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▼ 03

(side クラスメイト)

 さてさて、やっと辿り着いた定期試験最終日。これが終われば球技大会が始まる。
 そう皆が希望を持って挑んだ定期試験最終日は、最終科目の化学、それが一番の山場だった。
 あの意地悪な化学教師が作ったものとは思えないほど、基礎を中心とした易しい問題が並んでいた表面。これなら余裕だと挑んだ裏面は、それをあざ笑うかのように応用問題が並んでいたのだ。
 いくら進学校と言っても、一年生の、この時期に、大学入試レベルの問題を混ぜてくるなんて誰も思わないだろう。
 裏面に到達した殆どが手を止めた。溜め息を吐く者や机に突っ伏す者が大半で、手を出してみようとする者は少数だった。
 中でも斜め前の席で、すやすやと寝息を立てているクラスメイトは全くもって潔い。
 ああ、いつもあまり見えない顔が、ここからは丸見えだ。箙委員長の言った通り、綺麗な顔をしている。

(あいつ、メガネかけたままで寝にくくないのか……)

 思わず呆れて見入ってしまったが、まだ十五分も残っているのに諦めているのだろうか。早々に裏面へ進んでいたようだが、あいつでも解けないのだろうか。
 俺も手を出してみたはいいものの、なんだか自信がない。もっと練習問題を解いておけばよかった。今になって後悔している。次のテストは問題集解きまくろう。
 うだうだと解いている途中で終了のチャイムが鳴った。
 配点はどれくらいだろうか。あの教師のことだからえげつない気がする……。
 ため息をつきながら、回収されていく回答用紙を見送った。

「ああ、そうだ。体育委員、午後のことで話あるから昼食ったら職員室きてくれ」
「はい」

 そうだった。終わったテストのことなんて考えたって無駄だし、午後は楽しもう。

(side end)





 最後の時間、思ったよりも早く解き終わったから寝ていたけど、中途半端に寝たせいか、すごく眠い。
 いやあ、柄にもなく勉強したよね。あの会長に首席だってドヤ顔をされたのが気に障ったから、見返してやりたくて。
 やる気出したのが直前になってからだし、そんなに順位上がらないと思うけど。

「あれ、ハル体育館いかないの?」
「え、だってまだ第2試合が始まるくらいでしょ? それに俺バスケは補欠だし」
「お前、説明聞いてたか? 体育館フルで使うから一度に3試合できるんだよ。うちのクラスは試合番号105だからもう始まるな」
「へえ、そうなんだ」
「行かねえの?」
「だって補欠だし……」
「俺の勝手な意見だが、海藤が駄々こねる前に行った方がいいと思うぞ」
「……海藤?」

 誰だっけ、それ。
 思わずきょとんとしたら、紀輔と茂樹が顔を顰めた。

「悠……。興味なくても、いい加減クラスメイトの名前くらいは覚えてやれ……」
「ハル、結構濃い絡みしてたと思うんだけど……ほら、先月転校してきた、」
「ああ! 転入生くんか!」

 パッとひらめいた正解を口にしたら、紀輔に頭を叩かれた。

「いたい……何も叩くことないじゃん……」
「お前は頭がいいのか悪いのかわからないな」
「……ていうか、俺が行かなかったらなんで転入生くんが駄々をこねるのさ?」
「忘れたのか? 競技決めのとき、お前と一緒がいいと言った奴だぞ? 騒いで進行の妨げになっていると思うがな」
「えー、尚更行きたくないなあ……」

 そんな会話をしていたら、ばたばたと廊下を走ってくる音が聞こえた。
 まさか海藤が呼びに来たのか。だとしたら面倒くさいなあ。
 足音はピタリとうちのクラスの前で止まり、次いで勢いよくドアが開いた。

「……あれ、会長?」
「おいこら六合! てめえこんなところにいやがったのか! 補欠も体育館にいろって言われただろ!」
「えー」
「いいから来い!」

 怒り顔の会長に勢いよく腕を掴まれ、そのまま体育館へ強制連行された。

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