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蛍を追って冠売り場
夏休みもあけて本格的に訪れるのが数々の行事である。

そのなかでもぐうをぬいて最も激しいバトルが繰り広げられるのが、そう。体育祭である。

何もこんな時期にやらなくていいんじゃないかと思わせるぐらいの天候である。

ほんとに体力なんてすぐに奪われてしまうよね、こんな炎天下の中じゃ。

うちの高校の体育祭はクラスは主体であるが、各学年4クラスあるのを2クラス2クラスに分けて赤組対青組の運動会のような感じで行われる。

そして、カカシ先生のクラスとアスマ先生のクラスとが組んで、青組となった。

つまりは、

カカシ先生クラスのわたしとナルトくんとキバとヒナタが同じクラスで青組。

アスマ先生クラスのシカマルくんとチョウジくんとサクラといのちゃんが同じクラスで青組。

というわけだ。

ちなみに、サスケくんは赤組らしくサクラといのがとても悔しがっていた。

そして、嬉しいことにデイちゃんとサソリ先輩も同じ青組らしい。

そんなこんなで、今はクラスでの競技の担当を決めている。

「なぁー、キバ!何に出るってばよー?」

「そうだなー。俺はもちろんリレーだろ。あと、ナルトもな。そのほかはサッカーか野球だな。ヒナタは?」

「あの、わたしは、そんなになにかできたりするわけじゃないから、勝ち負けとか区別のつかない玉入れとかかな。」

「玉入れするヒナタ…。いいね。いいよ、すごくいい。」

「藍夏ちゃん、オヤジ臭いってばよ。」

「そんな目でヒナタを見るんじゃねぇよ。」

「うるさいキバ。羨ましかろう?羨ましかろう?私だったらヒナタにこんなこともできるもんねー!」

そう言ってうしろからヒナタに抱きつけば、照れるヒナタに拗ねるキバ。

可愛い。

「あ、それよりも、藍夏ちゃんは何に出るの?」

「わたし?うーん。楽なの?野球かバレーならいいかなって。」

「こいつ、要領いいからなんでもソツなくこなすんだよなぁ。」

「ありがとう、キバ。君から褒められるなんて…。」

「皮肉だよバーカ!」

「バカっていった方がバカなんですぅー!」

いつものようにキバとのバトルが繰り広げられるとおもったがそれは、クラスメイトの女子によって妨げられた。

「あ、あのー、藍夏さん?」

「ん?なに?」

「このクラスの女子のリレー、はしってもらえないかな?!」

「え?!」

「このクラス基本運動部少ないからさ!走れる子いなくて!」

「いや、私だって帰宅部ですけど…。」

「藍夏さん、中学の時足速かったって聞いたから…、」

「え、誰から?」

そう聞けば女のコたちはコソコソと話してその情報を提供した人の方を見た。

視線の先にいたのはカカシ先生だった。

お前か……………!!!!!

わたしが彼の方をみれば、ひらひらぁっと手を振っているじゃないか!!!

「お願い!!頼める人ほかにいないの!!」

女のコたちにそう頼まれたら断わるに断れないじゃないか…。

きっとこれもカカシ先生の計算のうちだろう。

わたしはため息をつくしかなかった。

…*…*…*…

一通りの悶着を終えて競技が決まった。

ナルト
*野球
*リレー

キバ
*野球
*リレー

ヒナタ
*玉入れ

わたし
*バレー
*二人三脚
*リレー

「な、なんでわたしだけ3つ?!」

「お、女のコ、このクラス他のクラスより、足りないんだって。」

「うわ、藍夏どんまい。」

「藍夏ちゃん俺、女装してなんか替わろうか?」

「ナルトそれは流石に無理だろ。」

「で、でも、藍夏ちゃんなら出来ると思うよ。」

「ひ、ヒナタぁ〜。」

ヒナタにできるとか言われたらできる気がしてきた!

