短編 | ナノ

緑間とジャスミン


『有難いお言葉、有り難うございます。考えておきます』

結構有名らしい高校の監督に、そう静かに頭を下げる。その気がなくてもその気があるような言葉を紡ぐのが、推薦される側の義務のようなものだ。売れる媚びは売っておいた方が良いに決まっている。

『真太郎はどこの高校にするの?』
「都内の秀徳高校だ。あそこはバスケットが強い。勉強にも力を入れているのだよ」
『…ふうん、』
「お前こそどこにするんだ。推薦がいくつかきているだろう」
『…どおしよっかねぇ…』

溜め息を吐くように呟いて、頭の後ろで腕を組む。行きたい学校などないし、推薦の話が来る前はバスケットも中学でやめようかと思ってた。めんどくさいし。まあ、推薦が来るんなら、みたいな軽い気持ちで、スポーツ推薦で高校に行くということだけは決めた。いくつかある高校の推薦の内、どこのを受けるかは決めてないけど。

『…じゃあ、私も秀徳行こっかなあ』
「は?」
『特に行きたいとこないし、確か私も秀徳から推薦来てた。真太郎が行くなら私もそこ行きたいな』
「…そんな軽く決めて良いのか?」
『良いの、ってか軽くないし。私は真太郎と一緒が良いの』

そう真っ直ぐに真太郎を見て言葉を紡ぎ出すと、レンズ越しの翡翠色の瞳を、彼が丸くしたのが見えた。「私は貴方についていく」続いてそう語を重ねると、真太郎の左手が頭に乗って、髪を軽く乱した。

「…馬鹿なのだよ、お前は」
『ひっどいわあ。私が頭良いの知ってるクセに。あ、照れてる?照れてるの真太郎?』
「黙れ」


>>「私は貴方についていく」
ジャスミンの花言葉

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