50000打企画 | ナノ
黒子のバスケ×桜蘭高校ホスト部
上流階級家庭の子供ばかりが集まるこの帝光中学校の第三音楽室には、暇をもて余す美少年が、同じく暇をもて余す女生徒をもてなし潤す、がモットーのホストなる人間が5…6人居た。
何か知らないが、校内オークションとやらに出品予定だったルネの花瓶、800万円相当を割ってしまった私、みょうじなまえはこの中学の特待生であるにも関わらず、何故だか男装をしてホストになってしまった。

『…意味分からん…』
「俺もっスよなまえっちぃー!!」
『いや、アンタみたいに勉強が分からない訳じゃないから。私一応特待生だから』

遠慮なしに思いっきり抱き着いてくる黄色い犬に、淡々と返答をする。…コイツどさくさに紛れて腰に手回してやがる、セクシャルハラスメントで訴えてやろうか。ちょ、頬擦りとかやめてくれ。
嘘泣きをして私の肩に顔を埋めるコイツは、海外にも視野を広げる食品メーカーの社長の子息、黄瀬涼太。この部で青と緑と指名率を三分している。今テーブルに置いてある紅茶の茶葉も、コイツのお父さんの会社が販売しているものだ。ちなみにくっそ高い。

「…黄瀬何やってんだ、しっかり勉強やれ」
「その言葉青峰っちにそのまま返すっス!ってあっ…!!」
『…青峰、助けてくれたのは嬉しいが、さりげなく胸触んな、変態』

黄瀬から引き剥がすように、両脇に腕を差し入れて私を黄瀬から解放してくれた青峰。助けてくれたのは有り難いけど、コイツ意図的に胸触ってやがる。
ちなみにコイツは、何百年も続いてる武道の名門青峰家の子息、青峰大輝。

「…なまえって隠れ巨…」
『黙れガングロ』

様々な武術を使えるようで、凄い奴みたいだけど私はただのエロガングロ野郎だと思ってる。だって、口を開けば下品なことを言い、珍しく真面目に読書していると思ったらエロ本を読んでいるような人間だ。…コイツが黄と緑と人気を三分しているなんて考えられない、私だったら彼を指名したりはしない。

「…お前等…勉強をする気はあるのか」
『私はある、静かに勉強したい。勉強大好きだ』

私の隣に座っており、軽く青筋を立てて肩を細かく揺らしている緑色の彼は、緑間真太郎。この部の副部長で、主に警備係、医療係だが最近は色々なことをやっているらしい緑間グループ総裁の子息。いつもラッキーアイテムとやらを持ち歩いている変人だが、私が客なら黒の次に彼を指名するだろう。
いちいち説明するのが面倒だからまとめて言ってしまうが、私達から離れたところにいる赤紫黒。シャーペンを持ち売上を確認している赤は、我等がホスト部部長で通称キングの赤司征十郎。彼は茶道と華道、そして舞踊の家元だ。
生クリームを口の端に付けてケーキを頬張っている紫は、私達のフェアリー、すなわち癒しである紫原敦。彼の家は有名な料理人一家だ。そしてカップに紅茶を静かに注いでいる黒は、黒子テツヤ。詳しくは知らないが、彼の家は警察一家らしい。

『…それよりも、次のテストで平均点以下取ったら青峰と黄瀬、アンタ等部活停止令出るんだろ?』
「そうなんスよおぉっ!!俺、なまえっちと会えなくなるのだけは嫌っス!!」
「…俺も目の保養が見れなくなるのは嫌だわ」
『胸か、青峰お前やっぱ胸目当てか』
「最低なのだよ」

「当たり前じゃねーか」と意味の分からないドヤ顔をするエロガングロ野郎はもう頭が既にイッてしまっているから手のうちようがない、手遅れだ、放っておこう。黄瀬の方もシャーペンを持ちはしているが、さっきから全然手が進んでいない。
正直この2人が部活停止になっても別に良い、むしろ静かで喜ばしいことだと思っている私が何故緑間と共にコイツ等に勉強を教えているかというと、全ては赤司の意思である。彼いわく、ホスト部の重要な収入源である青峰と黄瀬に部活停止令が出てしまうと収入が一気にがた落ちしてしまうだろう、らしい。
赤司はこの学校の校長の息子なのだから、それを使ってどうにかすることは出来ないのだろうか、とは思ったが、以前に彼の家族関連のことを話したら憂いを帯びた儚い表情を赤司がしたのを思い出し、その表情は綺麗だったけど何か異常に悲しくなったので言わないでおいた。

『キング、やっぱり無理だコイツ等に勉強教えるとか。当の本人達のやる気が全くない、ねぇ緑間』
「最早教える側のやる気も出ないのだよ」
「勉強とか大変だよねー峰ちんと黄瀬ちん。黒ちん紅茶おかわりー」
「…まあ、自業自得ですよね」

コポコポと黒子が紫原のカップに紅茶を注ぐ静かな音を聞きながら、まだカップの半分ほど残っている香り高い紅茶を一口口にした。それをカチャンと小さく音をたてて、ソーサーの上へと置き赤司へと視線を向けた。

「…へぇ、やる気がないと」
『…青峰と黄瀬以外、全員外出てるよキング』
「ああ」


細く長い綺麗な指で静かにシャーペンをノートの紙面上に転がして、私と緑間と入れ違いになって彼等に威圧感と共に近付く赤司。
「はは早まるな赤司!!」「そそそうっス!俺達絶対平均点以上取るっスから!!」と無謀にも赤司に言い訳をしている哀れな2人の必死な声を背に、私と緑黒紫達は音楽室から出た。
バタンと音をたて扉を閉じると、丁度廊下に“自称”ホスト部のマネージャーをかねてから名乗っている桃井が立っていた。彼女から一体どうかしたのかと訊ねられたので、私は満面の笑みで「何でもありませんよ」と答えた。







『はーじゃあ青峰はギリッギリ平均点より上いけたんだ、…残念』
「ああ、本当にギリギリだがな。…黄瀬はどうだった」
『アイツはやれば出来る子みたいだ』
「は、」

苦笑しながらそう呟くと、緑間は爪を磨いていた手を止め眉間に皺を寄せて、こちらを見てきた。青峰のテスト結果はギリギリだったようだが、今回のテスト、黄瀬はよく頑張った様だ。学年順位もそこそこ上位なのではないだろうか。

「なまえっちー!なまえっちに指名っスよー!」
『はいはい。あ、今回のテストの順位、キングに勝ててると良いな?』
「…嫌みはやめろ、赤司の前にまずはお前に勝てなければ始まらないのだよ」
『…ふふ、特待生が一般生徒に負けたら一貫の終わりなのだよ(…まあ、一般生徒であるキングには負けてるけど)』

そう笑いながら緑間の語尾を真似して私が口にすると、彼のこめかみにうっすらと青筋が立ったのが見えたので、「おー恐い恐い」と呟いて緑間の元から早々と離れた。
…あ、また黄瀬と黒子が絡んでるの見て女の子達がキャーキャー言ってる。まあ黒子は拒否ってるけど。






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