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「#幼馴染」のBL小説を読む
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春を吹き抜ける南風
朝らしい木漏れ日がささやかに教室に降り注ぐ。
春らしくていい天気であるが、窓際の席の人たちにこの日差しはまぶしくて辛いらしい。

ちなみに、うちのクラスの担任は適当主義なカカシ先生です。
始業のチャイムの2分後にクラスに到着ってアンタそれでも担任ですかね。

「はーい、いない奴は手ぇあげてー。みんないるねー。おっけー。」

とまぁ、こんな風に出席確認も適当。

先生、いない人は手なんてあげられないってばよ、なんて突っ込む人もナルトくんだけ。

「そうだ、今日は色々と配る資料とかなんかあるからちょっと誰か手伝ってほしいナー。今日は9日だから9番トカ?いや、でも、そんなことしたら35番とか当たらないもんネェ…。それとも一番嫌な顔した奴かなぁー?」

そんなことを言って教室を見渡したカカシ先生と私の目があってしまうのは、お約束。

「よし。藍夏ちゃーん、手伝ってネ。」

「なんで?え?」

「いいからいいから大人しく手伝いなサイ。」

断る間髪も与えずにカカシ先生は、着いてきてネーなんて言って教室を出ていくので、私は置いてかれまいと先生の後をとことこと着いていく羽目になった。

なんとひどい扱い。ホント何なんだこの理不尽さは…。
こんな悪態を心の中で呟いていると、

「なんか言いたいことでもあるの?」

なんて言い出すものだから

「いいえ、カカシ先生のお手伝いが出来て光栄です(棒)」

と返すと、

「お、じゃあこれからは藍夏ちゃんが俺の専属のパシラーだな。」

冗談じゃない。カカシ先生のパシラーなんて承った暁には私はきっと過労死してしまうのではないのだろうか…。

「全力でお断りします!」

とりあえず、否定しておこう。無難にいかないと、いつ手の平返されるか分からないし。

そんな会話を繰り広げていると、私は廊下の向こう側からアスマ先生とポニテくんがあるいてくるのが見えた。

あっちの方向からくるということはC組かD組ということだろう。

「アスマ先生ー!」

私が声をかけて大きく手を振って見せるとアスマ先生もこっちに気づいてくれて、おうと返してくれた。

職員室という同じ目的地まで行くことになるので、私たちは自然と並んで歩くことになる。

「藍夏ちゃん、あんな熊みたいなのに挨拶しなくていいって。」

「おい、変なこと吹き込むなよ、カカシ。」

「あんまり、藍夏ちゃんに話しかけるなら別途料金払え。それか紅にチクるぞ。」

「どっちも願い下げだ。大体話しかけてきたのは藍夏の方だろう。」

「というかアスマ、随分藍夏ちゃんと仲いいじゃなイ?」

「カカシ先生仲良しじゃ「超仲良しだからな!こないだもわざわざ俺に会いに来たもんな!」」

「え、あれはただ、自転車が「仲良しだよな?藍夏?」」

「………はい、仲良しです……。」

無理やり言わされたがもうこの際何でもいいことにしようか。
わたしがこの二人のペースになんてついていけるわけがないんだ。

カカシ先生とアスマ先生の討論が更にヒートアップしていくのでそれを回避するように私たちの少し後ろを歩いていたポニテくんのところまで下がる。

「おはよう、ポニテくん。」

「おう、おはよう、ってお前なんだよポニテくんって。」

「え?見た目?ポニテだからさ。それともヤンキーくんのがいい?」

「却下。」

「そうだよね!冗談冗談!それよりまだ名前聞いてなかったね。なんていうの?」

「…奈良 シカマル。」

「奈良くん?」

「なんか堅苦しいな。」

「じゃあ、シカマルくん?」

「まぁ構わねぇけど。」

「じゃ、いいね!シカマルって名前なんか可愛いし!」

「何でもいいわ。」

そう言ってククっと笑って見せるので、胸の奥が少しだけ高鳴った。

…のは先ほどまでカカシ先生とアスマ先生の論争に加わっていたからということにしとこう。

「わたしは井上 藍夏ね!藍夏でいいよ!」

「おう。了解。
それよりもお前も大変だなカカシ先生のパシリって。」

「あー、しょうがないよー。なんやかんや仲良しだからさ。そういうシカマルくんだってアスマ先生と仲良しじゃん。」

「まぁな、俺もアスマとはなんやかんや仲良しだからな。」

「お互いに大変ですなぁ…。」

わたしがそう零すとオッサンか、なんてさりげなくツッコミをいれてくる。あ、なんだこの人見た目怖かったからてっきりアレかと思ったけど実はイイ人じゃん。

「シカマルくんっていい人なんだね。」

「イキナリ何言ってるんだよ。」

「事実ですので。」

「そうかよ。でも、さんきゅな。」

「いえいえ、お礼を言われることではないですので。ただ、その代わりと言っちゃなんですが、

アドレス交換しません?」

わたしの中のいい人レーダーがシカマルくんに反応を示したのをわたしは逃さなかった。

いいぜ、と一言言って、シカマルくんの携帯を学ランのズボンのポケットから取り出す仕草をゆっくりと眺めていた。


アドレス登録はお早めに。


(あらら?シカマルってばいつの間に仲良くなっちゃってんの?)
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