忍 series | ナノ
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 本日、晴天。3
やって参りました。

楽しい楽しい(?)放課後が!

部活に行くもの、帰るもの、残るもので校舎中が騒ぎ出すこの時間帯が。
いつもなら早この時間がくればいいのにと待ち遠しくて、学校が終わった瞬間にうっきうきで帰るのに…。

今日という日はどうやらそれを許してはくれないらしい。

そう、私の前に立ちそびえてる壁!

補習という名の壁!

「澪〜、お前補習サボるんじゃねーぞー!」

野球のユニフォームに着替えたナルトが満面の笑顔で話しかけてくる。
なにこの素敵な笑顔。他人事だと思いやがって。

「はいはい、ナルトも頑張ってね。」

なんてあっさり返すとまたニカって笑って手を振りながら教室を出ていった。

「おい、いこーぜ。」

鞄を肩で持ったシカちゃんが話しかけてきた。

「う、うん。」

シカちゃんは見た目よりも優しそうな人らしい。

ちょっと神経質そうな眉とか、
一つに高く括りあげられた黒髪、
午後になって急に暖かくなったせいか
無造作に、けれどきちんと捲りあげられた長袖のワイシャツ。

そのどれもが彼という人物を作り上げられていると思った。

ドクンと一瞬高鳴る鼓動を感じた。
これはもしかして、

………風邪か?

「失礼しまーす。」

シカちゃんによって雑に開けられた物理講義室。
バンっと大きな音が廊下にも響く。

開けられたその教室。
そこには椅子に座って本を読んでいるカカシ先生がいた。

「アラ?澪ちゃんは?」

シカちゃんがここにいるのを不思議そうにカカシ先生が見つめてくる。
シカちゃんの後ろに立っていた私は彼の後ろからひょこっと顔をだす。

「いますよ〜。逃げたら単位くれないとか言い出しそうなので…。」

「まぁまぁ、随分素直じゃないノ?」

単位もらえないと進級できないんだからしょうがないじゃないですか。
答える代わりに大きくはぁ、とため息をついた。

「ところでなんでここにシカマルがいるのカナ?」

「カカシ先生、俺も補習受けてイイっすか?」

「シカマルは今のところ課外も参加してるし課題もちゃんとやってきてるじゃないの。」

「いや〜、今やってるとこ全然わかんなくて。」

「アラ、そうなの?」

「つーことで、俺とコイツ、宜しくお願いします。」

「まぁ、別にかまわないケド…。」

二人を教えるのがめんどくさいのか少し嫌そうな顔をするカカシ先生。
別にめんどくさいならプリントは家でやってくるのになぁ。

「わかったわかった。二人まとめて教えてあげるから座んなサイ。」

シカちゃんと私が二人並んで座ろうとすると間にカカシ先生が入ってきた。

「ちょっと、カカシ先生。普通、前に座るもんじゃないんですか?」

「いいじゃないの澪ちゃん♪ホラ、間に入ったほうが見やすいし。」

なーんて、カカシ先生が言うものだから
狭くなったことに嫌になったシカちゃんが顔をしかめた。

「はい、ほら、問題解きなさい。わかんなかったらいつでも聞いてネ。」

「「はーい」」

…*…*…*…

問題も3分の2を解きおわった頃、校内放送のアナウンスが流れた。

「カカシ先生。お客様が職員室にお見えです、至急、職員室へ来てください。」

それはカカシ先生を呼び出す放送だった。

「俺にお客?備品の話かな?じゃあ、行ってくるからやっててネ。」

物理講義室からカカシ先生が出ていくと
シカちゃんとふたりきりになってしまった。

黙々と解く二人であるが、
とある問題で私の手が止まってしまった。

あれ…。
ここどうやるんだっけ。

カカシ先生がいれば聞くのだが、彼は今は退席中。

…話しかけたこともないしなぁ。
シカちゃんに聞くのは諦めて必死で頭の中で考えてみる。

しかし、授業を寝ていてほとんど聞いていない私にはそれは無駄と言ってもよかった。

「おい。」

私のペンを動かす手が止まったことに気づいたシカちゃんが話しかけてきた。

「そこ、わかんねぇの?」

「あ、うん。サッパリわかんない。」

「教えてやろーか?」

「え?」

シカちゃんのやっているプリントをみると、どうやら彼は私が躓いた問題をサラリとやってのけたらしい。

なんで解けてるの?
あなたも寝てたんじゃないの?

