::これこそが格の差 | |
「残念だったな、みょうじ」 『く…っ』 「またやってんですか君達、…飽きませんね」 男子バスケ部主将、赤司征十郎。 私はコイツが好かん。何故と問われれば、私はコイツの全てが好かないと答える。 コイツが常に身に纏う威圧感、偉そうな態度が特に気に入らない。 だから私は、コイツをめっためったのぐっちょんぐっちょんにすると、一年生のときに心に決めたのだ。 赤司征十郎、コイツをいつか、私の前に跪かせてやる。 「毎回毎回、みょうじもよくやるな、流石の俺でも尊敬するよ」 『っ…その顔をやめろ赤司征十郎。虫酸が走る』 爽やかな笑顔を浮かべる赤司征十郎。 私にはそれが、「これこそが格の差だ」と見下されているとしか思えない。くそ、ウザい。腹立つ。虫酸が走る。 それから程無くして赤司征十郎は教師に呼ばれ、姿を消した。…私は、この前のテストの順位表に再度目を向ける。 赤司征十郎 第一位 みょうじなまえ 第二位 悔しい。今回もまた、赤司征十郎に負けた。 「みょうじさんもよくやりますね。入学したての頃からですから、…もう三年ぐらいになりますか。そろそろ諦めたらどうですか、赤司くんのこと」 『黒子、私が赤司征十郎のことが好きだと聞こえる言い回しはやめろ。私はアイツなんか大嫌いだ』 そう黒子を睨むと、「あれ、違うんですか」と微笑まれた。 頭がどうにかなっているのではないだろうか。私が赤司征十郎のことを好き? ありえん。黄瀬がただのイケメンになるくらいのありえなさだ。黄瀬は絶対ただのイケメンにはならない。アイツは一生、残念なイケメンで駄犬だ。 「そんなに嫌いですか、赤司くんのこと。そりゃあ暴君なところも多々ありますが、根は良い人だと思いますよ。暴君ですけど」 『……』 暴君なんじゃないか。しかも黒子、大事なことなのか分からないが二回言ったし。それに「思いますよ」なんて、黒子の推測にすぎない。 ああ、やっぱりアイツは最低最悪なヤツなんだ。皆あの容姿とあの成績、あの運動神経、あの家柄に騙されているだけなんだ。 でも私は騙されない。絶対諦めない。赤司征十郎を、絶対跪かせてやる。 250519 |