短編 | ナノ

木吉と手を繋ぐ


『今日おかしくない?何この暑さ、何この日射し。今6月よ、ろーくーがーつ。梅雨はまだですかー、私雨大っ好きなのよ、体育つぶれるから。ねえ聴いてる木吉?』
「ん?ああ、聴いてるぞ。俺のことが大っす」
『聴いてなかったんならなかったって言えよ』

あー、コイツのせいでもっと熱くなった。衣替えまだかよ、あちーよセーラー。「酷いなあ」と、へらへら笑いながら私が殴った頬を擦る木吉。あんまり痛そうじゃないなおい。

『てかさぁ、暑いんだけど手。離して良い?てか今すぐ離せ』
「ん?嫌だぞ?」

嫌って言ってんのに、ぎゅう、とさらに私の手を握りしめてくる木吉。コイツの手って、私のよりも倍くらいあって、手繋ぐとすっぽりと私の手が隠れちゃう。てか暑い。マジ暑い。手汗とかヤバイよ。

『ねえ木吉ー』
「うるさいぞなまえ。今日は俺の誕生日なんだから、俺の好きにさせてくれ」

「絶対、離さないからな」と、締まりの無い顔でそう言われた。こんなのが無冠の五将、鉄心なんだよなあ。言ってることはカッコいいんだけど、へらへら顔がなあ。内心は焦りまくりだけど、締まりの無い顔をしているコイツに知られるのは何か癪に障るから、嫌がるフリをする、私。

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