シザンサス | ナノ




イケメンくん:橋本瑞樹(みーくん)
平凡くん:小倉拓真 (おぐ)



僕の幼馴染のみーくんこと橋本瑞樹は神様に二物も三物も与えられた存在だ。
顔は俗にいうイケメンだし、テニス部に所属して、一年生なのにレギュラーになっちゃうし、他のスポーツも人並み以上にこなすほど運動神経抜群で、勉強だってそこそこできる。いつもキラキラしてて、自慢の幼馴染で親友なんだ。

僕たちは家が近所で親同士が仲が良く、自然と一緒に遊ぶようになった。小学校中学校と人数が少なかったからずっと同じクラスで、高校はみーくんがスポーツ推薦で進学校に行くと聞いて必死に勉強した。
頑張ればなんとかなるんだね。塾の先生に2ランク上は厳しいぞと言われたけど、みーくんと離れるのが嫌だったから必死で。
合格した時は本当に嬉しかった。みーくんもまた一緒だなって笑ってくれた。

高校に入って、さすがにクラスは離れちゃったけど、休み時間やお昼はみーくんがわざわざ僕の教室に来てくれるのが嬉しくて。授業の進度が早いけど、そんなの大したことないと思えるくらいだ。
放課後はテニスコートの見える図書室でみーくん待ち。キラキラしてるみーくんを見放題の特等席だ。あ、ちなみに僕は部活に入ってないよ。図書委員会には入ってるけど。

さて、気がついた人もいると思うけど、僕はみーくんが好きだ。それもlikeじゃなくてloveのほう。
僕がみーくんのことが好きだと自覚したのは中学のとき。友達が可愛い女の子の話で盛り上がっていてもなんともおもわなかった。でも、女子がかっこいい男子の話に自然と耳を傾けてしまう。そして彼女たちがみーくんの話題に入ると、聞きたい半面、なんだかむかむかした気分になった。それが嫉妬だと気づいたのはその少し後だ。
だからと言って、みーくんはノーマルだし、女の子にモテモテだから、いくら仲が良いといっても平凡な僕を恋愛対象になんて見るわけないし、今の関係を崩したくないんだ。

それでもやっぱり、みーくんが女の子と仲良くしてるのを見るのは、ね…。



高校に入って3ヶ月経ったある日、僕は呼び出された。
みーくんに、だったら嬉しかったんだけど、その招待状には送り主の名前はなかった。場所は体育館裏。特にやる事もないので、なんてベタな場所だろうと思いながら足を向けた。なんだろうかと内心どきどきしながら行ったら、そこには3人の女の子が。しかも皆美人というオプションつき。
ああ、そういえば、みーくんがファンクラブができたって言ってたっけ。

「おぐ。なんで昨日、来なかったんだ」
え、と固まった僕の目の前にはみーくんが立ちはだかっている。
結局、昨日はみーくんのファンクラブの子たちに愚痴やら不満やらを言われた。幼馴染だと言ったら不釣合いだとか言われたが、そんなの自分がよく知っている。その後散々言いたいことを僕にぶつけて気が済んだのか、彼女たちは、僕を置いてそそくさと帰ってしまい、僕もなんとなくみーくんの所に行く気になれずそのまま帰ったのだ。
「あー…えっと、昨日はね、宿題がいっぱい出ちゃって…だから、」
あながち間違ってはいないが、歯切れ悪く言う僕に、納得のいってない顔のみーくんが口を開いたところで、タイミングが良いのか悪いのか、予鈴が鳴る。みーくんは不満気な顔のまま教室を出ていった。
「やっぱり隠し通せない、かな…」
隠し事なんてしても、何年一緒にいると思ってんだ、とか言われるだろうなあ。
僕はそのあとの授業の間、どうやって、いつ、話すかをうだうだと考えて、ようやっと放課後、みーくんが部活に行く前に言おうと決心した。

のに。
6時間目の終わりのチャイムが鳴ったと同時に開かれた扉。
何事かと目を向けると、昨日の3人が立っている。そのうちの一人と目が合い、手招きをされた。

連れて来られたのは昨日と同じ場所。
「ねえ、言ったよね?もう橋本君には近づかないでって」
「いくら幼馴染でも、貴方は不釣合いよ」
「橋本君の傍にはもっと可愛い子が付くべきじゃなくて?」
おおう。なんか般若が後ろに見える。にこにこしてるのに怖い!
おいおいどうする。いくら相手が女の子と言っても3対1じゃ分が悪いぞ。それに、仮に逃げ出せたとしても明日とか、また来られるんじゃないか…?
うわああ!と若干パニックを起こしている頭を抱えていると、ぱきり、背後で足音がした。
やばい、これ、マジでフラグ立ってる?うそだ、制裁フラグとか全然嬉しくない!
そう考えている間も次第に足音は近づき、ついに僕のすぐ後ろまで来た。
びくびくしているとぽん、と肩に手を置かれ、ぐいっと抱き寄せられた。
……抱き?
次いでふわりと香る、嗅ぎ慣れた匂い。
「…え…」
「ここで何してんの」
今までに聞いたことがないような低い声が、僕の頭上から聞こえた。
「っ…橋本、くん…」
女の子が一人、声を震わせながら僕の後ろの人物の名を呼ぶ。
「ねえ…こんなところで、何をしてるの」
低く、どこか高圧的な声。
「それ、は…」
「俺、ファンクラブだかなんだかは許可したけど、俺のものに手を出していいなんて、一言も言わなかったよな?」
「そうだけど…でも!」
「でも、何? おぐにこんな事して、俺が黙ってるとでも思った?」
女の子たちが言い淀んでいるのを見て、こんなみーくんは初めてだと思う。誰に対しても優しく接するみーくんしか知らなかった僕は、後ろに立っている人物が本当にみーくんなのか疑ってしまう。
「俺の大切なおぐに何かしたら、女子でも承知しないからな」
「…たい、せつ?」
女の子と僕の呟きが重なる。きょとりとする僕の頬に当たる、柔らかなもの。
「っ…!」
訳が分からず固まる僕に対し、息を呑む彼女たち。
「こういう事だから。早くどっか行ってよ」
短く悲鳴をあげた彼女たちは足早に去っていった。ぽかんと成り行きを見ていると、みーくんが僕の顔を覗いてくる。
「…ごめんな?嫌だったろ、男にキスされるなんて」
申し訳なさそうな顔をするみーくんに、やっと何をされたのか理解した僕は、一気に顔が赤くなるのを感じた。
「っ!い、いま…」
「ほんと、ごめん。……この際だから言うけど、俺、おぐが…拓真が好きなんだ」
「う、そ…」
久しぶりにちゃんと名前を呼ばれたせいか、心臓がうるさい。
「嘘なもんか。…やっぱり嫌、だったか…?」
いつもの自信たっぷりの顔はどこへやら、不安げな顔がこちらをじっと伺い、そして視線がそれる。
「いや…じゃ、ない」
「…っ、」
僕が言った途端、ばっと顔をあげるみーくん。
「僕も、瑞樹が好きだよ」
自然と出た満面の笑顔でみーくんに抱きついた。

ーーああ、やっと言えた。



* * *

幼馴染で両片思い→両思いを目指しました

ごめんなさい、ムダに長い上に内容が薄っぺらく…orz
もっとね、こう、みーくんのイケメン感とおぐのみーくん好き好き感を出したかったんだけど、私にはレベルが高かったね…。

こんな文章でも受け取ってくれたら幸いです。
お誕生日おめでとうございました!

木佐

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