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 バカラ
昨晩、エースという名の迷子および遭難者を拾いました。

昔と変わらずよく食うやつで、昨日せっかく買ってきた食料をあっという間にたいらげていきました。念には念を!って間違ってなかったね。

結局あの後、カクテルを二人で飲みながら語ってしまい、そのまま夜を過ごしてしまった。

遅くまで話していたのでエースは奥のソファの席で横になって寝てしまった。
そっとエースのお腹に毛布を掛けてあげる。
風邪なんてひいちゃだめだよ、二番隊隊長。

私は、いつまでも寝ているわけにもいかないし、エースがいつ起きてお腹が減ったと言いだしてもいいように、朝ごはんの準備をして、今日の分のお店の仕込みをしなければならない。

よし、と気合いを入れて取りかかる。

…*…*…*…

準備も大体終わったころ、
街がざわつき始めてきたのに気づいた。

その騒がしさに負けずと寝ているエースには驚かされたけど。

そんななか私の店の戸をたたく音が聞こえた。

戸を開けたさきにいたのは八百屋のジョニーだった。

「おい、サラ、出てきてみろ。白ひげ海賊団のお出ましだぞ!」

彼は白ひげ海賊団の上陸を伝えにきてくれたのだ。

「えー!!ホントに?もう、親父たちきたんだ!今行くね!」

一際にぎわった港へと顔を向けるとそこには大きなあのクジラの船、
モビーディック号があった。

ジョニーが港に向かったのを確認してから、一度店の中に戻る。
エースは声かけても起きなさそうだなぁ。

エースの背中に大きく彫られた白ひげの刺青を見る。

港の入口にもこのマークは大きな旗に描かれて貼ってある。

そう。
この島は今では白ひげ海賊団の縄張りである。

じっちゃんがいた頃はそんなに暴れる海賊もいなかったし、なにかあっても、じっちゃんが大体は対処してくれてたらしい。

じっちゃんがいなくなってからは無法者たちが増えてしまい、街が荒らされることもあり、じっちゃんの旧友である白ひげ海賊団…、親父が正式に縄張りにしてくれたのだ。

親父が白ひげ海賊団の旗揚げをしてまもない時に、訪れた島にじっちゃんがたまたま食料調達に来ていて、うっかり、そこらへんの海賊に囲まれて手負いしたときに助けてくれたのが親父で、助けてくれたお礼にとじっちゃんがふるまった料理やお酒を親父がひどく気に入った…ということらしい。

前に白ひげ海賊団がこの店に寄ったときに、

その時の続きの話として、
海賊にならないかと勧誘されたがあっさり断られてしまったな、と
グララララと大口開けて親父が笑ってたっけ。

懐かしいなぁと思ってふふっと笑みを浮かべる。

さぁ、エースもあずかってることだし、
親父にもみんなにもはやく会いたいし私も早く港に行こうとおもってエプロンを外し、店の戸を開けると、紫のシャツを着た人と、リーゼントの似合う茶髪の人がいた。

