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「#オリジナル」のBL小説を読む
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 赤い薔薇には棘がある
…………。

あたしは、現在進行形で、
本を読んでいる。

内容は恋愛小説。

別れた二人が再会して、復縁するってお話。

物語もクライマックスにかけているのでいい感じの
涙を誘うシーンだ。

「おいっ。」

「ん〜?」

「聞いてんのか?」

「う〜ん。」

「てめー、いい加減にしろよ。」

「あぁ、もう、うるさいな。なによ?」

そういって振り向くあたし。

後ろには機嫌の悪くなった、あたしの元カレ、

トラファルガー・ロー。

「あたしは、本読むのに忙しいの!」

「ったく、お前は俺の話を聞いてなかったのか?」

「ローの話?なんか言ってた?」

「…お前は、なんで、こーも人が大事な話をしてるときにそうやって…。」

はぁ。と、ため息をつくロー。

大体今日呼び出したのはローのほうだ。

"俺んちに来い。"

そう電話をしてきた。

別れたローから連絡がきて少々戸惑ったが、

ローの機嫌を損ねるのも面倒だったから、

二つ返事で"うん、行く。"と、答えた。

しかし、

ローの家に行ってみると、ローはテレビなんか見てるし、

"何であたしのこと呼んだの?"

と、聞いてみても

"…。別に。"

としか言わないし。

しょうがないから、付き合ってた頃のように
ベッドに寝転がって本を読み始めたのだ。

ローが見てるのは
なにかしらのドキュメンタリー番組。

最初からみれば結構面白そうなきもした。

あたしが小説の8行目をよみ終わるとき、

ローが話しかけてきていた。

「…おい、澪。」

「はいよー?」

返事をするものの顔は小説のほうを向いている。

そんなあたしに、

はぁ、

と、ため息をついて、何も言わないロー。

また、8行目が読み終わるとき、

今度はあたしから話しかける。

「ロー?なにー?」

相変わらず顔は小説に集中。

チラっとこっちを見て、
テレビへと視線を移すロー。

「…何でもねぇよ。」

それから時計の音だけが妙に大きく聞こえた。

そして、どれくらい時間が経っただろうか。

「おい、バカ女。」

「うーん?何?」

「バカ女でいいのかよっ。」

「そんなの、付き合ってるときも、その前も散々ローにそう呼ばれてたし。」

「いいか、

よく、聞けよ?」

そういうとローはテレビのリモコンを手に取り
電源を切った。

「…、もう一回俺とやり直せ。」

…やり直せ?

だと?

相変わらずの俺様だな、

常に上から目線。

そして、冒頭に至る。

「あたしを呼んだのってこのため?」

「他になんの意味がある?」

「疑問に疑問で返すな。」

「それ以上の理由が必要か?」

…とか、なんとか、勝手なこと言うロー。

"俺と別れろ。"

そう言ってきたのはローのほうからじゃないか。

そして、何をいまさら戻れと。

勝手に"付き合え"って言ってきたくせに。

今更じゃないか。

いつだってローはあたしがいても周りに女の子を
連れて歩いてるし、

そんなローに怒ろうともしなかったあたし。

ローの友達であるペンギンやキャスの前では
泣いたこともあったが…。

でも、
それも今では過去の話。

ローは何を掘り返したいのだろうか。

「お前は、俺のことが嫌いか?」

「嫌い。」

即答してやった。

すると、なにが気にくわなかったのか
あたしの本を奪い取りあたしにまたがった。

「もう、一回。もう一回俺の目を見て言ってみろよ。」

こんな至近距離でかおを近づけられて、
嫌いなんて言える女がいるのだろうか。

「…っ、…き」

「聞こえねー。」

…実質、あたしはローのことがまだ好きだった。

別れてもポッカリと時間が空いてしまうと
ローのことを考えていたりした。

「ちょ、いい加減降りてよ!」

「ヤダね。」

そういってフッと耳に息をかけた。

この…ドS野郎め。

あたしが耳が弱いことを知っているローは
更に耳元で話しかけてくる。

「澪?ほら、言ってみろよ?

俺のことがきらいなんだろ?」


「…きよ、好きよ。」


体から火が出るような感じとはこのことを言うのだろうか。

赤面で答えたあつぃにローは満足したのか、

「よく、できました。」

なんて、また耳元で言うからあたしはますます赤くなった。

「なによー、ずるいのよローは!」

「ずるいのはお前のほうだ。」

「えー?!なんであたしがずるいの?」

「お前が先に俺の心を奪ったからだ。」

…意味わかんない。

それでも、

また、ローの手を握って隣を歩くのも
悪くないかな〜って思ってる自分もいて、

やっぱり、
ずるいのはあたしの方だと思った。

(なんであの時別れろって言ったの?)
(…お前俺にやきもちやかねーから。)
((…本当は妬いてたなんて口が裂けても言わない。))


あとがき

俺様だけど、ヘタレ?なローが書きたかったw
気が強いけど、ローにはやっぱり弱い主人公が書きたかったw




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