短編 | ナノ

宮地とキス


『っ……な、何でアンタからしてきたのに、清志真っ赤になってるのよ…!』
「う、うっせぇ刺すぞ!なまえの方が俺よりも赤いわ!!」

部活も部活終了後の自主練も終わり、体育館の鍵を職員室に返して、清志と一緒に昇降口に来た。上履きを脱いで、自分の靴箱に入れる。そして、ローファーへと手を掛けると、さっきまで明るかったのに、私のところだけ突然影が射し、暗くなった。
後ろに人の気配がしたので、清志かな、と思った。清志とはクラスが違い、彼のクラスの靴箱の場所は、私のクラスの反対側にある。不思議に思いながら、肩越しに後ろを見ると、清志の顔が手の届くぐらいすぐ近くにあって、深いキスをされた。
いきなり過ぎて驚いたけど、好きな人からのキスだし、うん、まあ…うん。嬉しかったし、抵抗はしなかった。でも、清志の奴学校内にも関わらず、舌入れてくるし、ねっとりと異常に時間掛けてやってくるし…、そりゃあ真っ赤にもなる。した本人である清志も真っ赤だったけどね。

『…ね、何でいきなりキスしてきたの?清志、意外とお堅いし、今まで校内でしたこと無かったよね?』

清志が私の手を引いて、校門まで歩いて行く。妙に気まずい空気が流れて、居心地が悪いったらありゃしない。私がまだ頬の火照りを感じながらそう言うと、少しの沈黙の後、緩く繋いだ手を、私よりもずっと大きな彼の手に、ぎゅうと強く握られた。
そんな動作とは正反対に、「轢くぞ、馬鹿」といつもより少しトゲの無い、私を罵る言葉を聴いて、自然と笑みが溢れた。ああ…、身長とか身体とか、私よりもずっと大きいのに、くそ可愛い。清志の広い背中を見ながら私は、彼と同じようにその手を握り返した。

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