さてさて、やろうじゃないか、体育祭。

「井上 藍夏、日向ヒナタのために全勢力を持って体育祭に挑みます!」

そうやって敬礼ポーズをみせれば、おぉーっといって、ナルトとキバが拍手をした。

…*…*…*…

体育祭までの日にちが近くなればなるほど朝や昼休みを使った練習がより一層激しくなる。

我がバレー部隊もサクラやいのとの連携のおかげで最強クラスの異名を持っています。

「サクラもいのもかっこいいね!」

「そんなことないわよー!藍夏のスーパーレシーブがなければこのチームは!ね!いの!」

「そうよー!藍夏が拾ってくれたのをわたしがあげてサクラが決める。もしくは、サクラがあげてわたしが決める。これ以上ない最高の連携じゃない!」

「二人にすてきなボールをだせるよう精一杯リベロやらせていただきます!」

お二人に敬礼をすれば、よしよしとアタマを撫でられた。

二人とも身長高いほうだからなー。ほんとにかっこよくて素敵だこと。

一方、野球の方では…。

ピッチャーはどうやらナルトくん。

センターにキバ。

キャッチャーがチョウジくん。

ショートがシカマルくんだった。

「うぉらー!」

ナルトくんの投げたボールは威力があるのでチョウジくんしか取れないだろう。

そして、そのボールが打たれても強力な守備陣営でカバー出来ると思う。

とりあえず、驚かされたのはキバが外野をほとんど一人で守れること(驚異の脚力により)、シカマルくんの守備が丁寧なのにすばやいこと(お得意の反射神経により)、チョウジくんの肩がよく、二塁ランナーをばっちり刺せること(分厚い上腕二頭金により)、そして、ナルトくんのボールがものすごく早いことだ。

もしかすると、ほんとうにうちの青組が勝てるかもしれない。

今はそれに大いに期待するのみだ。

そういえば、わたし二人三脚って誰と組むのだろうか。

二人三脚に参加するメンバーの一覧を見ても知ってる名前がほとんどなかった。

そして、一番最後に見つけた名前が

奈良 シカマル

彼の名前だった。

うちの高校の二人三脚は男女で組まなければならないらしく、早くペアを決めなければ大変だ。

喋ったことのない人と組んでも上手くいかないのは目に見えてるからだ。

そうなっては、早くシカマルくんにお願いしにいかないと。


シカマルくんの教室に行けば、彼は机に突っ伏して寝ていた。

昼休みの空気にまぎれて彼の席の前に行き声をかける。

「しーかーまーるーくーん?」

zzz

どうも寝ているらしかった。

サクラといのを見やれば二人とも殴れとジェスチャーしている。

いやしかし、流石に人を殴るのは抵抗がある。

とりあえず、彼の席の前にしゃがんでみて、スヤスヤと気持ちよさそうに寝ている彼の頭をつつきながらもう一度名前をよぶ。

「シカマルくん。」

すると彼は呼ばれたことに気付き、勢いよくガタッと起き上がった。

「なっっっ!!!藍夏!!!なんでここに??!!」

「そんなに動揺しなくたっていいじゃん。あ、起こしちゃってごめんね。」

「別に、構わねぇけど…。何か用か?」

「シカマルくんさ、二人三脚でるよね?相手決まってたりする?」

「二人三脚って男女でやるやつだろ?なんで俺が選ばれたんだか謎なんだよなー。あー、相手決まってねーよ。」

「ほんと?!ならさ、私と組まない?足そこまで速くないけど、邪魔にもならないと思うの!」

「あーめんどくせーし、いいぜ。」

「やったー!じゃあ、よろしくね、シカマルくん!」

そういって右手を差し出せば、ふわりとシカマルくんも握ってくれた。

よし、これで、万全の状態で体育祭を迎えられそうだ。

「予定合うとき練習しようね!それじゃ!」

そう言って契約が終わればわたしは自分の教室へと向かう。物事がうまく行っているので自然と足も軽い軽い。

だが、あまりの軽さに何もない廊下で転んだのは言うまでもないだろう。

おまけにそれをカカシ先生に見られるハメになるなんて転んだ本人も思いもよらなかった。


体育祭ムードの誘惑。


(寝起きにあいつの笑顔は反則だ) prev / next