「言えよ、はやく」



ソレなんて消えればいいと思っていた。だからソレを胸の奥の奥の奥に置いて、私は私を殺していた。そうすれば、全てが何も無かったように過ぎ去るから。でも、静雄さんは違った。化け物と呼ばれる自分を知っていながらも、ソレを捨てずにいる。だからコレを持て余す私は静雄さんが求める言葉を言えず、今のこの状況が生じてしまった。




「お前が分かんなくって、不安なんだよっ…」




静雄さんが、カナシんでいる。



泣きそうな顔をしている静雄さんを見て、胸の奥の奥の奥のアレが動いた気がした。どくんどくんと。あぁ、きっとコレは必要なんだ。今、静雄さんにちゃんと接するために。静雄さんがソレを介して私に接するのだから、私もコレを介して接すれば、きっと届くのかな。コレは久々に手にするものだからかなり劣化しているんじゃないかと思ったけど、ちゃんと機能してくれる事を期待して口にする。









「静雄さんだけを、あい してる」














どんだけ苦しくってもどんだけ病んでしまっても感情っていうのはやっぱり、無くしてはいけないものかもしれませんね。


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