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 チェリーブロッサム
海賊騒動が終わり前の様な落ち着きをとりもどし
また、この島の時間が流れるようになりました。

店の入り口のドアも大工さんに言って頑丈なものにしてもらいました。
3回目の修理を頼んだ時は大工さんがびっくりしていました。

こっちだって好きで壊されているわけじゃないのになぁ。

大体あのドアをぶち壊すほうが悪いんだ。
なぜわざわざ壊して入りたがるんだ。

ま、この修理代は海軍本部の青雉のもとに送ればいいしね。

そして、

今日はお店は休業日にして
街に買い物に出かけることにしました。

お酒のほうはじっちゃんが生きてた頃から
取引を続けてくれる船上販売のお店が廻ってきたときに
買うようにしているから問題はない。

しかし、食料だけは分からない。

大食いのお客がこの前来た時は私の夕飯をも食い漁って帰ったからなぁ。
そう、念には念をだ。



とは言ってもこれは買いすぎたかな??

買い物を終えたときには両手じゃ抱えきれないほどの荷物だった。
こんなとき、ここがシャボンディ諸島だったら楽なのになぁ。
と思う。

しょうがない。

一息ついて荷物をなんとか抱える。
頑張れ!自分。

よろよろになりながら歩いていると、
一人、また一人と声をかけてきてくれた。

「サラ、大丈夫か?持ってやるよ。」

「おっ!今日はずいぶん買ったな!手伝ってやるよ!」

「いつものお礼だ、今くらいは甘えろ。」

八百屋のジョニー、
肉屋のジョン、
そして、魚屋のピーター。

あぁ、なんてこの島の人たちは優しいんだ!

『みんな!ありがとう!』

「どうってことないさ。」

気づけば私の荷物は小さな手提げだけになっていた。

彼らと私は所謂幼馴染とでも言えばいいのか、
いや、悪友のほうが正しいかな?

彼らは、5つ下になる私にも優しく接してくれて、
小さい時はいっつも日が暮れるまで遊び通した仲間だ。

店の前に着いて荷物を下ろしてくれた。

『今日はありがと!また、飲みに来てね!』

「「「おう!」」」

そういうと
彼らはみんな自分の家へと戻っていった。

なんて頼もしい人たちなんだ。
でも、
みんな早々と結婚なんかしやがって!
なんだか私だけが残されてる気がする。
でも、5つも下なんだから当たり前か。

私はもう少し自由ライフを送っていたいしね。

買ってきたものを冷蔵庫やら食品庫にしまう。

二階のベランダにでて、
今日は頑張った自分へのご褒美として焼酎をストレートで飲む。

海をみやると浜辺の波打ち際に人が倒れているではないか。
ここから大体500メートルと言ったところか。

ふわっとベランダの柵を乗り越えて
人が倒れているところまで走り抜ける。

倒れているのはどうやら男らしい。
鍛え上げられたからだ。
オレンジ色のテンガローハット。
背中にあるおっきな白ひげのマーク。
あぁ、間違いない。

"火拳のエース"だ。

なぜ、ここに火拳がいるのであろうか。
甚だ不思議である。

近くに船は…、と探してみるもあのくじらの大きな船は見つからない。

「…う、うぅ。」

は!生きてる!

『ちょっと、エース!あなた大丈夫?』

「…し。」

『え?何?』

「飯…くれ。」

『え?またあなた行き倒れしてるの?!』

この男をかついで店まで戻らなきゃいけないのか…。
…まぁ、仕方ないか。

『エース、今うちの店まで運んであげるから。
 肩貸してあげるから、ちょっと自力で歩いてよね。』

「…ぉおぅ。」

無理やりエースを立たせて多少引きずりながら
自分の店へと戻る。
自分ひとりだけなら2分とかからないのに
大の大人を抱えれば、10分ほどかかってしまった。

店の戸を開けて、カウンター席にエースを座らせて
食事の準備に取り掛かる。

いそいそと料理の準備をする私に対して
グースカといびきをかいているコイツの頭を
少しばかり殴りたくなったが、高額の請求する方がいいだろうと思って
今は寝かしてやることにした。

料理が出来上がってくると
鼻をヒクつかせながらエースがむくりと起きた。

「…飯の臭いだ。」

『あ!エース!起きた…』

ガツガツバリバリ
むしゃむしゃ。

…コイツ片っ端から食いやがった!

