手入れをするイゾウ隊長。
今日も大変美しいです。
そんな隊長を盗み見しながら比較的挿絵が多い本を読む、ふりをする。
隊長の朝は究極に寝起きが悪い。
そんなイゾウ隊長を格好いいと思う私は重症だ。
朝食は隊長の背中が見える位置に座る。
ご飯時だけじっと見つめていられる最高の時間。
他の隊長達と談笑している姿はいつも綺麗な隊長と違って可愛く見える。
朝食の後は部屋に篭って仕事をしているので、私もその時間は仕事に専念する。
ごくたまに雑用係の私に仕事を与えてくれるのでその時は天にも登る気持ちだ。
昼食もイゾウ隊長の背中を眺めながらなわけで。
たまに見える横顔がなんとも言えないくらいトキメいているのはここだけの話。
変態と言っても過言ではない。
昼食を食べ終えるとこうして日の当たる甲板で銃の手入れをする。
それが終われば食堂へ行き、サッチ隊長特製の和菓子を食べに行く。
イゾウ隊長の行動は完璧に把握している。
なぜなら私はイゾウ隊長の事が重症的に好きだからだ。
いわゆる、ストーカーである。
そして変態でもある。
イゾウ隊長は銃の手入れ道具を部屋に戻しに行くと食堂へは行かずに再び甲板へと戻ってきた。
あれ、今日はどうしたんだろう。
いつもならこのまま食堂なはずなのに。
そう思っていると開いている本に影が出来た。
晴れているのに、と思って顔を上げれば満面の笑みのイゾウ隊長が私を見下ろしていた。
いや、見下している、と言った方が正しいのかもしれない。
「イ!!イゾ、ウ隊長…?!」
驚きすぎて持っていた本を落としてしまう。
どうして?!いつもの予定と違う!!
言葉にならない言葉を発している私を見兼ねてかイゾウ隊長が口を開く。
「食堂、行かねェの?」
ストーカーさん。と悪戯っぽく笑うイゾウ隊長。
ばれてた!と思うと同時に、可愛い!と思う私がいる。
ドキッとして顔を真っ赤にさせると手を引かれる。
本当にどういう状況か把握仕切れない。
接点だってぶっちゃけ雑用で呼ばれるくらいなのに。
「ずっと俺の事見てただろ?」
ばれてるー!!!
そんなに熱い視線を送っていたのか私!
いや、気付いてたけど!!
「声かけてくれりゃいいのに」
そんな事出来るわけない。
そう思っていても、手を引いているのはストーカーしていたあのイゾウ隊長なので、緊張で言葉にすることが出来ない。
「次からは隣にいろよ」
前へ前へと進んでいた隊長が足を止める。
隣にってどういう意味?
頭にハテナマークを浮かべていると、イゾウ隊長が振り返り、私の肩に腕を乗せて体重を掛ける。
目線は同じくらいになって、にっこりと笑ってきた。
「お前さんは今日から俺の女だ」
「えぇ?!」
脱ストーカー「ほら、食堂行くぞ」
「あ、え、イゾウ隊長?!」