氷帝×忍足
忍足受けが生きがいな時期がありました






「なぁ、侑士〜夏休みどっか行こーぜ!」
部活が終わり、部室で着替えをしている忍足の傍に岳人が近寄っていった。
「ん?せやな〜部活が休みが時にどっか行きたいな〜」
忍足は岳人の方を向き、答えた。

「……あ、ぁあ!そうだろ?!毎日汗水鼻水垂れ流して部活やってられるかってのー!」
岳人は、忍足の着替え姿に見とれつつも返事を返した。
「おい岳人!てめぇ部長の前でよくそんなことが言えるな、あーん?」
忍足の後ろで着替えていた跡部が割りこんできた。
「うるせーくそくそ跡部!こんな暑いんだぞー!休みの日くらいあそばせろー!」
岳人が跡部に向かって言った。
「ギャーギャーうるせぇな。別にいけねぇとは言ってねぇだろ−がよ。」
跡部が耳をおさえながら岳人を睨んだ。
「で、どこ行くどこ行く??」
岳人は忍足に向き直った。
「…ぇ、ぁ、どうしよかな?」
忍足は後ろでご立腹の跡部をチラチラと気にしている。
ちなみに部室には正レギュラーが全員いる。
忍足と会話している岳人を皆羨ましそうに見ている。
そう、忍足侑士は氷帝学園男子テニス部のアイドルなのだ。

「あーーー!いいなー!オレも行きたいー!ガックンだけずるいよー!!」
部室に設置されているソファで眠りこけていたジローが起きあがり、忍足に抱きついた。
「ジロー!起きたんか?」
忍足はニコッと抱きついてきたジローを見て笑った。
「うんうん起きたー!侑ちゃんとガックン一緒にどっか行くんでしょー?」
ジローは忍足の笑顔をみてさらにベッタリくっついている。
「せやな〜…まだ決まっとらんけどな」
「おい、ジロー!侑士にくっつくんじゃねーよ!」
岳人はジローを忍足から引き離した。
「E〜じゃん、けちー」

「で?どこ行くのー?オレも一緒に行きたいー!」
「なっ!?」
岳人は驚愕した。
「ぁあ、一緒にくんのはかまへんよ?なぁ岳人」
「なっ!?」
岳人はまたまた驚愕した。
2人で行くつもりだったのだ。
「マジマジ?やったー!!だから侑ちゃん大スキー♪」
そう言ってまたジローは忍足に抱きついた。

「おい、ジロー!誰の断りがあって俺様の忍足に抱き着いてやがんだ、あーん?」
跡部がジローを忍足から引き離しながら(2回目)言った。
「いつ侑ちゃんが跡部のものになったのさー」
ジローは忍足に抱きついたまま離れようとしない。
「いたたた…ジロー、そんなに引っ張ったら痛いで…」
忍足を見ると、少し涙目になっている。
「「「………………。」」」
ジローや跡部、岳人は忍足の可愛らしい顔に見とれている。

「ゆ、侑ちゃん…オレ…なんだか変な気ブッ―――」
ジローが忍足を押したおしかけたときに、跡部の鉄拳が入った。
「なにをしてやがんだ、なにを」
跡部はジローがしてなかったら俺がしてたかもしれない失態(?)を恥じた。
「で?どこ行くんだ?俺様も同行してやろう」
「え―――!?」
跡部が岳人と忍足の方を向き偉そうな口調で言い放った言葉に岳人は不満そうな声をあげた。
「せ、せやなー…どこ行こか?」
忍足は、床に突っ伏したジローを心配しながら跡部に返事をした。

「は〜い…俺海行きたいで〜す…」
ジローが、床に突っ伏したままの体制で手を上げた。
「海か…いいかも〜」
岳人も賛成した。
「でしょー?ガックン♪(侑ちゃんの水着姿見られるC〜)」
ジローはガバッ顔を上げた。
「(なんや?今の間は)せやな〜海もいいかもしれんなー」
忍足も楽しそうに笑った。
「よし、海行くぞ!なぁ樺地」
「ウス」
「(樺地いたんだ…)わーい!費用は跡部持ちでー!」
ジローが立ち上がった。
「何言ってやがんだテメー…」

「いいですね〜海!俺達も一緒に連れて行ってくださいよ〜」
「そうだぜ。俺達も連れて行けよ」
こっちで盛り上がっていると、鳳と宍戸が話しに入ってきた。
「なっ!?」
岳人はやっぱりイヤそうだ。

「ええよ〜?全然OKやで。多いほうが楽しいしな、岳人」
忍足は笑顔で答えた。
「やっぱり忍足先輩は優しいですね♪だから好きなんですよ」
鳳もニッコリ笑いながら忍足を見た。
「あ、ありがとー」
忍足は少し照れたように笑った。
「忍足先輩可愛いですね〜」
「そ、そんなことあらへんがな…鳳のほうがよっぽどかわええで」
「あはは、忍足先輩に可愛いって言われちゃったvv」
「あはは」

((((さらりと好きだとか言いやがる…鳳(長太郎)…強敵だ…))))
(ウス)

「よっしゃ、今度の休みはみんなで海行くで!」
「「「「「「お―――!!(ウス)」」」」」」



当日。
「ビックリやな…まさか一泊できるとは…」
忍足は着いたホテルのロビーを見上げながら言った。
「俺様を誰だと思ってやがんだ、あーん?高級ホテル貸しきるくらいの力はあるぜ?」
跡部は得意げに言った。
「しかし、大部屋が最大5人までなんだ。だから2人は絶対別の部屋になっちまう」
跡部はみんなに言った。