無言で食べているエースに何を言っても無駄である。
それよりもエースの食べるペースが早くて料理が追いつかない。

「…モグモグ。

 おい、おかわりっ!」

『はいはい。』

スパゲッティやら、スープやら、サラダやら肉や魚やら、
まるで機械のように飲み込んでいく。

飲み込んでいくと思ったらいきなり料理に顔埋めて寝てるし。

それからエースは
30分ほど寝ていた。
つかれているんだろうな…。

確か彼は白ひげの二番隊の隊長だ。
若くして隊を任せられたってことはよほどの実力者なんだろう。

昔はわたしなんかよりちっちゃかったクセに…。

ガープさんとエースは二人で一度だけうちの店に来たことがある。
じっちゃんの友達で、ガープさんとじっちゃんが二人で飲んでて
私とエースはなんだかどっちが上かってもめてたなぁ。

料理も冷めてしまうし、揺さぶってエースを起こしてみた。

『ちょ、エース。起きて。』

「…んぁ?」

『ねぇ、ここがどこだかわかる?』

「ここ…?どこだ?!」

『ねぇ、エース、私が誰だかわかる??』

期待はしていなかったが恐る恐る聞いてみた。

エースはうーんと唸って考えたがすぐにはっとおもいだして答えた。

「わかった!お前、サラだろ??」

『わー!よく覚えてたね!』

「え?てことはここはあの島…?

 てか、サラ、飯ごちそうさん!美味かった。」

『お粗末さまでした。

 ねぇ、ところで、エースどうして浜辺に倒れてたの?』

「俺、倒れてたのかぁ!いや、釣りしてたら海に落ちて…、」

やっぱり、エースの悪運の強さは計り知れない。
どうして悪魔の実の能力者が海に落ちて助かっているのだろう。
きっと、こころ優しいここの島の近海に住むイルカたちが助けてくれたんだろうな。

『てことは、今頃みんなさがしているんじゃない?』

「うーん、そうだよな。

 ま、そのうちマルコかサッチがみつけてくれんだろ。」

ニカっと笑ってとびっきりの笑顔を見せるエース。

羨ましいなそんなに信用できる仲間がいるなんて。

「なー、サラ、酒あるか?のど乾いた!」

『カクテルつくろっか?』

「じゃぁー、今度こそ飲ませてくれよ、サラのおすすめ!」

はいはいといいながら

貴重な
チェリー・ブランデーを入れて
普通のブランデー、 
オレンジキュラソーを少々、 
レモン・ジュースに 
グレナデンシロップを入れて
シェイクすれば完成。

『はい、どうぞ、エースの口に合えばいいけど。』

「きれいな色だな。」

ごくっと飲み干してエースは言った。

「この味、倭の国で食べたものと似てる気がするな〜。
 サラ、俺これ好きだぜ。なんてゆーんだコレ!」

『チェリーブロッサムよ。
 チェリーブロッサムはちょっと甘いからみんな嫌うんだけど、すきって言ってくれて嬉しい。』

エースはわくわくとしながらそのカクテルに口をつけて大事そうに飲んでいた。

『ねぇ、エース、マルコたち早く来てくれるといいね。』

「おう!」

また、ニカっと笑って見せる彼がとても輝いて見えた。


チェリーブロッサム。


一瞬の舞い降りる桜の儚さを映し出しても
あなたの笑顔にはかき消されるもの。

(マルコたち来るまでここにいさせてくれよ!)
(うん、しょうがないな〜。) prevnext
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