2020's RECORD

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January

「それが、お姫様の矜持よ」
「――イイ女だろ・・・・・?」
地獄の業火も生温い 張/BLACK LAGOON

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February

誰にもやらない、誰にも味わわせてなどやるものか。
とわずがたり 張/BLACK LAGOON

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March

「お前のことだ、どうせ上手く騙くらかして落としたんだろ。――ったく、そろそろ本当に、籠の鍵、開かねえようにしちまうぞ。」
Epilogue. AND SO IS HER. 張/BLACK LAGOON

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April

主の身になにか起こったのでは、などという愚かな杞憂はよぎることすらなかったが、とはいえ濁世を見下ろす層楼にひとり座するのも、焦がれるひとをただ待つだけというのも、古今東西、恋する乙女にとって時の流れはひどく遅く感じられてしまうもの。
水も滴る 張/BLACK LAGOON

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May

「――こんなわたしに・・・・・・・・あなたが・・・・なさいました・・・・・・。……ご満足いただけましたか、旦那さま?」
桜の園 張/BLACK LAGOON

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June

たかが飼い鳥一羽のためにはなはだ愚かな男に成り下がると知っていて、そして然程さほどそれが不快ではないというのだからいよいよもって、始末に負えない。ならばもう少しだけこうしていようかという気にもなる。
泥濘み 張/BLACK LAGOON

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July

死後なんぞ信じちゃいないが、あのふたりが地獄のどこかで再会してりゃあ良い、とは願わなくもなかったが。
君に馴れにし 張/BLACK LAGOON

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August

なにも知らないくせに分かったようなことを吐く女が憎らしく、いじらしく、もう一度だけ嘆息すると、彼は「なにを今更」と嘯いた。
夜明く 張/BLACK LAGOON

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September

生きて、死ぬ。
順行世界だろうと逆行世界だろうと、そこになんの違いがあるだろう。平生、漫然と生きているとつい忘れがちだけれど、いつ、どこで、どうやって、なんてなんの意味もない。わたしが、彼が、ひとが、皆いずれ死ぬ事実は覆らないのだから。
Reality ニール/TENET

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October

荒れたさざなみのような、穏やかな獣のような、次の瞬間には喉頸のどくびに噛み付いてきそうな危うさを孕んだ笑い声が好きだった。
ロンバード/And Then There Were None

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November

――飼い主ならば、あるいは。
ゆく雲 張/BLACK LAGOON

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December

なにかがせきを切り、取り返しの付かない言葉をぶつけるはめになるのを恐れ、怯えが口を塞いだ。
きみがため 張/BLACK LAGOON

字書き録 つみ
2020.12.30
- ナノ -