大雪と黒子
※ツイッターのアレ。
※黒子の影の薄さじゃインタビューなんてされないかもとか気にしない。
次から次へと降ってくる、大粒の白。
「凄いですね…」
『だね…』
テツヤくんがさしている傘をずらして、二人揃って空を眺める。
「寒いから出来るだけくっついていた方が良いでしょう?」という彼の意見から、私とテツヤくんはいわゆる相合い傘状態だ。
非常に恥ずかしい。
『(でも、本当にいくらかあったかいから文句言えない…)』
この人混みじゃはぐれちゃいそうだし、雪降ってるから足元危ないし。相合い傘は正解なのかもしれない。恥ずかしいけど。
「すみません、少し宜しいですか?」
信号待ちで声を掛けられて、思わず繋いでいた手をほどいた。だって恥ずかしい。
残念げな顔をする彼に、曖昧に笑ってからそちらに目を向けると、笑顔の女の人が居た。テツヤくんが用件を訊ねると、「インタビューさせて頂いても宜しいですか?」と返答。彼女の後ろには何人かの男の人。撮影か何かかな?
「…、構いませんよ」
「有難うございます」
少し考えた後、テツヤくんはそう答えた。私的には早く暖かいところに行きたかったんだけど、仕方がない。
「凄い雪ですけど、今日はどちらからいらしたんですか?」
「都内ですよ」
テツヤくんが答えてくれているので、私はすることがない。インタビューの声を右から左に流しながら、はぁーっと両手の指先に息を吹き掛けて擦る。息が真っ白だ。さっむいなぁ…。
「例年稀に見る大雪なんですよー。雪はお好きですか?」
「、そうですね…」
早く終わらないかなぁ、なんて思いながらマフラーを掴んで引き上げると、インタビュー中なのにこちらを何故か見てきたテツヤくんと、目が合った。な、なんだろ…。レポーターさんも私の方を見て、不思議そうにしている。
私が何回か瞬きを繰返せば、テツヤくんはクスリと笑って元通り前を見た。
「……恋人といる時の雪は、特別な気分に浸れるので僕は好きですよ」
「 」
『 』
……これにはレポーターさんも私も、唖然とする他なかった。勿論カメラマンさんも例外ではない。魚のように口の開閉を繰返したり、顔を赤くしたり。
「 」
少し微笑んで真っ直ぐに前を見ているテツヤくんの横顔は、はらはらと落ちる雪をバックにしているのもあって、凜としていて綺麗だった。
260411
関東大雪の際に書いて、そのまま書きかけだったので。