The Cocktail Wowld | ナノ
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「#幼馴染」のBL小説を読む
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 スプモーニ
…ここはグランドラインにある、とあるバー。

ちょっと、洒落た音楽の流れる趣深い店である。

そして、私はここのバーの経営者兼、マスターでもある。

「やぁ、サラ!来たよ!」
『いらっしゃい。』

普段から人の入りは良いほうだった。
私の人格がいいのだか、作る飲み物がいいのだか。

しかし、
その平和はアイツが店に来てから壊れてしまった。

いや、壊されたといった方が正しいだろう。

つまり、今ではこの店に来るお客はほとんどいないということだ。

『はぁ。』

ため息もつきたくなる。
これだけお客が来なければ経営のほうもあやしくなってしまう。

上の空をうかべていると…、

ギィ。

ドアのあく音!

久しぶりのお客様?!

しかし、
その期待は外れて私の目の前にあのどぎついピンクのモフモフが現れた。

『また、あなたですか?!王下七武海、ドンキホーテ・ドフラミンゴ様。』

「フフフ、サラちゃんにフルネームでご指名されるとはなぁ。」

『指名なんてしてません。毎度毎度なんの用ですか?』

「なぁに、ここに来る理由なんざ、ただの暇つぶしだ。」

そういうと、サングラスをかけてもわかる
あの、にやけた笑みを浮かべた。

『あなたがここに来るから、全然お客が入らないんですよ!』

「そんなもん、知るかよ。フフフ、どこにいて、何をしようが俺の勝手だ。」

コイツ…。
とことん営業妨害したいらしいな、ちきしょう。

くそぅ。

しかし、こんなやつでも客なんだ!

じっちゃんの遺言の
≪お客様は神様だ≫

という言葉を思い出す。

今すぐにでも殴りたい衝動と怒りを抑えて、丁寧に受け答えする。

『で、今日のご注文は?』

「あぁ、そうだな、今日はお前のオススメで、フフフ。」

『はいはい、分かりました。』

少し適当ではあったが、私はこのドフラミンゴに似合うようなものを作り上げた。

『はい、どうぞ。』

「なんだ、これは?」

あ、金持ちにはわかんないのかな。

『スプモーニです。知りませんか?』

そういうと、匂いを嗅いで一気に飲み干した。

にやっと笑みを浮かべたかと思えば、
眉間にしわをよせたり、戻したりしている。

『お口に合いましたか?』

「フフフ、てっきりこれはサラちゃんが俺に対して作ってくれた愛の化身かと思ったが、正反対のようだったな。」

愛の化身?…

確かにスプモーニはピンク色のカクテルだ。

あぁ、ドフラミンゴは、このカクテルのピンク色で、あたしがドフラミンゴを好きだと思ったわけか。

でも、正反対ってことは、甘くないってこと、
つまり、
カンパリのほろ苦さのことを彼は言っているのだとわかった。

『で、まずくもなく、おいしくもなく、ってことですね。』

「フフ、分かってるじゃねぇか。」

『あはは、もう、フラミンゴの飼い方がなんとなくわかってきました。』

「フフフ、なら、俺を飼ってみるか?」

『結構です。間に合ってます。』

「相変わらずつれねぇなぁ。ったく、かわいくねーバカ女だ、フフフ。」

『そんなバカ女を追いかけてるあなたはもっと、バカですね。』

「それもそうだ。

フフフ、今日はこの辺で勘弁してやるよ。」

『あ、もう、お帰りですか?出口はあちらです、ありがとうございました。』

「なんで、きたときよりもかえるときのほうが笑顔になんだよ。」

『そんなことはないですよ〜。』

そういって、出口までドフラミンゴを
見送ると、
ドフラミンゴは私のおでこに口づけをして、
札束を店に放り込んだ。

「これで、たりるか?フフフ。」



今のは何?

考えてる間に
ドフラミンゴはじゃあな、と言って右手を挙げて
去っていった。

チューされた…。

ドフラミンゴに…。

私の頬は
スプモーニと同じ色に染まっていた。

(あの、フラミンゴ野郎っ!次は焼く!鳥の丸焼きだ!)
(次こそ手にいれてやる、フフフ) prev|next
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