短編 | ナノ

大輝お兄ちゃん


『おぉ…!!』

派手な音がして、バスケットゴールが軋む。前にお兄ちゃんから聴いたことがある。たまにダンクしてゴールを壊してしまうことがあるとかなんとか。「すっげー威力だなあダンクって」とか思ったっけ。ってかゴールって何円するんだろ。絶対高いよな。

『お兄ちゃん、タオルとスポドリ』
「ああ、サンキュ、なまえ」
『…相変わらずお兄ちゃんのダンク凄いねえ。壊れてないよね?』
「あー…大丈夫じゃね?」

私が座っていたベンチの隣に腰掛け、ガブガブと勢いよくスポドリを飲むお兄ちゃん。あーあ、そんな一気にスポドリ飲んだらお腹こわすよ。塩分を過剰に摂りすぎるとヤバいんだよ、お兄ちゃん。まあそんなこと大輝お兄ちゃんには関係無いけど。健康体そのものだし。

『…ねえ、お兄ちゃん』
「ああ?」
『部活の練習…良いの?』

この前さつき先輩から、今日はバスケ部の練習があると聴いた。私が通っている中学の私が所属している部活動は今日練習が無い。それで暇だったから、近くの公園のバスケットコートに行く、という大輝お兄ちゃんに着いてきた、のだが。まさかサボるとは。

「良いんだよ。行ってもどうせ、勝っちまうし。行っても意味ねぇだろ」
『…そうだけど、さ』

人差し指で器用にも、くるくるとボールを回すお兄ちゃん。もうすぐあの海常高校のあの黄瀬 涼太先輩と戦うっていうのに、お兄ちゃんはつまらなそうで、悲しそうだった。それでもお兄ちゃんはバスケの天才だからやっぱり勝ってしまうのだと思うと、何とも言えない気持ちになる。私には何も出来ない。誰か、お兄ちゃんにバスケで勝ってくれないだろうか。

『(笑ってバスケをするお兄ちゃんを、また見たいなあ…)』

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