忍 series | ナノ
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 微熱4
「俺と、もう一度やり直してくれないか?」

バカバカしいと思っただろう?

未練たらしいって思っただろう?

うざってぇ。
ふった男なんてこれっぽちも思ってない。
そう、言ってくれたっていい。

でも、

こんなに
情けなくなるくらい

俺は、今でも
お前が好きなんだよ。

…*…*…*…

もう一度…?

あたしがシカマルの隣りに立つことが
許されるの?

頭では分かっている。
あたしがシカマルを解放しなくちゃいけないこと。
あたしが傍にいてはいけないこと。

でも、
心が拒むの。

もう一度あなたの隣りで笑いたい。
これからもずっと傍にいたい。

あたしの頬には
自然と涙が伝っていた。

…*…*…*…

澪の頬に涙が伝ったとき、
俺は自然とアイツを抱きしめていた。

澪のか細い華奢な体を。
雨にうたれて冷たくなってしまった体を。

もう、離したくねぇんだ。
片時だって忘れたことなんてねぇんだ。

なぁ、澪、

俺にはお前が必要なんだよ。
早く気づけよ。

どれだけ心の中でお前の名前を呼んだと思う?

どれだけ俺が崩れていたと思う?

雨の音が、だんだんと弱くなってきているのを聞いていた。

…*…*…*…

シカマルが、あたしを抱きしめてくれた。

かわらないね。

強引で強気で勝気で
かっこいいところ。

ねぇ、
シカマル。

あたし、あなたのそんなところが大好きだったんだね。
あなたと別れて、
周りにはなんともないフリしてたけど
あたしの心はめちゃくちゃだったんだよ?

シカマルがいないだけで
夜、眠ることができなくなった。
あたしの中の方位磁石が狂ったみたいに
どっちに向かえばいいか分からなくなった。

でも、

答えはすぐ、そこにあったんだよね。

あたしは、自分の気持ちを抑えることができなくなった。

「シカマル、あたしもシカマルのこと好きだよ。

あたしだって忘れることなんてできなかった。

ずっと、傍にいたかった。」

…*…*…*…

俺は夢でもみているのか。

いま、何て言った?

俺のことをまだ好きでいてくれてるのか?

俺の背中に回されたあいつの腕のぬくもりを感じた。

俺の腕の中にあいつがいて、
泣きながら、話そうとしている

「澪、それ、本当か?」

「本当にきまってるじゃんっ。ゴメン、今まで強がってて。
でも、…、もうムリだよ。あたし、シカマルのことが本当に大好きだもん。」

「俺は、これからも好きでいていいのか?」

「うん。」

「やっべ、俺、今ものすごい嬉しいんだけど。」

「あたしだって…。」

俺はそれから、
澪の顔の涙をぬぐって、
彼女にキスをした。

2年ぶりのキスだった。

でも、かわんねぇな。

なぁ、
澪、

もう、離さねぇからな。

…*…*…*…

もしも、今日このとき、シカマルに会えてなかったら
一体どうなっていたんだろうか。

神様…。

最初は会わせたこと怒っちゃったけど、
いまでは感謝してるよ。

ねぇ、
シカマル、
遠回りしたけど、
今度はあなたの傍から離れないからね。

二人の体に残る微熱は
雨に溶けていった。 prev|next
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