「臨也ー」


「んー?」


「すきー」


「はいはい」


このやり取りは今ので11回になる。何で飽きもせず繰り返すかって言うと、簡単に言えば臨也が相手をしてくれないからだ。まぁ、私が勝手に予定も聞かずに来たからしょうがないんだけれど、けれど…。
ちらっと見てみれば真剣な表情でパソコンの画面に向き合う臨也…やっぱりかっこいい……じゃなくてっ!


「いざやー」


「ねぇ、ちょっと黙っててくれない?」


規制が入りました。
いや分かってますともっ!私が臨也の邪魔をしてるってことくらい自覚してるもの…!
でもさ、今日だけは、せめて今日だけでもお仕事にも誰にも邪魔されず、臨也と過ごしたかった。

ってことを伝えるのも今は出来ないから黙ってるけどねっ。
ふんっ!どうせ臨也は私の体目当てで付き合ってるんだっ…(む、胸無いけど…あ、泣けてきた)ばぁかばぁかっ。あの時にコロッと落ちたから、そのまま臨也の手のひらでコロコロ転がらされてるんだ、臨也にとっては遊びなんだ、あ そ びっ。うわっ、やっぱり悲しくなってきた…。


「いざやのばーか」


「………」


規制を無視したからなのか、やっぱり忙しいのか、難しい顔をしながら無視された。


何か涙目になってきた。帰りたいいや帰ろう。べ、別に拗ねた訳じゃないよ。ただ今の顔を見られたくないだけ。
すごく、ひどい顔をしてるから。

ソファから立ち上がって、滲む視界に映る見慣れたドアに向かう。手すりを掴めばすぐに玄関に向かって靴を履いて帰れたのに、なのに、


「何してるの?」


「…なにって…というか手、離してよ」


「今日が大事な日だってことぐらい分かってる。それと俺は馬鹿じゃない」


「……」


「俺が×××を落とした日、記念日でしょ」


「…うぅっ…いざやぁ…」


「あーもう、さっきまではちゃんと我慢出来てたのに今泣いちゃダメでしょ」


「だって、黙ってって言ったぁ…」


「さっさと片付けたかったから、しょうがないだろ?」


さっさの言葉とは違う、優しい手つきで私の涙は拭われる。



「俺が×××のことをどれだけ愛してるかなんて今の拗ねてる×××にはどう言ったって分かってもらえないだろうけれど、」



あーぁ、さっきまであんなにこの場から、臨也から離れたかったのに、



「愛してる、だから」




もう帰らない、帰れない




「帰さないよ」






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