愛と恋と… | ナノ
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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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 ご対面
海列車に揺られて、到着した先はエニエスロビーでした。


エニエスロビーとは世界政府直属の裁判所がある「司法の島」だそうです。
ちなみに、ここは昼島だそうで夜がないんだとか。

そんな簡単な説明を列車の中でルッチさんから受けました。

ワンピースが元いた世界にもあったのだけれど、こういう細かいところまでは読んでいなかったためサッパリだったので知ることができてよかったと思った。

ルッチさんはいまだに自分のことを私に話そうとはしない。
船大工だと言いはっているしね。
まぁ、私は彼が殺し屋だというところまでは知っているから、その話をされても別段驚くわけでもないし、受け入れる覚悟くらいはできている。

そして、今回エニエスロビーに連れてこられたってことは、もしかするとカミングアウトの時なのかなぁ、とも思っているわけだ。

「「「お帰りなさいませ!ロブ・ルッチさま!!」」」

海列車から下りるとたくさんの海兵さんたちが敬礼をしながら迎えにでていた。

「まだ、任務は終わってねぇ。今回は現状報告だバカヤロー。とっとと仕事に戻れ。」

ルッチさんの冷たい一言でその場にいた海兵さんたちは各々持ち場へと戻っていった。

「ルッチさんは、すごいんですね。」

「エリートだからな。」

…この人まだ引きずってたんだ。

…*…*…*…

歩くこと数分してルッチさんに連れてこられた場所は、長官室の前だった。

「これから、長官に会うぞ。」

「はい!普通じゃない変な長官ってすっごく気になります!あ!菓子折とかほしかったですかね?」

「そんもんいらねぇに決まってんだろ、行くぞ。」

トントンとノックして長官室に入るルッチさんの後に続く。
あ、ノックとかできるんだこの人。

「長官、連れてまいりました。」

目の前にいたのはコーヒーを飲もうと口につけようとしていた、パンダみたいな人だった。

「あ、あなたが長官ですか初めまして!」

パンダが大好きな私にとって、この人はもう、たまらない存在になった。
初めましてと挨拶をして、私は右手を長官の前に差し出した。

「あ、こちらこそ。」

と言って、長官が私の手を握ってくれたのだ!
パンダが!私の手を!!!
わぁ〜、何て感動なんだろうか。
これは日本じゃ時わえなかったものですね。

「初めまして長官!私澪って言います!」

「おぁ!澪か、俺はスパンダムって言うんだ。CP9の長官だ。」

「CP9…?」

「あ?お前異世界人だもんな、CP9なんて知らねぇよな。平和でいいこった。」

「澪、後で俺がお前に説明する。」

「ありがとうございます、ルッチさん。」

そのあとはまぁ、座れと言われて長官室のソファにルッチさんと並んで腰かけて、メイドさんが持ってきてくれた紅茶を飲んだ。

「ところで、お前はどうしてこの世界に来たんだ?」

長官専用の椅子に座ったまま長官が話しかけてきた。

「さぁ〜、それは私が一番聞きたいくらいですね。向こうの世界で歩いてたら、いきなりこの世界に飛んで来ちゃったんですからね。」

「お前も大変だったんだな…。」

「そうなんですよ。ホントいきなりで困っちゃってます。」

「まぁ、今回来てもらったのは、ちょっと政府の奴に異世界人について詳しく知りたいと言われてなぁ。これから一応海軍本部の方から来客があるから会ってくれ。そんで、その人と話してからお前のこれからを決めることになるだろうな。」

「え?!もしかして、私、つかまっちゃったりするんですか?」

「嫌…、それはないと思うけどなぁ。なにしろ、異世界人が来るなんて事例が今までにないからな。」

「わたし珍客なんですね!もしかして有名人?」

「ある意味そうだろうなー。」

それから、うふふ、あははという雑談をしました。
年はいくつで〜、向こうでは学生やってました〜、とか、
長官は彼女いないだとか、部下に苦労してるだとか、

最早合コンか!!!というノリだった。

「なんだよ〜、異世界人なんて聞いてたから、俺はてっきりもっと野蛮なやつかと思ったぜ〜。」

「ちょっ、人のこと野蛮とか言わないでくださいよ〜。私普通の人間ですからね!」

「いや〜、すまなかったなぁ。しかし、ここまでフレンドリーだとは…。」

「私もここまで長官と仲良くなれるなんて思ってませんでしたよ〜。もう、パンダみたいで最初はびっくりしましたけど〜。」

「お前、言うじゃねぇか!」

あはははという笑い声が長官室からは絶えなかった。

まぁ、そこで一人機嫌を悪くしたのが彼と言うのは言うまでもないだろう。

「…、どうしたルッチ、具合でも悪いのか?」

恐る恐る長官が尋ねる。
この人長官なのに腰低いなぁ…。
まぁでもいくら立場が上だからと言ってこうなってしまったルッチさんは恐ろしくて私もあまり近づけないのだ。

「いえ、別に。」

と、ルッチさんの方も理由を話す気はなさそうだし。

「急にだんまりしちゃって…、何か気を悪くさせちゃいましたか?」

私も恐る恐る尋ねてみる。
すると、彼がはぁ、と大きくため息をついて私の方を見て何か言いかけた時、長官室の扉がバンっと音を立てて開いた。

「いやー、いやー、遅刻しちゃってわるいねー。会議長引いちゃってさー。」

「「大将、青雉!」」

現れたのは海軍本部の大将をしている青雉さんという人でした。



(あれ?あんたが異世界人?)
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