短編 | ナノ

高尾とキス


試験が間近に迫っており、部活停止期間ということを利用して、学校帰りに図書館にやってきた私と高尾、だったのだが。勉強をしにわざわざ来たというのに、図書館という公共の場で、私達は何ということをやっているのだろうか。
試験も近いから図書館で勉強をしようと誘って来たのは、高尾の方だというのに。ていうか、コイツの奴、初めからこうゆうことをする魂胆だったのでは無いだろうか。そうだったならば、学校から近い都立図書館より、学校から遠く、その上平日はあまり人が来なく、個室も設けている図書館へとわざわざ足を運んだのも頷ける。

『…っ…ん、は…た、かお…!』
「っは…、ん、やっぱかわいーね、なまえちゃん。声が外に漏れない様に、必死に抑えてるとことか、」

そう言って薄く笑いながら、また顔を近付けてくる高尾、の膝の上から逃げ出そうと、参考書だの教科書だのを広げている机に、焦りながら手を付く。ギシッと軋む不快な音が聴こえたが、気にしない。ていうか、気にするまでの余裕がそもそも無い。

『っ……べ、勉強しないと…!』
「だーめだって。俺が成績良いの知ってんだろ?なまえちゃんだって成績良いし。…あ、一つ言っとくけど、ここの個室完全防音だから」
『で、でも…!!』

私の言葉なんてどこ吹く風。高尾は妖しい笑みを浮かべて、「だから、いっぱい声出していーよ、なまえ」と、耳元で低く囁く。こんなときだけ呼び捨てで呼ぶのだから、余計質が悪い。彼はそんなことを言うが、いくらこの部屋が完全防音だといっても、窓が開いているのだから、完全防音の意味が無いではないか。
そんな高尾の囁きにより、ヤバいと即座に思って腰を引こうとするが、腰に腕を回されて逃げられない。ああ、家に帰ってから猛勉強しないと、今回こそ本当にヤバいかもしれない。コイツのせいで、私赤点取る。

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