「……けっ。跡部様の力もこんなもんかい…」
「…宍戸何か言ったか?」
「いえ、何も…」

「と、いうわけで。部屋割りだ」
跡部が真剣な顔で言った。
「忍足、てめぇは2人部屋に決定だ」
「え?な、なんで?」
忍足は、跡部が付け足した言葉にビックリした。
「なんでもだ。……わかるな?勝者は1人だ」
跡部は他の5人を見ながら言った。
「「「「「あぁ(ハイ)(ウス)」」」」」
また他の5人も真剣だ。

(なんなんやろ〜?俺もまぜてほしいな〜)
忍足は自分の争奪戦が起ころうとしているのにも気づかず、のほほんとそう思っていた。

「でもどうやってその勝者を決めるのー?」
ジローが跡部に聞いた。
「あぁ、それなんだが…海にまで来てテニスで決めるわけにもいかねぇ。だから…」
「「「「「だから…?(ウス…)」」」」」

「ビーチバレーで対決だ!!(海っぽく)」

「「「「「………………。」」」」」



「なんだよ…いやなのかよ…」
跡部が5人を睨んだ。
「いやってわけじゃない…けど…」
と岳人。
「跡部が考えそうなことだな〜と思って」
とジロー。
「外暑そうですけど…?」
と鳳。
「どーせならスイカ割りとかがよかったな〜」
と宍戸。
「宍戸さん…それもどうかと…」
鳳が返す。
「ウス」
と樺地。

「……てめぇら…」
「ええやん!!ビーチバレー!俺実はビーチボール持って来てん♪みんなでビーチバレーしよやー」
跡部の怒りが爆発寸前で忍足がカバンから空気の入ってないビーチボールを取り出した。
「いいよな!侑士!ビーチボールさんせーい!!」
「うんうん!侑ちゃん準備いいね〜♪最高〜!」
「さすが忍足先輩!」
「いいじゃん!忍足のビーチボール借りてやろーぜ!」
「ウス」

「……てめぇら…」
コロッと変わった5人の態度に跡部はますます機嫌を悪くした。


「最初の試合!ガックン対樺地!ガックントゥサーブ!」
ジローが審判をして、試合が始まった。
「…なんで1対1やねん…」
忍足はブツブツと言いながら岳人のサーブを見た。

第一試合は接戦の末、岳人が勝った。
「ふ〜…樺地の奴、俺の動きを真似しやがるからやりにくいったらありゃしねぇぜ」
1試合終えた岳人が忍足の隣りに帰ってきた。
「お疲れさん。樺地も強かったな〜」
岳人にタオルを渡しながら試合の感想を言った。

次は鳳と宍戸の試合。
鳳のスカットサーブ(ビーチボールバージョン)が宍戸を狙いつづけ、試合は鳳の勝ちとなった。
「ふぅ〜いい試合になりましたね〜」
鳳は少しの汗を拭いながら宍戸に向かって言った。
「あ、ああ。そうだな…」
宍戸はいつもと違う鳳にタジタジになっていた。
「次は跡部先輩とジロー先輩ですよ」

「第三試合、跡部対ジロー!跡部トゥサーブ!」
岳人が審判をし、試合が始まった。
「俺様の美技に酔いな」

こちらの試合も接戦の末、跡部が勝った。
「くっそ〜!くやC〜!」
ジローは楽しそうに言った。

鳳対岳人はスカットサーブもアクロバティックも飛び交い、結果鳳の勝ちだった。
「くっそ〜鳳の奴〜手加減くらいしろっての…」
「な、なんかみんなごっつ真剣やな〜…」
ずっと試合を観戦していた忍足が言った。
「あったりまえじゃ〜ん♪(侑ちゃんと同じの)2人部屋になれるんだから〜。真剣にもなるよ〜」
いつのまにか忍足の隣に座っていたジローが忍足に言った。
「ふ〜ん…みんなそんなに2人部屋になりたいんか…」
「そう!(侑ちゃんと一緒のネ)」
「ほな、俺が変わったったらええんちゃうん?」
忍足が意見した。
「え?」
「ちょうど跡部と鳳で2人部屋使ったらええやん。なぁ?」
どうもこの状況を理解してないらしい忍足は、やっぱり見当違いなことを言う。
でもジローは何も言わない。
「ジローや岳人や宍戸や樺地には悪いけどな。鳳と跡部に変わったろ〜」
忍足はそう言って、今まさに死闘をくり開こうとしている鳳と跡部の元へ軽やかに走って行った。
「…………。侑ちゃんって…天然…」
ジローが呟いた。





「…なんで俺様がお前と一緒に2人部屋で眠らなきゃいけねぇんだよ…」
夜な夜な2人部屋から跡部の声が聞こえてきた。
「…それはオレのセリフですよ…。テニスではまだまだでも、ビーチバレーだったら勝てる自身あったのに…」
鳳の声も聞こえてくる。
「なんだと〜?俺様に勝つ気ていたのかよ」
「あたりまえじゃないですか!オレ小学校の時、地区のビーチバレーチームで優勝したんですよ!」
「だからなんだってんだ!俺様にできねースポーツなんてないんだよ!」

2人部屋は犬猿の中の様な雰囲気。
あとの5人部屋は、誰が忍足の隣で寝るかで争奪戦第二回戦「枕投げ大会」が繰り広げられていた。

「はぁ〜…仲ええのはいいんやけどそろそろ寝かしてほしいわ〜…」
自分の事でもめているとも知らず忍足はそう呟いた。


勝者は今だ決まらず。


夜は深けていく。


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