「「サラ!久しぶりだな!!!」」

「マルコ!サッチ!」

そう、
店の前にいたのは一番隊隊長マルコと四番隊隊長のサッチだった。

「もしかして、うちのエースが邪魔してないかよい?」

「うん。ばっちりいますよ〜。昨日の夜見つけて拾って来ちゃったよ。」

「かぁ〜!!羨ましいぜエースのやつ!サラに拾われるなら俺が海に落ちてたっつーのに。」

「縁起でもないこと言わないでよ。あ、エースね、今奥で爆睡してるから。」

「まったく、とんだ迷惑かけたよい。」

「ううん。気にしないでよ。」

「そこでだサラ、オヤジがな、エース助けてくれたお礼にって、うちの船で宴を開くことにしたらしいんだ。もちろん、きてくれるよな?」

「え!!親父が?エース一人くらい別にいいのに。でも、親父の元気な姿も見たいし、みんなにも会いたいからお邪魔させてもらうね!」

そう言って笑顔を見せると、いきなりサッチが私のことを抱きしめてきた。

「かぁ〜!!サラ!何でお前はこんなに可愛いんだよ〜。まじでさらっていきてぇ〜。」

そんなッサッチに一番隊隊長ときたら、ボカっとげんこつをくらわす。

「サッチ!離れろよい!まったくコイツときたら…。」

「なんだよ〜。マルコホントは俺が羨ましかったんだろ?」

「べ、別にそんなことないよ、い!」

「あらら〜?言葉が片言ですよ〜?」

「…サッチぃぃぃぃ!!表でろよい!」

このままでは大変なことになる。
すばやく二人の間に割り込み掴み合ってる二人をひきはがす。

「はいはーい。二人とも、ここまで。親父が待ってるんだから、エース連れて早くいこ、ね?」

「はぁ…。サラが言うんならしょうがないよい。さっち、エース連れてこい、戻るよい。」

「おう!」

1,2,4、の隊長たち(エースはサッチに担がれているが。)
と私は親父の待っているモビーディック号へと向かった。

やっぱり、近くで見るとこの船の大きさにとても驚かされる。

「今、戻ったよい。姫さんも快くきてくれたよい。」

マルコがそう言うと、あちらこちらからわーという声が響く。
あっという間にサラの周りに白ひげ海賊団のクルーたちが集まった。

「サラ、ひさしぶりだな。」

最初に話しかけてきてくれたのが、
和服の似合う銃の使い手のイゾウさんだった。

「イゾウさん!わ〜!あいかわらず素敵ですね〜!」

「お前こそ、見ない間にキレイになったじゃんか。」

「ふふ、そんなことないですよ〜。でも、ありがとうございます。」

「いやいや、イゾウの言うことにも一理ありますな。」

「ビスタさん!わ、髭は変わらないんですね!」

次に話しかけてきてくれたのがビスタさん。
ダンディな雰囲気を醸し出していて、紳士である。

それから、いろんな人が話しかけてきてくれたのはいいのだが、質問攻めにされて困ってしまった。そんなときにやはり頼れるのはこの人だった。

「グララララ、お前らいい加減にしやがれ。うちの娘がこまってるじゃねーか。」

そう、助けてくれたのはこの船の主であり、船長の白ひげである。
わたしは、親父の傍に駆け寄って、思いっきり親父へとダイブした。

「親父ぃ〜!!!久しぶりだね〜!元気だった?」

「鼻ったれが、元気に決まってんじゃねーか。エースを拾ってくれてありがとな。俺からも礼を言う。」

「エースなんて大したことじゃないよ!本当?良かった〜。あんまり無理しないでね?」

「グララララ、お前に心配されることはねぇよ。」

「もう〜、あんまりお飲んじゃ駄目だよ〜。」

「バー経営してるやつのセリフか。
 …ん?お前随分とキレイになったじゃねーか。」

「そんなことないって〜。久しぶりに会ったからって、みんな目がおかしくなってるんじゃないの?」

「いや、本当だ。お前をこの島に置いとくなんてもったいねぇーな。」

「冗談やめてよー。私はこの島が好きなの。」

「グラララ、あぁ、確かにお前はこんな海賊船に乗ってるよりは店にいた方が似合うな。」

「でしょ?」

そういうと、その場にいたクルーたちが笑った。

「おい、そろそろ宴にしよーじゃねぇか。」

親父の鶴の一声で宴は始まった。


……みなさん、言っときますが、まだ朝ですよ。


海賊たちにそんなことは関係ないらしく、あっという間にお酒やら料理やらが運ばれてきて大宴会となった。

船だけでは飽き足りず、港にも場所を広げて、この街の人々を巻き込んでいった。
普通は海賊と一般市民だなんて仲良くしたりとかはしないのだろうけど、この街は違うのだ。白ひげのマークに守られているってだけじゃないと思う。多分この街の人たちの人柄がそういったものから引き離しているのだと思う。