ちょっと待て、そんなこと考えるよりここは早くこのプリントを片づける方が先決だ。

「お、教えてください。」

「だーかーら、敬語で喋んな。」

「いや、でも…。」

「お前ホントに俺のこときいてないのか?」

はい…?

シカちゃんのことをですか?

まったくもって聞いたことないんですが…。

「あの、ゴメン。聞いたことない。」

「マジかよ〜。」

はぁ〜と脱力しながら机に伸びるシカちゃん。

「じゃあ、俺の名前は?」

「な、奈良シカマルでしょ?」

「それ、今日初めて知ったってホントか?」

うっ!

なんだこの人!
すいませんね、ひとの名前覚えるのとか私にとっては重労働でしかないんですよ。

「そうだけど…。」

「キバから何も聞いてない?」

「キバって?」

「お前と元同じクラスだろ?顔にマークはいってんだろ?」

「顔…?あぁ!犬塚のこと?」

「あぁ、犬塚で覚えてんのか。」

犬塚はやけに私に話しかけてきてくれたような気がする人だ。
ナルトと仲が良かったから名前などは覚えていた。
でも、残念ながら彼の話をわたしはほとんど寝ていて聞いていない。

「なんていってたっけ…?」

そう答えるとまた大きくため息をついてシカちゃんが答えた。

「俺がお前のこと気になってるってことだよ!」

へ?

なにいってんの?この人。

私が混乱状態に陥っているとシカちゃんが口を開いた。

「まじで聞いてねぇの…?」

「…はい。」

「マジかよ。ったくキバの野郎…。」

気になってるっていわれても、私この人になにかしたかな。
大体、初めてクラスになったわけだしそんなこともあるはずがないよね。
てか、犬塚ながんかいってたっけ?

思い出そうとしてもまったく記憶に残っていない。
寝ているときに周りが話していることを理解している人なんているわけないじゃないか。

そして、わたしはこの目の前のシカちゃんに恐る恐る尋ねてみた。

「あ、あの、気になってるって私あなたに何かしましたか?」

「は?」

「いや、だから、何か気に障るようなことを知らず知らずのうちにしてしまっていたのではないかと思って…。」

わたしがそう言うとシカちゃんはポカンと口を開けた。
あれ、わたしそんなにひどいことしたのかな。

「で、でも、わたし流石に犯罪チックなことはした覚えないよ!
そりゃあ確かにあまりにも選ぶのが遅かった人の横から自販機でジュース買ったりしちゃったけど…。」

わたしが必死に弁明するのがおかしかったらしく、そうわたしが言ったあとシカちゃんは大いに吹きだした。

「ククっ、澪っておもしれーのな。」

「え?笑うとこなの今?」

今の話がよほど彼のツボに入ったらしく彼は私の目の前で笑いだした。

「ハハっ、ちげーって。いや、相変わらずズレれてるなぁ、お前。」

「ず、ずれてるの?」

「気になるってゆーのは、お前の思ってる気になるじゃねーよ。」

シカちゃんの言ってることが理解できずに頭に?マークを浮かべていると、彼はニッコリとした顔で言った。

「俺が澪のことを好きで気になってるて意味だよ。」

へ?
今何て言ったのこの人?

「え、えと、それは…。」

「…告白してんだけど。生まれて初めてのな。」


本日、晴天。


(告白って…告白?!)

恋愛感性の法則は恋に落ちる速度に反比例。 prev|next
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