深々と降り積もる雪に肌寒い気温。
そんな寒い中○○はダンデからもらった卵を冷やさないようタオルに包み込みサトシとゴウと共にサクラギ所長の元へと向かう。
こんな日は朝から温かいココアでも飲んで部屋でゆっくりしていたいものだ。




「「「おはよーございまぁす」」」
「あぁ、おはよう。実はこの大雪で研究所のシステムに異常が起きてねぇ…メンテナンスのために、数日間研究所を休みにしたんだ」
「システムのメンテナンス…」
「この寒い日に大変ですね…」
「えぇー!?休みって、俺たちのご飯どうなんのー!?」
「ご飯の心配かよ」
「すまないが、3人共それぞれ自宅に戻っていてくれると助かるんだけどね。あ、でも○○君はホウエンだから難しいか…」





そう、ここはカントー地方なのでホウエンに戻るのはそんなに簡単ではない。
どうしようかと思っていたら、サトシが「俺ん家来ればいいじゃん!」と提案してくれたため、お言葉に甘えてお邪魔することにした。
明日出発するため、部屋へと戻り荷造りを済ませて卵を人撫でする。
この寒い中持ち歩くのは気が引けるが、研究所に置いて行くわけにもいかず…簡易装置の中に入っているとはいえ寒いだろうからこのままタオルを巻いて出かけることにした。


-翌日




「俺バスで帰るけど、2人は?」
「俺は電車!」
「電車か〜マサラタウンまでどれくらいかかるの?」




話している最中だったが、バスが到着したことに気がついたヒバニーは、ゴウの手を引っ張り強引に走って行ってしまった。
その様子を○○は微笑ましく見ていたが、ふと地面に水色にラッピングされたプレゼントが落ちていることに気付き、拾い上げる。恐らくゴウが両親のためにと購入したお土産だろう。
2人は慌てて声をかけるが、ゴウを乗せたバスは発車してしまった。
サトシと○○はバスを追いかけるが当然追いつくわけもなく、距離はどんどん開き結局バスは見えなくなってしまった。





「あぁ…行っちゃった」
「うん…折角だから届けにいってあげない?」
「そうだな!」




ゴウに会いに行くため、次回発車のクチバシティ行きのバスへと乗り込みゴウの実家を目指す。
ゴウの家の最寄りの停留所に到着し、スマホロトムにて住所を確認する。
目の前に一際目立つ大きなマンションを見つけ、それがゴウの住む家だと確信し、急いで向かってチャイムを鳴らすが応答はない。




「誰もいないのかなぁ」
「まだ着いてなかったのかな」
「電話してみるか!」
『もしもし?』
「あ、ゴウ?今お前ん家の前なんだけど」
『えぇ!?』



驚くのも無理はない。



「サクラギ所長から聞いてきたんだ。…ゴウどこにいんの?」
『それが色々あって、今公園に…」




ゴウがいると言っていた公園に急いで向かうと、ゴウの話していたカラカラの姿があった。
カラカラの大事なホネを奪ったマンキーをどのように見つけるかは、サトシがうまく閃いたようだ。
それは茂みや木々に隠れ、ナナの実に釣られてきたところを捕まえるという至ってシンプルな作戦だった。
するとまんまとマンキーたちは現れナナの実に近づいたところを捕まえることに成功した。




「マンキー!カラカラのホネを返せ!」
「そんなことして悲しませちゃダメでしょ!」
「どこへやったんだ!」
「無くしたのか!?」



どうやらマンキーの様子を見るに、カラカラのホネは無くしてしまったようだ。
どこで無くしたかも覚えていないようで、カラカラは再び目に涙を浮かべる。
公園を探し回るが時刻はすっかり夕方だ。暗くなると探すのは難航するだろう。



「ないなぁ…どこにあるんだろ」
「雪の中に埋もれちゃってるかもしれないなぁ」
「暗くなる前になんとかしないと」
「ふりぃふりぃ!」




バタフリーとオニドリルがなにか見つけてくれたようだ。
サトシはカイリューを○○はトゲキッスを出して乗り、バタフリーとオニドリルについて行く。
オニドリルはどうやらマンキーたちが池の前でふざけて水の中に落としてしまったことを訴えたいらしい。




「池の中って言っても…」
「冷たそうだなぁ」
「そうだね…」
「あ!ピッタリの奴が!」
「「えっ!」」



ゴウが出したジュゴンは勢いよく水の中にダイブした。
ジュゴンは氷タイプのため寒さには耐性がある。
ここはジュゴンに任せしばらく待つとジュゴンはホネを咥え顔を出した。
どうやらカラカラのホネで間違いないようで、物凄く喜んでいる。



「よかったね、カラカラ」
「サトシ、○○ありがとな!みんなもありがとう!」



喜ぶポケモンたちを微笑ましく見守っていると、後ろからゴウ!と声が聞こえ振り向くと、ゴウの両親らしき2人が立っていた。
やはり2人はゴウの両親だったようで、家に帰る途中ポケモンに乗っているゴウを偶然見かけ心配で追ってきたようだだった。



「俺たち、カラカラが無くしたホネを探してたんです!」
「君がサトシ君か!」
「マサラタウンの」
「えっ?」
「そして君が○○ちゃんだね」
「は、はい!」
「随分ゴウがお世話になってるみたいで」
「いやぁそんなことないですよぉ、なぁゴウ」
「ゴウ君はいつも仲良くしてくれて私嬉しいです!」
「あら、ありがとう」




両親に嬉しそうに自分のポケモンを紹介するゴウに、カラカラはもう自分もゴウの仲間だ!と主張する。
あれだけ必死にホネを探してくれたゴウを気に入らないわけがない。
無事カラカラはゴウのボールへと収まった。



「よろしくな」
「よかったね、ゴウ」
「あぁ!」
「さ、帰ってご飯にしましょ」
「あ…ほんとは母さんと父さんにシチューを届けに行こうと思ってたんだ」
「えっ、そうだったのか」
「それともう一つ、届けたいものがあったんだけど…」
「これでしょ」



○○が水色の包み紙を手渡すとゴウは心底驚いた顔を浮かべた。



「ゴウ、バスに乗る前に落として行っちゃって…」
「えっ?じゃあもしかしてこれを届けに来てくれたのか?態々…」
「うん!」
「ありがとな!」
「ほら、はやくお父さんとお母さんに渡せよ」





中身は寒くなってきたから身体を壊さないようにとゴウが選んだ手袋だった。
その後はゴウの家で夕食を食べることになり、ゴウの家庭がいかに素敵な家庭なのか知ることができた。




「今日は○○ともっと仲良くなれた気がしたよ!ありがとうな!」
「私も!これからも仲良くしてね!」
「もちろん!」



2人は笑いながら拳をコツンと合わせた。




















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