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 妬きもち気持ち
どうやら大将青雉は会議をさぼってまでエニエスロビーに来ていたらしく、彼の部下である海兵さんたちが迎えに来て、青雉を海軍本部へと連れ戻しにきたのだった。

「ごめんよぉ、澪ちゃん。
 今度はおじさんとゆっくりとお話したり、お茶飲んだりしようね!」

「はい、ぜひ!」

そう言って青雉は私の肩に手を置いてヘラヘラと笑った。そんな風に青雉とわたしが和気あいあいとしていたら、機嫌が悪いといったオーラを出している人が一人。

そう、言わずもがな、ルッチさんだ。

「あれだなぁ…、ルッチはなんでこんなに俺に敵意剥き出しなのかねぇ。」

「あんたが澪の肩に置いているその手をどかすのなら少しは抑えますが?」

「あららららら…。ちょっと厳しいんじゃないのぉ?」

そう言って青雉はするりと私の肩に置いていた手をどかした。

「これでいいかな?ところで澪ちゃん、海軍に…」

「その話は先ほどもしましたよね?」

ルッチさんのドスの聞いた声が響いた。

「あぁ〜、冗談だっつーの。まったく…。」

「そんなことより、部下がお待ちですよ?いい加減自分の巣に帰ったらいかかがですかね?雉らしく。」

「なぁ、スパンダム、こいつ俺の扱いひどくね?」

「は!大変失礼しました!ルッチには私から言っておきますので…!」

「まったく、お前もこんな部下たち持って大変だな。まぁ、いいか、俺もさっさと戻んねぇとセンゴクさんに怒られちまうからな。」

そのまま、青雉はおとなしく、彼を待っていた部下の人と共に本部へと戻っていった。いきなり来て周りを巻き込んで、まるで嵐みたいな人だった。

というか、彼が抜け出している会議の関係者の人とか、さっき言ってたセンゴクさんの方が随分苦労してるんじゃないかと思ったが、今は何も言うまい…。

私はかわいそうに思いながらも、ささやかな笑顔で青雉を見送った。

青雉が帰ると、長官はすっかりお疲れモードだった。

「はぁ…、まったく上の権力の奴相手にすんのは疲れんなぁ。俺はつくづく胃がいてぇよ…。」

「長官も大変なんですね…。」

「まぁな、それより、お前はあの機嫌の悪そうなやつを早くなんとかしろよ。」

「は!」

振り返ってみると、先ほどよりは少しばかりか黒いオーラが薄くなったルッチさんがいた。

確かにパッと見は怖いけれど今ではなんだか慣れたものだ。

「ルッチさん。」

「なんだ。」

「まだ機嫌悪いですかね?」

「………………いや。」

めちゃくちゃ間がありましたけど…?

「とりあえず戻ってゆっくりしましょうか?」

「…そうだな。」

「わたしコーヒー淹れますよ!」

「頼む。」

私の一言にルッチさんは少しだけ口端をあげていつものように笑ってくれた。

中へ戻るとき、長官の後をルッチさんと歩いて、そっと手を差し伸ばしてみるとそっと彼が握り返してくれたので、心がほんわかとした。

すっかり黒いオーラがなくなったルッチさんを振り返った長官が見て、とてつもなく驚いた顔をしていた。

「澪、お前、やっぱなんかすげぇな…。」

「え?わたしは何もしてませんよ?」

「いや、でもなぁ、ルッチがここまで大人しくなるな…」

「長官、それ以上言うなら今すぐ剃でも食らわしますよ?」

「ひぃっ!そんなのごめんだ!俺はまだ長官でいてぇからな。」

そう言って長官はそそくさと中に戻って行った。

「ルッチさん、あんまり長官苛めちゃだめですよ?そのうちホントに胃を壊しそうだし…。」

「お前は長官の味方をするのか?」

「いや、そうじゃなくて…。」

「なんだ。」

「だって、長官って長官なのに、いかにも弱っちい感じしません?大将青雉はなんか品格の大きさみたいなオーラをすぐに感じたたんですけど…。でも、そういうのは長官にはないし。だから、なんか味方になるって言うかそれ以前に…。

……ダメダメじゃないですかね?」

私が答えるとルッチさんはククっと笑いをこぼした。

「私、また変なこと言いました?」

「いや、そうじゃねぇ。澪、やっぱりお前はすげぇわ。」

ルッチさんは笑いながら、手を繋いでいないほうの手で私の頭をわしゃわしゃとした。そしてそのまま抱きしめた。

「お前は洞察力に長けてるよな。」

「そういうの感じて生きてきましたからね。」

「悪かねぇ。だが、あんまり他の男に愛想振りまくんじゃねぇ。」

「別にそんなつもりはないです。」

「お前の魅力はお前が思っている以上にあんだよ。」

「………。」

「分かったか?」

「………。」

「返事もできねぇ奴はお仕置きが必要か?」

「うっ!きを…「おせぇ。」」

私が答える間もなくルッチさんに唇を塞がれた。
いつものように唇をくっつけるのではなく、段々と口づけは深くなっていく。
呼吸が上手く出来ずに苦しくなり、ルッチさんの胸板を軽くたたくと、ほんの少し隙間を空けて呼吸の余裕をくれたが、それによって、ルッチさんの舌が容赦なく私の咥内を犯していった。

「…っんう。」

我慢できずに声を出してしまうと、ルッチさんがやっと離してくれた。その表情は、いつも以上に不適な笑みを浮かべていた。

「ルッチさん、いきなりなにするんですか…。」

「なんだ、お前息の仕方も知らねぇのか?」

挑発的に言ってきたのでムキになって答えた。

「知りませんよ!だってわたし、男の人とこんなことするのルッチさんがはじめてだし…。」

言ってしまって後から気付いたが、この時の自分はとんでもないことを言ったのではないかと思った。

顔を真っ赤にして反抗する私の様子を見て、面白がったようにまた笑った。

「いや、いい。お前には後で俺が色々と教えてやるよ、ククク。」

やってしまったと思っても後の祭り。
しばらく私はルッチさんの腕の中で、彼が満足するまでホールドされたままだった。

「澪、もう一回していいか?」

「え。」



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