ないしょの恋 | ナノ


::好き、だけじゃ、



また今日も飽きずにアイツは、高尾を見つめる。
今回の授業は、なまえのクラスは美術のようで、どうやら課題は草花のスケッチのようだ。
俺のクラスは、またもや体育。しかもまたサッカーである。

「高尾ー! そっち行ったぞー!」

生憎今日は、おは朝占いの結果が悪かったので目立つことはしたくない。ラッキーアイテムの時計は持っているが、余計なことをして災難に遭いたくはない。
「緑間、お前動かないのかよ」とゴールキーパーのクラスメイトに声を掛けられるが、「今日は調子が悪いのだよ」とボールを目で追いながら答えた。彼が呆れた溜め息を吐く。

ゴール横に立ち、眼鏡が少しずれたのでブリッジを押し上げていると、相手コートに上がっていた高尾が側に近寄って来た。
「真ちゃんー、占いが悪かったのは知ってっけど、ラッキーアイテム持ってんだろ?動こうぜ?」と顎を伝う汗を手で拭いながら言ってくる。

コート外の芝生のところに居るなまえの視線が、高尾に注がれているのを感じて、自然と眉間に皺が寄る。
「煩い、放って置け」若干やつ当たりになりつつも、俺は高尾にそう言った。やれやれというように首を横に振った高尾は、「じゃあ行ってくんよ」と言って走って行った。

「(…何故、アイツはなまえの視線に気付かない)」

高尾が走って行った後。ポーンと空高く上がった、黒と白のボールを見ながら、そう思った。

250729


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