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◎ 数学教師と、
テストの成績が悪く、放課後の数学準備室で一人、私はマルコ先生の補習を受けることになった。
「ほら、このプリントをやれ。補習用だ。」
「はーい。」
問題を解き始めること数分。マルコ先生に動きはない。
「先生、ここにずっといるんですか?」
「補習生徒を見張るのが今日の俺の仕事だよい。」
うっ。
このままトンずらしてしまおうと思ったがそうもいかないらしい。
「今、嫌な顔したろ?逃がさないよい?」
なんだその不適な笑みは。
私は気をそらすように先生に声を掛けた。
「先生?」
「なんだよい。」
「何でもないよい。」
「真似すんなよい。」
「真似してないよい。」
「…澪?」
「なんだよい?」
「…好きだよい。」
「好き……って、え?!」
「好きだ…、澪。ずっとお前だけが好きだったよい。」
「あの、ちょ、え?」
「今、俺を選べばこのプリントも免除だよい。」
「先生、私も大好きです!」
そのまま私は先生の腕の中にいた。
数学教師と、
(欲しい君は無理やりにでも奪おうか)
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