机の上には、真っ白の封筒と、罫線が書かれた便箋が放置されている。


手紙を書こう、書こう、と思っているのだが、書き出しが思い浮かばないし、書きたいことが多すぎて何を書けば良いのか分からない状態だった。


「困ったものだ…なにを書けば良いのかな?」


「師匠の悪口を書けばいいんですよー」


「っ!?フラン!?あんたどっから…」


「ミーはさっきからここにいましたー。なまえが気付いてないだけですよー」


ひょこりと後ろから机を覗いているのは、フラン。
同じ師匠に幻術を習った、同期の術士だ。


「それより、師匠に手紙ですかー?」


「うん、どっかのカエルがちゃんと手紙出さないから代わりにね…」


「カエルって完璧ミーじゃないですかー。なまえ、ヒドいですー」


師匠から離れる時に2人で約束したのだ。必ず月に一度でも良いから師匠に近況報告をしようと。


それなのに、この毒舌ガエルはこっちに来てから、一度も手紙を書いていないのだ。まったく…困ったカエルだこいつは。


「あんたがちゃんと手紙書かないからいけないんでしょ?」


「ミーはなまえと違って任務があるんですー。暇人ななまえとはちがいますからー」


「私は暇人じゃないから!ちょっと仕事がないだけ!」


「そういうのを世の中の人は暇人って言うんですよーちゃんと働きやがれですー」


確かにフランはヴァリアーの幹部で毎日、任務があり忙しい。


一方、私はフリーの情報屋で仕事もまばら。でも!頼まれた仕事はちゃんと完璧に遂行してる!




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