これが後悔というものだと分かった。一つの安定を求めた結果がこれだった。私は愛が欲しかった、それだけだったのに。 彼氏との行為は私にとって初めてだった。私は痛くて痛くて息が詰まりそうで、でも彼は気持ち良さそうに私の中で暴れていた。だからよかったんだ。それが愛ならと、そう思い込ませていた。でも不安が過ぎる。捨てられたら、そしてもしも……私が殺すことになったら、と。女だけが抱く不安。いつだってそう、きっと女だけ、どうしようも出来ない不安と、分かりもしない真理が渦巻く。ぐるぐると絡まって恐怖に引きずり込む。怖い、こわいよ―――。 「×××」 「ごめん、ごめんね。静雄にこんな話、いやだよね…気持ち悪いよね」 静雄は無言で頭を撫でてくれる。いつも静雄は臨也と喧嘩してるけど、本当は優しい人。そしていつも私の愚痴を聞いてくれる。特に何も言わず、ただ頭を撫でてくれる。その温もりが、私の彼に無い物だったと気づくのはとても遅かった。 「私ね、捨てられたの。ほら、処女って男の人からしてみれば面倒だけど、気持ちいいらしいじゃん。でもね、わたしは…そんなの、わか…ら…なか…ったの……だから、処女じゃ…なくなった…わた…し…は、すて られた…」 「×××、もう言うな」 「結局、全部がまちがってたんだよね。彼に捨てられるって、不安をずっと持つことになるって、分かってたのにっ」 引っ張られてたどり着いたのは静雄の腕の中だった。強く強く抱き締められて、苦しくて、悲しくて、涙が止まらない。 「もう…愛…が…わからないよ…」 「俺は×××じゃねーからバカだけど、多分、そいつが言う愛は間違ってると思う。愛の形が性行為なんてどうかしてる。間違ってんのは×××じゃねーよ。×××を傷付けたそいつだ」 「………っ……しずお、」 「だから、別れろ」 「…っ……」 「別れられねぇなら、俺がお前らの仲を引き裂く」 「…でも、」 「もう見てらんねぇ、お前の泣き顔なんか。それに愛が欲しいからって、奴は必要ねぇ」 「え、え…?」 「俺がお前を愛してんだ」 望んだのは真理だった 「静雄が大好き」 「っおう…」 「静雄照れてるの?」 「うっせ…」 「昔は告白の時に愛してるって言ってくれたのに」 「いつだって、×××を愛してる」 愛の無い行為、無責任な行為、ダメ、絶対。 |