宴もだいぶ盛り上がってきて、みんながデロデロに酔い始めたとき、

「サラ、ちょっと、こっちに来てくれないかよい?」

マルコに耳打ちされた。
マルコの後をついていくと、誰もいないキッチンへと案内された。
流石サッチ。
キッチンには無駄なところが一つもないな〜と、感心させられる。

「呼びだしちまってわりぃなぁ。」

「全然いいよ〜!どうしたの?」

「いや、…その、サラの作ったカクテルが飲みたいと思ってよい。」

マルコが顔を真っ赤にしてそんなこと言うもんだから、おかしくなって私は笑った。

「はは、マルコ、おっかしー。」

「わ、笑うんじゃないよい。」

「あー、ごめんごめん。だって、急に可愛いこと言い出すもんだからさ。」

「たまにはいいじゃねぇか。」

「うん、いいよ〜。で、何がいい?」

「お前の作るもんなら何でも…。」

「おっけー。任せて!」

キッチンの酒が並んでいるあたりの棚を見渡す。

そして、手なれたように

ウォッカ、テキーラ、ホワイトキュラソー、ブルーキュラソー、 レモンジュースを入れてシェイクしてグラスへと注ぐ。 仕上げにチェリーを飾って出来上がり。

キッチンのテーブルで、マルコが掛けている椅子の隣りに座る。

「はい、どーぞ、召し上がれ。」

「きれいな色だよい。」

「その色はマルコのイメージカラーだよ?」

「俺はこんなにきれいじゃないよい。」

「ううん。マルコはきれいな色だよ。不死鳥の時の姿なんて、ほんとに素敵じゃない。」

「ほんとにお前は変わってるな。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

俺が不死鳥になったときの姿をみて素敵だなんて言うのは、多分サラぐらいだろう。他の奴らはたいてい、化け物だとか、気味悪いだとか言って俺を蔑んだ。

でも、あいつ
サラだけは違った。
あいつは不死鳥になった俺を目の前にして、

「キレイ…。」

と、一言だけつぶやいた。
それが、俺にとってどれだけ嬉しかったことかこいつは知らないんだろうな。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「バカラ…かよい?」

「おぉ〜〜〜〜!流石、マルコ!だてにたくさんお酒飲んでないね!」

「まぁな。」

「バカラってトランプ賭博のことなんだよね。この青さがさ、マルコっぽいよね。静寂な夜を表しててさ。」

「そうかよい?」

「うん。あと、お酒も強いから、マルコも満足させらると思うよ?」

「ふ、お前らしいよい。まぁ、でも、今の俺を満足させらるのはこのカクテルじゃまだまだだよい。」

「え〜?辛口マルコ〜。他になにがたりな…」

私が尋ねると同時に腰を引き寄せられて、唇を塞がれた。
その口づけは深く、甘く、私の咥内を犯していく。

「ちょ、マルコ、」

口を開くと同時にマルコの舌が更に侵入してくる。
腰をとらえた反対の手で私の後頭部を固定して、更に口づけは深くなる。

酸素が足りなくなったせいか、分からないが、何も考えられなくなる。

マルコに酔わされているんだ。

さすがにきつくなって、マルコの胸板をドンドンと強くたたくと、満足したかのような笑みを浮かべて、

「やっぱり、お前を満足させられんのはお前だけだよい。」

ペロっと下を出して言った。

「い、いきなりなにすんのよ!」

「いきなりじゃなかたらいいのかよい?」

「誰もそんなこといってないじゃない!」

「まぁ、いいよい、ごちそうさま、サラ。」

そういうと、マルコはヒラヒラと手を振ってキッチンを去っていった。
先ほどのキスで力が入らなくなってしまった私は、キッチンに取り残される形となってしまった。


バカラ。


酔わされたのはわたし?
それともあなた? prevnext
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